工場における設備保全のお仕事に興味がある人のなかには、その年収が気になる人も多いと思います。いったいどれくらいの年収が得られるのでしょうか。また、設備保全の仕事は将来的にも仕事がなくならず、十分な給与をもらえるのでしょうか。
この記事では、設備保全の年収を紹介するとともに、設備保全の将来性や就職したあとに年収を上げる方法を解説します。設備保全に適性のある人や、仕事に向いている人の特徴なども紹介するので参考にしてください。
目次
設備保全の仕事とは
設備保全とはどのような仕事なのでしょうか。設備保全の仕事とは、主に産業用ロボットや化学プラントなどの工場が安定的に稼働できるように、工場の機械の保守・メンテナンス、修理を行う仕事です。
工場では様々な機械が動いていますが、稼働を続けていくと摩耗などによって故障が起こる可能性があります。機械が故障してしまうと生産に大きな影響が出てしまうので、そういった影響が出ないように日々チェックやメンテナンス、修理を行う必要があるのです。
そして、設備保全の仕事ではあらゆる機械の保全を行うので、幅広い知識が求められます。厚生労働省の「職業情報提供サイト」では、設備保全の人口は401,150人とされています。
設備保全の年収
設備保全の仕事の年収はどれくらいなのでしょうか。
平均年収
厚生労働省のサイトを見ると、「産業用ロボットの保守・メンテナンス」「紡織設備管理・保全」「物流設備管理・保全」などのような、設備保全の仕事の平均年収は512万円となっています。
国税庁の調査を見ると、日本の平均給与は461万円なので平均よりも高い給与が得られることがわかります。
また、月額の給与が50~59.9万円の人は2.43%、60~69.9万円の人は0.76%いるので、600万円以上の年収も期待できることがわかります。
年齢別の年収
設備保全の年齢別の年収は、以下のようになっています。
20~24歳 | 351.33万円 |
---|---|
25~29歳 | 425.04万円 |
30~34歳 | 496.54万円 |
30~34歳 | 496.54万円 |
35~39歳 | 535.77万円 |
40~44歳 | 560.4万円 |
45~49歳 | 599.03万円 |
50~54歳 | 620.54万円 |
55~59歳 | 645.22万円 |
60~64歳 | 450.43万円 |
65~69歳 | 328.98万円 |
70歳~ | 321.55万円 |
このデータを見ると、設備保全の年収がもっとも高くなるのは55~59歳で645.22万円です。20~24歳は351.33万円ですが、年齢を経るごとに順調に年収は高まっていくことがわかります。
60歳から年収は下がりますが、65~69歳でも328.98万円であり、70歳以上も321.55万円となっています。これを見ると、設備保全は年齢を経ても一定の年収が確保できる仕事といえるでしょう。
設備保全の将来性
では、設備保全の仕事の将来性はあるのでしょうか。将来に需要がなかったり、働く人が多くなりすぎたりすると、年収も下がってしまうでしょうし、そもそも働き口がないということになってしまいます。
設備保全業界は人材不足
まず、現在の設備保全業界について見ていきます。富士電機の調査を見ると、『保全・点検部門の人材不足の状況について、「非常に不足している」と回答したのは全体の17.1%、「不足している」が34.1%』とされています。つまり、51.2%が不足を感じていることになります。
そして、人材不足が保全業務に及ぼす影響については、『「深刻な影響がある」と回答したのは全体の13.2%、「影響がある」が55.1%』となっています。
保全部門の人材不足が業務に与えている影響としては、「業務知識・ノウハウの技術継承の不足」が52.7%となっており、人材不足によって知識や技術が伝えられず、より人材不足による影響を悪化させていると考えられます。そして、将来的にはより業務に支障をきたし、人手不足が進むと考えられます。
設備保全業界の今後
設備保全業界の今後はどのように変化していくのでしょうか。日本プラントメンテナンス協会の「2023年度 メンテナンス実態調査 報告書」を見ると、
75.3%の回答者が「保全がより難しくなっている」と感じています。その理由としては設備の老朽化による業務量の増加が考えられます。現に、設備管理・保全の業務量は自社従業員で66.4%、外注業者が42.5%が増加していると感じるという結果になっています。さらに、高経年設備状況のものは63%が増加していると感じています。
さらに、日本プラントメンテナンス協会は、「今後増加が予想される自動化設備やロボット設備に関する専門保全やカーボンニュートラルへの対応が迫られる」ので、設備保全の役割や重要性が高まっていくとされています。設備保全業界は将来も需要が高まり、年収も高まっていくでしょう。
設備保全の仕事で年収を上げる方法
設備保全には将来性があることがわかりましたが、設備保全に就職した場合に年収を上げるためには何をすればよいのでしょうか。
資格を取得する
資格を取得することで設備保全の年収を上げることができる可能性があります。資格を取得することで、自身の技術や知識を証明することができますし、年収を上げることができるかもしれません。また、企業のなかには特定の資格取得者に対して、報酬を与えたり昇給をしたりする企業もあります。
厚生労働省の資料によると、設備保全に関連する資格・検定は以下とされています。
厚生労働省による技能検定 | 鋳造(鋳鉄鋳物鋳造作業・鋳鋼鋳物鋳造作業・軽合金鋳物鋳造作業・銅合金鋳物鋳造作業)(特級・1級・2級) 油圧装置調整(特級)、油圧装置調整(油圧装置調整作業)(1級・2級) 機械検査(特級)、機械検査(機械検査作業)(1級・2級・3級) |
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一般社団法人日本鋳造協会認定 鋳造カレッジ | 鋳造技士 |
ビジネス・キャリア検定試験 | 生産管理プランニング(1級~3級)、生産管理オペレーション(1級~3級) |
労働安全衛生法に定める資格 | 労働安全衛生資格(作業主任者、免許等)、消防法の危険物取扱資格 |
電気技術者試験センター | 第三種電気主任技術者 |
設備保全の仕事では、工場の設備には鋳造で作られたものが多くあります。ですので、鋳造技士などの資格が有効です。
また、装置についての確認を行うには油圧装置や機械検査、電気技術などについての知識も必要です。さらに、工場を安全に管理するための安全衛生についての知識も必要になります。
キャリアを積む
設備保全の企業でキャリアを積むことで年収を上げることができます。ひとつの企業でキャリアを積み、様々な業務に携わることで役職を得ることもでき、年収を上げることができるでしょう。
職業情報提供サイトの年齢別年収のデータでも、年齢を重ねるにしたがって年収は高まっているので、キャリアを積むことで年収が上がることがわかります。ただし、企業によって年収の上昇具合は変わるので、しっかりと企業を選ぶようにしましょう。
入社した企業がなかなか年収が上がらない場合には、転職を考えるのもひとつの手です。
転職する
転職をすることで、設備保全の仕事で年収を上げられる可能性があります。設備保全の経験者の場合、転職をするときに現在の年収よりも高い金額を交渉することで年収を上げられます。
では、どのような企業に転職をすべきでしょうか。まず、こちらのデータでもわかるとおり、企業規模が大きくなると年収も上がる傾向にあります。企業規模が現職よりも大きな企業に転職をするのもよいでしょう。令和5年度の設備保全の有効求人倍率は5.99であり、人が足りていないので転職はしやすいといえます。
さらに、転職で年収を上げる場合には、転職エージェントを利用するのがよいでしょう。転職エージェント利用者は非利用者と比べ転職時の年収アップ成功率が高いというデータがあります。
設備保全の仕事が向いている人とは
設備保全の仕事には適性があります。向いている人であれば、より高い年収も期待できるはずです。
真面目な性格
真面目な性格の人は設備保全の仕事に向いているかもしれません。
設備保全の仕事においては、故障や異常が発生しないように設備の保全をするという、予防保全が重要になります。そのためには、定期点検や部品交換やメンテナンスを日々きっちりとしなくてはなりません。
点検項目を省略したりメンテナンスを後回しにしたりといったように、怠けるようでは後に大きな問題が起こってしまいます。責任感を持ってコツコツと業務を行える真面目な性格の人であれば、注意深くチェックを行い、こまめにメンテナンスを行うので向いているでしょう。
機械が好きな人
機械が好きな人は設備保全に向いています。
設備保全の仕事では、業務の多くの部分を機械の点検やメンテナンスにあてることになります。機械をチェックし消耗や異変をいち早く見つけることが求められますので、機械の構造や素材、動作に関心がある人であれば、より業務をまっとうできるでしょう。
また、機械が好きな人であれば、機械に囲まれて仕事をするという環境を楽しむことができるはずです。
機械や電気の知識がある
機械や電気についての知識がある人は、設備保全の適性があります。
設備保全の仕事では、設備の保守をするために機械や電気についての専門的な知識が求められます。例えば、機械構造や油圧・エア・電気の知識、機械図面や電気図面の読解力などが必要です。
大学の工学部や高専などで機械や電気の知識を学んでいれば、業務で必要とされる知識が初めから身についており、入社してからも抵抗なく働けるでしょう。逆に、こういった知識がないとイチから学ばなければならず、苦手意識を持ったり退職したりしてしまうかもしれません。
コミュニケーション力がある
コミュニケーション力がある人は設備保全の仕事に向いているかもしれません。
設備保全の仕事は基本的にチームで行います。チームメンバーとスムーズにコミュニケーションが取れないと、保全業務に遅れが生じますし、最悪機械の故障などを招いてしまう可能性があります。
また、設備保全では工場の担当者との交渉や調整、機械を稼働させるためのスケジュール調整なども行わなくてはなりません。工事業者などの社外とのコミュニケーションも必要になります。ですので、設備保全にはコミュニケーション力が必要なのです。
自身が向いているかどうかを知りたければ、無料でできるこちらのような適性テストを行ってみるのもおすすめです。
今後の設備保全に求められる能力
今後、設備保全に求められる能力とはどのようなものでしょうか。これらの能力があれば将来も年収を上げやすくなりますし、転職もしやすくなるはずですのでチェックしておきましょう。
マネジメント力
設備保全では、マネジメント力があれば将来的により活躍ができるでしょう。
「2023年度 メンテナンス実態調査 報告書」を見ると、「設備管理・保全の重点施策」として、「マネジメント面での対策状況」があげられており、50.7%が「増加している」としています。マネジメントに関して対策すべきことが多くなっているようです。
また、キャリアを重ねていくうちに、企業内でもチームをマネジメントする役割を求められてくるので、将来の年収アップのためにもマネジメント力を身につけておきましょう。
カーボンニュートラルの知識
カーボンニュートラルの知識も設備保全に求められるものです。
近年の日本では、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルが求められます。工場で働く上では、設備保全においてもこういったカーボンニュートラル実現のための知識が必要になります。
「メンテナンス実態調査 報告書」でも、「カーボンニュートラルへの対応に関する対策状況」で、56.2%が対策が増加しているとしています。今後はよりカーボンニュートラルが求められると考えられるので、将来年収を高めるためにも身につけておくのがよいでしょう。
最新技術のノウハウ
最新技術の知識やノウハウを持っていることも、今後の設備保全の仕事に求められます。
他の部門と同じように、設備保全においてもAIやIoTなどの最新の技術が取り入れられてきました。例えば、AIが人に代わって設備の異変を感知したり、稼働率の改善を行ったり、リードタイムの短縮を行ったりということができます。
「メンテナンス実態調査 報告書」でも、「保全を高度化する取り組み」として、「新技術導入(ハード面)」は他のものよりも高く、45.2%が増加しているとしています。こういった最新技術導入のノウハウや新技術の知識があれば、将来より年収を高めることができるでしょう。
設備保全の就職・転職はベスキャリ機電で
設備保全の年収や年収を上げるための方法、将来性、今後求められる能力、適性について解説してきました。設備保全の仕事は、安定した年収を将来も得られるお仕事です。興味のある人はぜひ就職を検討してください。そして、経験者は転職をして年収を高めるのもよいと思います。
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