半導体設計に興味があるという人や、半導体設計へ就職・転職を考えているという人は多いと思います。そのような人のなかには、就職するまえに半導体設計の具体的な仕事内容を知りたいという人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、半導体設計エンジニアの人材紹介を行っているベスキャリが、半導体設計の仕事内容ややりがい、求められるスキルなどについて詳しく解説します。未経験でも半導体設計として働く方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

半導体設計の仕事とは?

半導体設計とはどのような仕事なのでしょうか。

半導体設計とは

半導体設計は、半導体チップの設計を行う仕事です。まず、半導体とは『電気を良く通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との、中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のこと』です。この素材である半導体を用いた集積回路である半導体チップも「半導体」と呼ばれますが、半導体設計は半導体チップの設計を行います。

半導体集積回路では、トランジスタやダイオード、コンデンサと呼ばれる素子を集積することで、電子機器の情報処理や制御が可能になります。半導体設計の仕事は「半導体設計エンジニア」とも言われ、この半導体集積回路がどのような処理や制御、記憶を行うかを設計するのです。半導体チップにどのような素子を組み込むかを設計するとともに、期待通りの動作をするかの確認なども行います。

半導体設計の将来性

半導体設計の仕事には将来性があるのでしょうか。半導体設計の仕事に就いたとして、将来仕事がなくなってしまったり、収入を得るのが難しくなってしまうようでは就職をするのは避けたほうがよいでしょう。

まず、半導体製造の需要を見てみましょう。世界半導体市場統計を見ると、世界の半導体の市場は拡大しています。AIやロボット、DX、IoTなどによって、この需要はさらに将来も続くと考えられます。

経済産業省の調査によれば、日本の半導体人材は1998年に約23万人でしたが2019年には約17万人にまで減少したとされています。さらに、半導体の需要増に伴って、半導体エンジニアの需要も大きくなっており、その有効求人倍率は2021年には2013年時点の7.4倍、2022年にはさらに13.1倍となっています。現在だけでなく将来も半導体設計エンジニアへの需要は高く、安定的に仕事が得られると考えられるでしょう。

半導体設計・製造の仕事内容

半導体設計や製造の仕事内容や流れを詳しく解説します。

1.仕様作成

半導体を設計する前には、まず仕様の検討・作成を行います。クライアントや自社の開発部から目的や用途、ターゲット、必要な機能などのヒアリングを行い、そのニーズに合わせて最適な半導体の仕様を検討します。

仕様の検討では、どのような処理を行わせるのか、そのためにどのようなレイアウト設計が必要なのか、コスト、開発期間、用いる技術、素材、許容温度や許容損失などまで検討を行います。どの機能をハードウェア回路、ソフトウェアで実現するかなどの全体の設計も行います。仕様がまとまったら仕様書を作成し、クライアントや関係者へ共有します。

2.回路設計・パターン設計

次に、回路設計・パターン設計を行います。これは、仕様作成で決めた機能や処理を半導体が行うために、さまざまな回路を組み合わせて、パターンの設計を行う作業です。チップのなかに回路を効率よく配置するために、回路図を作り検討を重ねます。

回路図を作成したあとには実際に素子の配置を行い、チップの製造が可能な形で設計を最適化する物理設計を行います。この工程においてチップのサイズや形状、コストなどの詳細も決定します。

3.フォトマスク作成・ウェハ製造

回路設計を行ったあとにはフォトマスクの作成を行います。フォトマスクは、透明な基材に細かいパターンが描かれたもので、光を使って対象物に精密なパターンを転写することができます。フォトマスクを用いて、ウェハの表面に回路のパターンを焼き付けます。

その後、エッチングやイオン注入、高温拡散、ウェハ表面の研磨、電極形成などを行います。ウェハを検査し、チップごとに切り分けていきます。量産する前には試作を行い、性能や機能が仕様に沿っているかの確認を行います。

4.組み立て

切り分けた半導体チップをリードフレームに樹脂で接着するとともに、金線で接続します。保護するために樹脂などのパッケージに封入し、メーカ名や製品名、ロット番号などをレーザーでマーキングします。

そして、金型でリードフレームから半導体チップを切断し、リードを成型します。

5.試験・検査

出来上がった半導体の試験や検査を行います。試験では温度電圧ストレスを加える加速試験(バーンイン)や、機能テストや電気的特性検査、機能検査、環境試験、長期寿命試験などを行います。

不良品を取り除き、良品選別されたものを梱包、出荷します。

半導体設計の年収

半導体設計の仕事では、どれくらいの年収が得られるのでしょうか。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、半導体設計エンジニアの平均年収は688.2万円となっています。国税庁の調査によると日本の平均年収は461万円なので、半導体設計の年収は高水準であることがわかります。

また、「年齢別の年収データ」のグラフを見ると、年齢とともに年収は大きく上がっていき、50~54歳でもっとも年収が高くなり841.26万円までになっています。65~69歳でも543.29万円であり、高齢になっても高い年収が期待できることがわかります。

半導体エンジニアの年収については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

半導体エンジニアの年収とは?将来性や高収入を目指す方法、必要な能力を解説

半導体設計の仕事に求められるスキル・知識

半導体設計の仕事を目指すときには、どのようなスキルや知識が必要なのでしょうか。

電子・電気工学の知識

半導体設計の仕事では、電子や電気の知識が必要です。半導体は電気を通したり止めたりすることで電子回路を作ります。そして、半導体集積回路を設計する際には、電気抵抗率や電気と光のエネルギー変換、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、シリコンの性質などを理解しておかなくてはなりません。

また、半導体は電子機器で用いられるので、アナログ回路やデジタル回路、混合信号回路、電子デバイスの知識なども必要になるので、電気・電子工学の知識が必要になるのです。大学や高専などで電気工学・電子工学を学んでおくのがよいでしょう。

コミュニケーション力

コミュニケーション力も半導体設計の仕事では求められます。半導体設計は基本的にチームで仕事を行います。設計や製造、テスト、検査などを複数人で行うので、意見を出し合い、協力をしあいながらプロジェクトを進める必要があります。そのためにも、あらゆる立場の人と信頼関係を構築し、スムーズに意思疎通をする能力が求められるのです。

さらに、半導体設計においては、営業や販売部門など自社内の他部門やクライアント、材料メーカーなどのパートナーとやり取りをする場面もあり、対外的なコミュニケーションを行う能力も必要です。

EDAツールの操作スキル

半導体設計の仕事では、EDA(Electronic Design Automation)ツールの操作スキルも必要になります。

EDAツールとは、半導体設計において論理回路や半導体素子のレイアウトの設計や、設計結果を検証するのに用いられるツールです。EDAツールを用いることで、設計を効率化することができますし、コンピュータ上で動作のテストをすることができ、開発速度の向上、コストや時間の削減ができるので、現在では多くの現場で用いられています。

EDAツールを用いることで設計精度を向上させることもでき、設計の品質にも良い影響があります。操作スキルを学んでおくのがよいでしょう。

英語力

半導体設計の仕事では、英語力も求められる場合が多いです。世界各地で半導体の研究・開発は行われており、そういった最先端の情報や論文は英語で発表されることが多いです。最先端の技術や研究の情報をキャッチアップするためには英語力が必要なのです。

また、半導体は海外での売上も大きいので、海外のクライアントとのやり取りが多くなります。海外の素材メーカーなどとのやり取りが発生することがあるので、英語での会話ができるとよいでしょう。

半導体設計のやりがい

日経BP社が実施した「エンジニア転職意識調査」の結果を見ると、電子・機械系エンジニアは他の職種より「やりがい」を重視する人が多いことがわかっています。半導体設計を目指すときには、やりがいを得られる仕事内容かを確認しておきましょう。

半導体設計のやりがいとしては、世の中で広く使用されるモノづくりに携われるということが挙げられます。自身が身につけた専門知識を用いて、より良い半導体製品を生み出すという経験は大きなやりがいが得られるでしょう。半導体設計は、幅広い知識が必要ですし、試行錯誤が必要です。さらに、最新の技術などを知ることもできるので、知的好奇心を満たすことができるでしょう。

また、半導体設計は多くの人と関わりながら仕事を行うことになります。チームでモノを作り上げることからは大きな達成感を得られるでしょう。

未経験でも半導体設計として働く方法

半導体設計の仕事ではさまざまな知識やスキルが求められますが、未経験からでも半導体設計を目指すことはできるのでしょうか。結論から述べると、半導体設計は未経験からでも働くことは可能です。

学校に通う

未経験から半導体設計を目指す前に、基本的な知識を身につけておきたいという人は大学の理系学部や専門学校などに通うのがよいでしょう。これらの学校では、半導体設計の仕事で求められる電気・電子工学や半導体工学などの基礎を学ぶことができます。学校で学ぶことで学校からの推薦を受けられる場合などがあり、より就職もしやすくなるというメリットがあります。

ただし、学校に通うには費用がかかるのと、学校を卒業するまでに時間がかかるということには注意しなくてはなりません。早めに働きたい場合や予算がない場合には、以下の章の方法がよいでしょう。

転職サイトで未経験可の求人を探す

転職サイトのなかには、未経験可の半導体設計の求人が掲載されているものがあります。

半導体メーカーなどでは、未経験可の求人を出しているところがあります。半導体業界は人材不足ということもあって、自社で人材の育成を行っている企業があります。そういった企業では研修を行っており、イチから半導体設計の知識とノウハウを教えているので未経験でも採用してもらえる可能性があります。

転職サイトのなかには、機械・電気分野の求人に特化しているサイトがあります。そういったサイトでは多くの求人を掲載しているので、未経験可の求人も見つけやすいでしょう。

エージェントに相談する

転職エージェントに相談することでも、未経験可の半導体設計の仕事を紹介してもらえる可能性があります。

エージェントのなかには、転職サイトなどに掲載されていない非公開求人を保有している企業があります。そういった企業では、他にはない未経験可の半導体分野の求人を紹介してもらえるかもしれません。

エージェントは企業の詳細な情報を持っており、社風や教育体制、研修などについても教えてくれるでしょう。面接や職務経歴書などについてのアドバイスもしてもらえるので、未経験からでもより採用の確率を高めることができるはずです。

また、未経験からの半導体エンジニアについては以下の記事で詳しく解説しています。
半導体エンジニアは未経験でも転職できる?メリット、注意点、必要なスキルを解説

半導体設計エンジニアへの就職・転職はベスキャリ機電で

半導体のニーズは高まっており、半導体設計の仕事への需要も大きくなっています。半導体設計は、半導体の機能を左右する回路設計や素子のレイアウト設計などを行う重要な仕事です。半導体設計を行う仕事へ就職や転職を希望する場合には、仕事内容を理解するとともに、求められるスキルを身につけましょう。

スキルがない未経験でも半導体設計エンジニアを募集を行っている企業があります。そういった企業ではイチから研修などを行っているので、理系でなくても就職できる可能性があります。

ベスキャリ機電ではそういった半導体設計の求人を取り扱っています。15年以上の運営歴があるので全国にネットワークがあり、非公開求人なども多く取り扱っています。専任アドバイザーが一人ひとりに付き、面接やキャリアについてのアドバイスや職場見学、就業後のサポートなどを行っています。ぜひご登録ください。

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