半導体フィールドエンジニアは、半導体製品や半導体市場の拡大によってその需要が高まっています。半導体フィールドエンジニアの仕事に興味を持ち、就職や転職をすることを考えている人も多いと思います。ただ、その仕事内容や年収、労働環境などを知りたいという人もいるのではないかと思います。
そこで今回は、機電分野専門の人材紹介を行っているベスキャリが、半導体フィールドエンジニアの特徴や仕事内容、年収、メリットなどについて紹介します。求められる知識やスキルまで解説するので、半導体フィールドエンジニアへの就職や転職に興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
半導体フィールドエンジニアとは
半導体フィールドエンジニアとは、具体的にどのような職種なのでしょうか。まずは半導体フィールドエンジニアの仕事内容や労働環境などを解説します。
半導体フィールドエンジニアの仕事解説
半導体フィールドエンジニアは、半導体製造装置や半導体が組み込まれた装置の保守・メンテナンス、点検、テクニカルサポートを担う専門職です。機械製品におけるサービスエンジニアと同じような役割を持ち、半導体製品の維持管理を通じて、安定した稼働を支えます。
近年、パソコンやスマートフォンの普及、IoTやAI、自動運転などの技術革新により、半導体を活用した製品が急増しています。また半導体の需要の増加によって、半導体を製造する機械の保守・メンテナンスのニーズも高まっています。そのため、半導体製品や半導体製造装置の故障や不具合に迅速かつ的確に対応し、顧客に寄り添って問題解決を行う半導体フィールドエンジニアの重要性が高まっているのです。
半導体フィールドエンジニアはきつい?
半導体フィールドエンジニアの仕事はきついと言われることもあるようですが、本当にきついのでしょうか。確かに、半導体フィールドエンジニアの仕事では、特殊な環境での作業や長時間労働が発生する場合があるため、負担を感じることもあるかもしれません。
また、半導体製造の現場はクリーンルーム内で行われ、微細な塵やホコリが不良の原因となるため、半導体エンジニアは厳格な衛生管理のもとで作業を行わなくてはなりません。白衣や帽子、手袋、マスクの着用が必須であり、靴の履き替えも必要です。半導体フィールドエンジニアも同じようにこういった厳しい環境で作業をしなくてはならない場合があります。このような環境に慣れるまでは窮屈に感じるかもしれません。
また、製造装置のメンテナンスには時間がかかることもあり、場合によっては長時間労働となることがあります。しかし、多くの企業では勤務時間の管理がされており、しっかり休息や休暇を取れるようになっています。そのため、きついと感じるかどうかは個人差がありますが、適切な働き方を意識すれば無理なく続けられる仕事といえるでしょう。
『半導体エンジニアの仕事はきつい?きついと言われる理由、向いている人を紹介』
半導体に関わる他の職種
半導体に関わる職種はフィールドエンジニア以外にも様々なものがあります。例えば以下の職種が挙げられます。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
半導体エンジニア | 半導体を取り入れた集積回路の設計や開発、製造、品質管理などに携わる職種 |
半導体プロセスエンジニア | 半導体製造の設備や材料、コスト調整、最適化など管理業務を主に担う職種 |
半導体デバイスエンジニア | 半導体素子の設計から評価・解析、研究計画の立案などマネジメント業務などを行う職種 |
半導体テストエンジニア | 製造した半導体の性能や耐久性などをテストし、不良品などを検出する仕事 |
半導体製造装置メンテナンスエンジニア | 半導体の製造プロセスの中で活用する装置の維持・管理を担当する職種 |
半導体フィールドエンジニアの仕事内容
半導体フィールドエンジニアは、半導体エンジニアのように半導体素子や半導体製品、半導体製造装置の設計・開発などには基本的に携わりません。では、どのような仕事をするのでしょうか。続いては、半導体フィールドエンジニアの仕事内容について解説します。
導入支援
半導体フィールドエンジニアは、半導体製造装置や半導体を組み込んだ装置を顧客がスムーズに導入できるよう支援する役割を担っています。
半導体製造装置や半導体製品の導入には、企業ごとに異なる技術要件や運用環境への適応が必要です。そのため、フィールドエンジニアは各顧客のニーズを把握し、最適な導入プロセスを設計・実行しなくてはなりません。例えば、新規導入時の技術指導や、既存システムとの互換性を考慮したカスタマイズ、トラブル対応などを行います。
このように、半導体フィールドエンジニアは単なる技術サポートにとどまらず、顧客ごとの課題を理解しながら円滑な運用につなげる導入支援を行わなくてはならないのです。
点検・メンテナンス
半導体フィールドエンジニアの重要な仕事に点検やメンテナンスがあります。半導体製造装置や半導体製品の安定稼働を維持し、顧客の業務に支障をきたさないためには、定期的な点検・メンテナンスが不可欠です。
半導体装置は繊細であり、温度の変化や水分などで故障してしまうことがありますし、少しのズレで製品のパフォーマンスに大きな影響を与えてしまいます。そのような事態になると顧客の業務に影響を与えてしまうので、定期的な点検・メンテナンスが重要なのです。
半導体フィールドエンジニアは、導入後の装置や製品を定期的にチェックし、必要なメンテナンスを実施することで、安定した運用環境を提供します。
技術サポート
半導体フィールドエンジニアは、技術的な課題に対して迅速かつ柔軟に対応し、問題解決へ導くという技術サポートの役割も担っています。半導体製造装置や半導体製品は複雑な機構を持った機械であり、操作やメンテナンス、調整などには専門的な知識が必要な場合があります。そういった技術的なサポートを半導体フィールドエンジニアが行うのです。
具体的には、顧客からの操作方法や仕様、素材、運用方法などに関する問い合わせを受け、それに対して適切な対応を行います。問い合わせの内容によっては、メールや電話で解決できる場合もありますが、現場に赴いて直接サポートを行うこともあります。
迅速に対応するには、半導体装置の内部の仕組みや仕様、半導体自体の性質、電気や電子、機械などについて精通していなくてはならないので、半導体フィールドエンジニアには専門的な知識が求められます。
トラブル対応
トラブル対応は、半導体フィールドエンジニアの重要な役割のひとつです。
半導体製造装置や製品にトラブルが発生した際は、迅速な対応が求められます。半導体製造装置に問題が起こった場合には、半導体の製造がストップしてしまいます。半導体を組み込んだ製品に故障が起こった場合には、半導体は機器の心臓部分なので機器が利用できないということになってしまうでしょう。だからこそ、迅速なトラブル対応が必要とされるのです。
このような緊急事態を解決するために、半導体フィールドエンジニアは現地に赴き、故障箇所や原因の分析を行うとともに、素早く修理を行います。トラブルが再発しないよう対策を考え、トラブルの発生を未然に防ぐのも半導体フィールドエンジニアの仕事となります。
製品営業
半導体フィールドエンジニアは技術職でありながら営業的な役割も担うことがある職種です。半導体フィールドエンジニアは日々の業務のなかでお客様のもとを訪問するので、既存顧客に接する機会が多いです。だからこそ、新たな課題をいち早く聞き出すことができますし、自社製品に興味を持っている顧客に対して製品の案内や提案を行うことができます。
また、定期的なメンテナンスを行うことで顧客と長期的な関係を築くことができるので、顧客のロイヤリティを高めることができ、長期的な関係構築、アップセルなどにも寄与できるでしょう。そのため、技術力だけでなく営業的な視点やコミュニケーション能力も求められる職種といえるでしょう。
半導体フィールドエンジニアの年収
半導体フィールドエンジニアとして働く場合、どれくらいの年収が期待できるのでしょうか。ここからは、半導体フィールドエンジニアの年収を、フィールドエンジニアを含む半導体エンジニアの年収とともに紹介します。
半導体エンジニアの年収
半導体フィールドエンジニアは、半導体エンジニアのなかに含まれます。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、半導体エンジニアの平均年収は688.2万円となっています。国税庁による令和5年の調査では、日本の給与所得者の平均年収は460万円でしたので、半導体エンジニアの年収の水準が高いことがわかります。
さらに、職業情報提供サイトで提供されている年齢別のデータを見ると、50~54歳の年収が最も高く、841.26万円に達しています。60歳以降も400~500万円を維持しており、半導体エンジニアは高齢になっても比較的安定した収入を確保しやすい職業といえます。このように、半導体エンジニアはキャリアを重ねることで高収入を維持できる可能性が高い職種です。
半導体フィールドエンジニアの年収
では、半導体エンジニアのなかの半導体フィールドエンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。ベスキャリ機電のフィールドエンジニアの求人を見ると、月額では約25万円~約70万円と幅がある状態となっています。半導体フィールドエンジニアの年収としては約300万円~約840万円になることがわかります。
フィールドエンジニアは半導体エンジニアの年収よりも若干低い傾向があるようです。これは、半導体フィールドエンジニアは開発や製造ではなく、主にサポート業務を担当することが理由かもしれません。しかし、メンテナンスやトラブル対応などは重要な仕事であり、業績次第では昇給の可能性もあります。
『半導体エンジニアの年収とは?将来性や高収入を目指す方法、必要な能力を解説』
半導体フィールドエンジニアとして働くメリット
半導体フィールドエンジニアとして働くメリットは何でしょうか。
需要が大きい
半導体フィールドエンジニアのメリットとしては、需要が大きいということが挙げられます。
総務省が発表した半導体市場の動向に関するデータによると、世界の半導体市場(出荷額)は2015年以降増加傾向にあり、2022年には12兆5,493億円に達しました。前年と比較すると32.1%の増加であり、市場が急速に拡大していることがわかります。
市場の成長に伴い、半導体関連の仕事の需要が高まり、今後もその傾向は続くと考えられます。実際、半導体エンジニアの人材不足は深刻化しています。経済産業省の工業統計調査によると、1998年に約23万人いた半導体人材は、2019年時点で約17万人まで減少しています。このように、半導体の需要が拡大する中で半導体エンジニアの数が減少しているため、半導体フィールドエンジニアもまた採用される可能性が高いでしょう。
人と関われる
半導体フィールドエンジニアは、人と関わることができる仕事です。半導体エンジニアは顧客を訪問し、コミュニケーションを取りながら使用感や現状の課題、トラブルなどの情報を聞き出すことが求められます。日々の業務のなかで人とふれ合いながら仕事をすることができるので、1人で黙々と仕事をするのが苦手というような人には合っているかもしれません。
さらに、半導体フィールドエンジニアはチームで仕事を行います。半導体装置は精密でさまざまなパーツが組み合わされていますし、点検や修理などには複雑な作業が必要になるので、複数人で作業を行うことになります。さらに、多くのクライアントのメンテナンスや保守を行わなければならないのでチームで定期点検や修理対応にあたるので、チームのメンバーと協力し合って仕事を行うことになります。
エンジニアとしての知識やスキルを活かして顧客の課題を解決することで、直接感謝の言葉をもらえる機会もあるでしょう。問題解決の達成感だけでなく、人と関わることによってやりがいを感じられるはずです。
柔軟な働き方ができる
半導体フィールドエンジニアは、柔軟な働き方ができる仕事です。半導体フィールドエンジニアは顧客先を訪問することが多いので、移動時間が多いですし、直行直帰をすることも多いです。訪問先の選定や順序の検討などもできるので、自由に1日の予定を組むことができるでしょう。
また、近年ではリモートでの機器のモニタリングや、リモートワークと出張を組み合わせた勤務形態、遠隔地からの業務を支援するVR技術などを活用している企業も増えています。遠隔地まで訪問せずに仕事ができるなど、訪問の負担を減らすとともに柔軟な働き方が可能になっています。
それによって、個々のライフスタイルや業務内容に応じた柔軟な働き方が実現しやすくなっています。
知識とスキルを高められる
半導体フィールドエンジニアは知識とスキルを高められるのも魅力です。業務を通じて半導体装置の設計や構造についての知見が得られますし、半導体自体の特性、電気・電子、回路の知識などといった専門的な知識を得ることができます。
また、フィールドエンジニアは日常的に顧客と接するとともにトラブル解決なども行うので、コミュニケーション能力や問題解決能力、クレーム対応力といったスキルも高めることができます。現場での対応を重ねることで、知識やスキルの双方が身に付き、成長を実感できる職種といえるでしょう。
半導体フィールドエンジニアに求められる知識・スキル
では、半導体フィールドエンジニアになるにはどのような知識やスキルが必要なのでしょうか。
コミュニケーション能力
半導体フィールドエンジニアには、コミュニケーション能力が求められます。上でも説明したとおり、半導体フィールドエンジニアは顧客を訪問しトラブルやニーズのヒアリングをする機会が多いですし、チームで仕事をする場面が多いです。だからこそ、コミュニケーション能力が不足していると円滑に業務を進めることができないということになってしまいます。
また、半導体の分野は専門性が高いので、顧客にかみ砕いてわかりやすく説明する能力が求められます。故障やトラブルが発生した際にも、状況を正しく報告し、顧客の不安を取り除きながら丁寧に解決策を提示する必要があります。
丁寧かつスムーズに対応をしなくてはクレームにつながることもあるので、半導体フィールドエンジニアにとってコミュニケーション力は必須の能力といえるでしょう。
問題解決力
半導体フィールドエンジニアには問題解決力も求められます。半導体フィールドエンジニアは、装置の不具合やシステムエラーのような突発的なトラブルに対応することや顧客からの問い合わせへの対応が業務内容となります。
半導体装置は複雑な構造を持ち、電気回路や機械制御の知識、さらには装置ごとの特性を理解するスキルが必要になります。そのため、専門的な知識を活かしてトラブルの原因を究明し、迅速な復旧を行う問題解決力が欠かせません。また、同じ問題が繰り返し発生しないよう、根本的な改善策を提案することも求められます。
このように、半導体フィールドエンジニアは技術的な視点から問題を解決し装置の安定稼働を支える仕事であるため、高い問題解決能力が求められます。
工学への興味
半導体フィールドエンジニアにとって工学への興味も大事な要素です。半導体フィールドエンジニアの業務では、自社製品に関する知識をはじめ、半導体、電子や電気、機械、制御などの広範な工学の知識が求められます。半導体分野は日々研究や開発が進められており、新しい技術や製品の最新情報を取り入れ続けなくてはなりません。
また、半導体フィールドエンジニアの現場では、装置の調整や修理が思い通りに進まず、試行錯誤を繰り返す場面もあります。そうした状況でも、工学への興味や知的好奇心があれば、粘り強く解決策を見出すことができるでしょう。
したがって、半導体フィールドエンジニアにとって工学への興味は欠かせない要素のひとつなのです。
半導体のフィールドエンジニアへの就職・転職はベスキャリ機電で
半導体フィールドエンジニアは、半導体製造装置や半導体製品の保守・メンテナンスや技術サポートを担う重要な職種です。半導体フィールドエンジニアとして働くには半導体や電気工学、機械工学などの知識が求められますが、企業によっては研修などを行い、未経験者をイチから育成している企業などもあります。理系大学を卒業したけれども異業種で働いていた人や理系の経験がない人でフィールドエンジニアに興味があるという人は、そういった求人に応募してください。
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