未経験だけれども機械設計エンジニアに興味があるという人は、自分に向いているのかと気になっているかもしれません。機械設計エンジニアの仕事は、理系の知識や設計スキルなどが必要だと言われますし、適性がないのではないかと不安な人も多いと思います。

ここでは、機械設計エンジニアの仕事内容や環境を説明するとともに、向いている人の特性を紹介します。さらに、求められる知識やスキル、より採用される資格についても解説するので、機械設計エンジニアを目指すか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

機械設計エンジニアとは

まずは未経験の人のために、機械設計エンジニアの仕事内容や労働環境、年収、現在働いている人はどのような学歴なのかを紹介します。

機械設計エンジニアの仕事内容

機械設計エンジニアの仕事は、顧客から依頼された機械や自社で開発する機械の設計です。機械設計エンジニアが設計する機械は、自動車や船舶、航空機などの輸送用機械、製品を生み出す産業用機械、ユーザーが利用する精密機械や電子機器、プラントなどの大規模工場など多岐にわたります。

業務においては、顧客や会社の意向を受けて要件をまとめ、企画を考え、構想設計を行います。その後、詳細設計を行い具体的な設計図を作成し、テストを行います。実際に生産するためのラインの設計も行い、生産体制を整えます。

強度計算や重量計算、細かなコスト計算など、実用的な設計が必要になります。設計作業だけでなく、顧客へのヒアリングや折衝、社内の関係者や協力会社とのやり取りも多く、コミュニケーションが重要な仕事でもあります。

機械設計エンジニアの労働環境

厚生労働省の『職業情報提供サイト』によると、機械設計エンジニアは242,820人いるとされています。そのうち、正規の職員は84.8 %であり、契約社員や期間従業員は15.2 %、派遣社員が8.7 %となっています。就業者は30~50代の男性が多く、約7割がこの世代となっています。平均年齢は41.6歳です。

休日は土日完全週休2日制の会社が多いですが、取引先や業界の慣習によっては土日以外の2日をシフトで取る会社もあります。月の労働時間は平均165時間となっており、残業はあまりないことがわかります。

機械設計エンジニアの年収

職業情報提供サイト』を見ると、機械設計エンジニアの年収は平均で612.4万円となっています。国税庁のデータを見ると、日本の男性の平均年収は567万円であるので、高収入が期待できる仕事といえるでしょう。

年齢別の年収を見ると、機械設計エンジニアの年収は55~59歳でもっとも高くなり、769.58万円です。20~24歳では347.09万円なので経験の浅いときには給与が低いですが、キャリアを積んでいくことで着実に給与が上がっていくことがわかります。

機械設計エンジニアの学歴

職業情報提供サイトを見ると、機械設計エンジニアでは「大卒」が67.4 %であり、「修士課程卒(修士と同等の専門職学位を含む)」が32.6 %となっています。7割近い人が大学で学んでおり、さらにそのなかでも半数が大学院を卒業していることがわかります。

高専卒は17.4 %、専門学校卒は10.9%います。これは業務において材料力学、機械力学、流体力学、熱力学の4力学やメカトロニクス、制御工学などの知識が求められるためです。必ずしも大学を卒業しなくても就業できるともいえます。ただし、未経験でも採用を行っている企業もあるので、必ずしも学歴が必要というわけではありません。

機械設計エンジニアに向いている人の特徴7選

では、機械設計エンジニアにはどのような人が向いているのでしょうか。その特徴を7つ紹介します。

1.機械に関心がある

機械に関心が高い人は、機械設計エンジニアに向いているかもしれません。

機械設計エンジニアの仕事は、機械の「動く仕組み」を作る技術といえます。どのような動きを行わせるのか、そのためにどんな構造や機構にするかなどを考えるのです。

さらに、機械を組み立てるなど、機械に触れる場面も多いです。ですので、機械自体に興味があり、機械の動きの作り方、構造や設計を考えることが好きな人に向いているでしょう。機械に関心が高ければ、既存の機械の問題点を見つけ出すこともできるでしょうし、より良い機械を生み出すことができるかもしれません。

2.理系分野が得意

学生時の勉強において、理系分野が得意だったという人は機械設計エンジニアに向いている可能性があります。

機械設計エンジニアは、材料力学・機械力学・流体力学・熱力学の4力学や制御工学、熱力学、電気・電子の知識など多くの理系分野の知識が必要になります。こういった分野では物理的、数学的な計算が必須ですし、設計においても計算が必要になります。大学や高専などで高度な物理や数学を学んでいると、業務でも活かすことができるはずです。

だからこそ、理系教科が得意な人は機械設計エンジニアに向いているでしょう。

3.モノづくりが好き

モノづくりが好きな人も機械設計エンジニアに向いています。機械設計エンジニアは自身の設計で機械を作っていくことになります。ふだんから工作などモノを作ることに楽しさを感じる人は機械設計エンジニアに適性があるでしょう。

また、自身が作り出したモノが世の中で利用されるのを見ることができるのも、モノづくりの仕事の良さです。自分が作ったもので人の役に立ちたいという気持ちが強い人も向いているといえるでしょう。

機械の設計、製造には多くの人が関わるので、チームでモノを作りあげることになります。多くの人と協力して、自分ひとりでは作れない大きなモノを作り上げるという経験からは、なにものにも代えがたい達成感を味わうことができるでしょう。

4.コツコツとした作業が得意

コツコツと地道に作業を積み重ねていくことが得意な人も、機械設計エンジニアに向いていると考えられます。

機械設計エンジニアの仕事では地道な作業が多いです。製品の製造においては多くの部品が必要になるので、すべてにおいて細かな寸法まで設計図に記さなくてはなりませんし、テストを繰り返しミリ単位の調整を何度もしなくてはなりません。

さらに、構想設計や詳細設計、生産設計など、多くの過程を経ることになります。こういった多くの工程において、地道に作業を進めていくことが得意な人には向いているのです。

5.チームプレイが好き

チームプレイが好きな人にも機械設計エンジニアは向いています。

機械設計の仕事では、自動車や産業機械、電子機器など様々なものを作りますが、基本的にチームで仕事をすることになります。機械製造の工程では、営業や調達、研究、生産管理、製造、経理などさまざまな部門の人とコミュニケーションを取る必要があります。

こういった各部門の人と協力しながら完成を目指すことで、より短期間で高品質な製品を作ることができるのです。チームで役割分担しながら、完成という同じ目標を目指していくことで、製品が完成した際には関係者と大きな喜びを共有できるでしょう。

6.学ぶことが好き

学ぶことが好きであれば、機械設計エンジニアの適性があるかもしれません。

20~59歳のエンジニア800人にした調査では、「エンジニアの8割が自身の専門分野以外の知識や経験が必要になったことがある」と答えており、77.4%のエンジニアが「今後エンジニアには複数分野の専門知識が必要になると思う」と回答しています。

機械設計エンジニアも、電気や電子、AIやIoT、DXなどの知識が必要とされると考えられるので、学習をしていかなくてはなりません。学びを続けることで新しい知識を取り入れることが好きな人は機械設計エンジニアに向いているでしょう。

7.仕事にやりがいを求める

仕事にやりがいが欲しい人も、機械設計エンジニアが向いています。

日経BP社による「エンジニア転職意識調査」を見ると、電子・機械系エンジニアはITや建築・土木、その他のエンジニアよりも「やりがい」を重視する人が多いことが分かりました。機械設計エンジニアはこの「電気・機械系エンジニア」に含まれます。

機械設計エンジニアは、モノづくり大国である日本の代表的な製造業でもあるので、やりがいと誇りを持って仕事をしているということが伺えます。モノづくりに興味があり、仕事においてやりがいを感じたい人は機械設計エンジニアを目指すのがおすすめです。

機械設計エンジニアに求められる知識・スキル

機械設計エンジニアを目指す場合、向いているかといった適性だけでなく、求められる知識やスキルのことも考えておかなくてはなりません。どのような知識やスキルが必要になるのでしょうか。

力学・工学の知識

機械設計エンジニアの業務において、力学や工学の知識は必須です。

機械設計エンジニアは、材料力学・機械力学・流体力学・熱力学の4力学を理解しておかなくてはなりません。これらの力学によって、機械を動かすための力をどのように作るか、機械が生み出す力によってどのような影響があるかを知ることができるのです。正常に動作し、使用を続けても故障せず、長く利用できる機械を作るためには、こういった力学の知識が必要となります。

また、機械の動きを予測し制御するための制御工学、電子部品を組み合わせるためのメカトロニクスの知識といった工学の知識も必要になります。このように、機械設計エンジニアには広範な力学と工学の知識が求められます。

ソフトウェアスキル

機械設計エンジニアの業務においては、様々なソフトウェアを利用することになります。

設計においては3Dの立体モデルで図面を作成し、シミュレーションを行うためにCADやCAM、CAEといったツールが利用されます。これらのツールを利用することで、高精度な設計図を作成でき、強度計算や動作の解析を行うことができます。だからこそ、ソフトウェアの操作スキルは必須なのです。

また、AIを活用したソフトウェアなどもあり、設計を一部自動化することができます。こういったソフトウェアの使い方も身につける必要が出てくるでしょう。

コミュニケーション力

機械設計エンジニアにはコミュニケーション力が求められます。プロジェクトはチームで行うことが多く、チーム内のコミュニケーションがスムーズに取れないと進行に遅れが出てしまい、最悪納期に間に合わないといった事態を招いてしまいます。

また、機械設計エンジニアはクライアントともやり取りをする機会があります。クライアントから要望をうまく聞き出すとともに、認識に齟齬がないよううまくコミュニケーションを取らなくてはなりません。

機械設計エンジニアにはプロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション力が求められます。

機械設計エンジニアにおすすめの資格

機械設計エンジニアは、資格を取得することで自身の能力や適性をアピールすることができます。向いているかどうかを確認するためにも、資格取得への挑戦がおすすめです。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験を受け合格することで、機械設計エンジニアの業務で求められるCADの操作スキル、作図スキルがあることを証明することができます。

CAD利用技術者試験では、2次元CADと3次元CADの試験があります。それぞれ難易度によって級で分かれています。あまり経験や知識がない人は2級や基礎の試験から受けるのがよいでしょう。

1級や準1級の試験では実技があり、作図やモデリングなどのスキルが試されます。2次元CAD利用技術者試験の1級では、機械や建築、トレースから選択することになるので、機械の試験を選択してください。

機械設計技術者

機械設計技術者試験は、安全で効率のよい機械を経済的に設計する能力を測るための試験です。国家資格ではなく民間の資格となります。

機械設計技術者試験には1、2、3級があります。1、2級では一定の経験をした人が対象になっており実務経験が必要になります。3級はこれから機械設計を行っていく新人や学生を対象にした試験であり、実務経験は必要ありません。3級では詳細設計の補佐、関連する製図等の業務を行なえる能力を測ります。

技術士

技術士とは、科学技術に関する高度な知識と応用能力を持っていることを証明できる国家資格です。

技術士試験には一次試験と二次試験があります。第一次試験の内容は、大学のエンジニアリング課程(工学、農学、理学等)程度です。こちらは誰でも受験が可能です。

二次試験は、21の技術部門の中から選択する1技術部門について、幅広い知識と高等な専門技術の豊富な経験による総合的な判断能力を求められます。機械設計エンジニアの場合には機械部門を選ぶのがよいでしょう。

ただし、二次試験の受験資格としては以下のようなものがあるので、一定の実務経験がなくてはなりません。

  • 技術士補に登録し、技術士補として通算4年を超える期間技術士を補助したことのある者
  • 技術士補となる資格を有した日から、指導の業務を行う者の監督のもとに業務に従事した期間が通算4年を超える者
  • 計画、研究、設計、分析、試験、評価の業務、またはこれらに関する指導の業務に従事した期間が通算7年を超える者

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機械設計エンジニアに向いている人の特徴や必要な知識やスキル、資格などを解説してきました。今回の記事を読んで、自分が向いていると思ったらぜひ機械設計エンジニアを目指してみましょう。

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