現在、日本には多くのフリーランスエンジニアがいます。こういったエンジニアの人はどのような収入を得て、どんな働き方をしているのでしょうか。その実態を知ることで、これからフリーランスを目指そうとしている人やフリーランスに興味があるけれども不安という人の悩みを解消できるかと思います。
そこでここでは、フリーランスエンジニアの客観的データを用いて、その人口や収入、働き方、満足度などを紹介します。
目次
現在の日本のフリーランスエンジニア
まず、現在の日本のフリーランスエンジニアの事情を解説します。
フリーランスエンジニアの人口
フリーランス実態調査結果によれば、日本のフリーランスの人口はおよそ462万人(2020年2月10~3月6日の調査時点)。そのうち本業として行なっているのは214万人、副業が248万人と試算されています。
また別の調査では、フリーランス人材のなかでもITフリーランス人材は2021年時点で23.1万人とされています。そして、リモートワークや在宅勤務の導入、IT技術の進化、大企業のフリーランス支援事業の参入などを追い風に、フリーランス人口は年々右肩上がりで、今後も年間15%ほどで増加し続ける見込みとされています。
フリーランスエンジニアの属性
フリーランスエンジニアを構成する人の属性はどのようになっているのでしょうか。フリーランス白書のフリーランスエンジニアの属性を男女別に見てみると、エンジニア・技術開発系の回答者の82.5%が男性となっていました。フリーランスITエンジニア動向調査(2019年)でも、登録者の91.1%が男性でした。このように、フリーランスエンジニアには男性が多いことがわかります。
年齢別では、25~29歳がもっとも多く、次いで30~34歳、35~39歳、20~24歳と続きます。2019年の年齢層が前年比でもっとも増えたのが20~24歳ということもあり、フリーランスエンジニアは若年化が進んでいる傾向にあります。
また、副業のフリーランスエンジニアが3割程度に対し、専業のフリーランスエンジニアとして働いているのが6割を超えており、専業のフリーランスエンジニアが多い状態です。
フリーランスエンジニアの職種
次に、フリーランスエンジニアの職種についてみていきます。「2024年版のフリーランスエンジニア白書」では、フリーランスエンジニアの職種は以下のようになっています。
フロントエンドエンジニア | 11.23% |
---|---|
バックエンドエンジニア | 10.93% |
フルスタックエンジニア | 9.84% |
iOSエンジニア | 6.26% |
Androidエンジニア | 5.47% |
QAエンジニア | 4.67% |
データベースエンジニア | 4.47% |
データアナリスト | 3.48% |
データエンジニア | 2.88% |
データサイエンティスト | 2.88% |
上位はフロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニア、フルスタックエンジニア、iOSエンジニア、Androidエンジニアなどが占めており、Web系エンジニアが多いことがわかります。
エンジニア白書でフリーランスエンジニアのメインスキルを見てみると、1位がJava、2位がPHP、3位がC#・C#.NETとなっており、Javaに関しては約30%がメインスキルとしていることがわかります。
フリーランスエンジニアは稼げる?
フリーランスエンジニアは稼げるのでしょうか。年収の実態をアンケート結果から紐解いていきます。
フリーランスエンジニアになると収入は増える?
フリーランスエンジニアになると収入は増えるのでしょうか。
「フリーランスエンジニア働き方調査」では、73%がフリーランスになって収入が上がったと答えました。また、「フリーランスエンジニアとしての働き方」についてのアンケート調査でも、「フリーランスエンジニアになって収入が上がった」と回答した割合59.52%となっています。
このように、平均でも6割以上のエンジニアが収入が増えており、フリーランスになることで収入が増える可能性が高いということがわかります。
フリーランスエンジニアの年商
では、フリーランスエンジニアの年商はどれくらいなのでしょうか。「2024年版フリーランスエンジニア白書」の年商データは以下のようになっています。
200万円未満 | 5.95% |
---|---|
200万円以上300万円未満 | 10.59% |
300万円以上500万円未満 | 25.84% |
500万円以上800万円未満 | 27.14% |
800万円以上1,000万円未満 | 16.54% |
1,000万円以上1,200万円未満 | 6.32% |
1,200万円以上 | 7.62% |
フリーランスエンジニアの年商でもっとも多いレンジは、500万円以上800万円未満で、次に多いのは300万円以上500万円未満となっています。そして、フリーランスエンジニアの年商を平均化すると、約632万円となっています。
前回調査の2022年のデータと比べてみると、200万円未満、200万円以上~800万円未満の割合が減り、800万~1,200万未満、1,200万円以上の割合が増加していることがわかります。
フリーランスエンジニアの時給
フリーランスでは業務委託契約となり時給で計算することが多いので、時給データについても見てみましょう。
フリーランス白書のエンジニア・技術開発系の時給データを見てみると、27.0%が4,000円~5,000円未満で、24.6%が3,000~4,000円未満、22.2%が5,000円~6,000円未満となっています。
そのほかの職種のボリュームゾーンを見てみると、出版・メディア系が3,000円~4,000円未満、通訳翻訳系が1,000円~2,000円未満、クリエイティブ系が2,000円~3,000円未満となっており、フリーランスエンジニアの時給は高い傾向にあることがわかると思います。
フリーランスエンジニアの働き方は?
次に、フリーランスエンジニアの働き方を見ていきます。
働く時間・日数
2024年のフリーランスエンジニア白書を見ると、フリーランスエンジニアの週の平均業務日数と一日の平均業務時間は以下のようになっています。
5日 | 26.54% |
---|---|
3日 | 20.97% |
4日 | 17.50% |
2日 | 15.71% |
1日 | 8.45% |
6日 | 6.26% |
7日 | 4.57% |
5~10時間未満 | 34.89% |
---|---|
3~5時間未満 | 33.0% |
1~3時間未満 | 25.45% |
1時間未満 | 6.66% |
週の平均業務日数では、5日がもっとも多く26.54%となっており、次いで3日(20.97%)、4日(17.50%)となっています。1日の平均業務時間では、5~10時間未満が最多で34.89%です。3~5時間未満は33.0%、1~3時間未満は25.45%となっています。
これらの結果からわかるのは、一般的な正社員と同様に週5日で働くフリーランスエンジニアは多いものの、稼働時間自体は1日平均4.4時間と短いことがわかります。ただし、副業のエンジニアも含んでいるので、フリーランスでは1日に働く時間は短くなっている可能性もあります。
案件数
2024年のデータによると、「フリーランスエンジニアとして受けている案件数はいくつですか?」という質問に対し、以下のデータになりました。
1件 | 21.17% |
---|---|
2件 | 29.32% |
3件 | 19.28% |
4件 | 4.97% |
5件以上 | 12.52% |
案件を探している | 12.72% |
フリーランスエンジニアが月間で受け持つ案件数でもっとも多いのは、2件(29.32%)となっています。1件が21.17%で次に多く、3件は19.28%でした。
平均値は約2.5件となっており、フリーランスエンジニアの多くは2~3件を掛け持ちしていることがわかります。3件までを受ける人が多いですが、5件以上も12%おり、同時に多くの仕事を掛け持ちすることも可能であることがわかります。
出社・リモート
フリーランスエンジニアは自由な働き方ができますが、案件によっては出社などもあるのでしょうか。「出社・リモート勤務の配分で当てはまるものを教えてください」という質問の回答は以下のようになっています。
クライアント企業に出社多め・一部リモート | 30.72% |
---|---|
基本的にリモートワーク | 29.52% |
リモートでの業務多め・一部出社 | 21.07% |
基本的にクライアント先に出社 | 18.69% |
これを見ると、「クライアント企業に出社が多めで、一部リモート」「基本的にクライアント先に出社」のように出社の割合が多いのは49.3%でした。「基本的にリモートワーク」「リモートでの業務多め・一部出社」のようにリモートの割合が多いのは50.5%でした。
案件によってはクライアント先に出社する必要があるものも多いですが、その場合もリモートワークで働けるものも多いようです。
フリーランスエンジニアの満足度
フリーランスエンジニアとして働いている人の満足度の実態はどのようなものでしょうか。
理想の働き方を実現
正社員を経験しフリーランスとして働くエンジニアに対しての調査では、「フリーランスエンジニアになる前に抱いていた働き方を実現できたか」という質問をした調査によると、「ほぼ実現できている」が30%、「やや実現できている」が43.3%と、約7割が自身の理想の働き方ができている結果となりました。フリーランスになった多くの人が働き方に満足をしているようです。
また、フリーランス白書の調査では、「会社員時代との比較」で満足度が83.7%となっています。
メリットに感じていること
では、フリーランスエンジニアがメリットに感じていることとはどのようなことでしょうか。
「フリーランスエンジニアになって感じたこと」としては、「時間にとらわれない働き方ができた」「1人で仕事をすることが苦でなかった」「持っていたスキルで仕事を回すことができた」「場所にとらわれない働き方ができた」などとなっています。
また、フリーランスエンジニア白書では、「メリット・満足している点」
においては「働く時間に縛られない」が約44.8%、「働く場所に縛られない」が約44.7%、「収入UP」と「過去の経験を仕事にできる」が約24.8%となっています。
自由な働き方、通勤がないこと、自分の力で仕事ができること、収入の向上などをメリットと感じているようです。
フリーランスエンジニアを続けたい人の割合は?
フリーランスエンジニアにメリットを感じている人は多いですが、フリーランスエンジニアを続けたいと思っている人はどれくらいいるのでしょうか。
「正社員のエンジニアに戻りたいと思うか」という質問に対して、「正社員に戻りたくない」と回答したのは48.7%で最多でした。さらに、「あまり戻りたくない」と回答したのは37.3%でその次に多く、8割強のフリーランスエンジニアが正社員には戻りたくないと考えているようです。
正社員のメリットとしては安定性がありますが、フリーランスエンジニアの案件は正社員よりも報酬が高くなりますし、案件も継続的に続くことも多いことからフリーランスを続けることを選ぶ人も多いのでしょう。
フリーランスエンジニアへの不安とは?
ここまでメリットを見てきましたが、フリーランスのエンジニアになることへ不安を感じる人も多いと思います。どのようなことが不安なのでしょうか。
「フリーランスエンジニアになることに対して不安なこと」についての調査では、「収入が安定しなそう」が68.3%、「仕事を見つけるのが難しそう」が60%という結果となりました。
フリーランスエンジニアは案件の獲得や継続次第で収入に波があるということを不安に感じるようです。また、エンジニアは営業を経験していないことが多く、仕事を得ることができるかを不安に感じるようです。
また、デメリットや不満な点に関してのフリーランスエンジニアに対してのアンケートでは、「社会的信用が低い」「労務や確定申告などの事務作業に手間がかかる」「将来の社会保障が少ない」という点が挙げられています。
他にも、不安に感じる点としては、いつまで続けることができるか、大変ではないかなども不安になるかと思いますが、そういった点については以下の記事で解説しています。
『フリーランスエンジニアとして働ける寿命は短い?何歳まで働けるかを解説』
フリーランスエンジニアに興味があるなら
ここまで、フリーランスエンジニアの実態について解説してきました。フリーランスエンジニアにはメリットも多いので、フリーランスに興味がある人は以下も参考にしてフリーランスを目指してみてください。
フリーランスに興味があるエンジニアは多い
正社員として働いているエンジニアのなかには、フリーランスに興味があるという人は多いです。
「フリーランスエンジニアになることに興味があるか」という質問に対しては、「とても興味がある」が16.0%、「やや興味がある」が24.0%という結果であり、正社員エンジニアの約4割がフリーランスに興味を持っているということになりました。
実際にフリーランスエンジニアが増えていることからも、多くの人がフリーランスに興味があることがわかります。
自分のスキルの棚卸をしてみる
フリーランスエンジニアになるうえでは、自分のスキルの棚卸しをしてみることが重要です。
フリーランスでは自分の力で案件を勝ち取らなければいけません。スキルや知識、経験が不足している状態でフリーランスになってしまうと、仕事が得られないということになってしまいます。自身のキャリアやスキルを棚卸しすることで、フリーランスエンジニアの市場で評価される状態かを確認しましょう。
これまで携わったシステムやプロジェクトの規模感、利用できるプログラム言語、資格など、自身の価値となる要素を洗い出しましょう。そして、それらが競合のエンジニアと比べて市場において評価されるものであるか、十分な仕事につながるだけのものかを検討しましょう。
エージェントに相談するのがおすすめ
フリーランスになっても自分で仕事ができるだけの力が身についているという人は、フリーランスエンジニアに特化したエージェントに相談するのがおすすめです。
フリーランスエンジニアのエージェントは、非公開求人を豊富に持っているので、営業活動をしなくても良い求人を紹介してもらえます。エージェントは、エンジニア業界やエンジニアのキャリアについての専門的な知識も持っているので、ためになるアドバイスも得られるでしょう。
また、転職エージェントを利用した4割以上の人は転職で年収がアップしたという調査結果がありますし、転職エージェント利用者は非利用者に比べて年収アップの平均金額が9.2万円高くなるというデータもあります。
フリーランスエンジニアの求人ならベスキャリITで
フリーランスエンジニアの実態について解説してきました。フリーランスエンジニアにはメリットが多いですし、フリーランスになった人の満足度も高いことがわかりました。もしフリーランスエンジニアになる場合には、エージェントを利用するのがおすすめです。
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