電気設計の仕事の年収とはどの程度なのでしょうか。これから電気設計の仕事を目指そうと考えている人のなかには、年収の水準や将来にわたってどれくらいの年収がもらえるのか知りたいと思う人も多いと思います。

この記事では、電気設計エンジニアの年収について、他のエンジニア職との比較や年齢別の年収なども踏まえて詳しく解説します。高収入を得るために必要なスキル、年収アップを目指す方法も紹介するので、電気設計エンジニアへの就職や転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

電気設計エンジニアとは

まずは電気設計エンジニアの仕事内容や労働環境について解説しておきます。

仕事内容

電気設計エンジニアは、電気自動車や産業用ロボット、スマートフォンなどの電気を使用する機器の設計・開発・保守、電気設備や施設の電気の流れや配線を設計する仕事です。電気製品の制御プログラムや電気機器の基盤の設計、プラントや施設の電力供給システムの設計や開発など、電気を使用する幅広い設備、製品に関わります。

電気回路の設計をするとともに、配線の設計、電子部品の選定、PLCのソフト設計、製造、テストなどを行い、安全で効率よい電気製品・設備の開発・製造を行います。このように電気設計エンジニアの仕事は、電子機器や電力、交通インフラなどの分野で、重要な役割を果たしています。

労働環境

電気設計エンジニアの勤務先は自動車メーカーや家電メーカー、半導体製造企業、医療機器メーカーなどさまざまです。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、電気設計エンジニアの雇用形態は正社員が多いものの、契約社員や期間従業員、派遣社員、パートタイマーとして働く人も一定数存在することがわかります。勤務形態に関して、シフト制を採用している企業もあります。賃金や労働時間などの条件は、勤務先の企業によって異なります。

また、「エンジニアの実態」に関するアンケート調査では、電気・機械系のエンジニアの29.7%が「給与・待遇よりも仕事のやりがいを大事にしたい」と回答しており、ソフトウェア系エンジニアや事務系会社員と比較して高い割合を示しています。このことから電気設計エンジニアの仕事では、やりがいを求める人が多いとわかります。

電気設計エンジニアの年収

次に、電気設計エンジニアの年収についてみていきましょう。

平均年収

職業情報提供サイトによると、全国の電気設計エンジニアの平均年収は688.2万円となっています。

国税庁による令和5年度の民間給与実態統計調査によると、日本の給与所得者の平均年収は460万円です。このことから電気設計エンジニアは平均よりも高い収入を得られる職業だといえます。

一方、経験やスキル、仕事内容によって電気設計エンジニアの年収には幅があります。ベスキャリ機電に掲載中の求人を確認してみると、電気設計エンジニアに関する求人で示されている年収は300万円程度から1,000万円までさまざまです。このように電気設計エンジニアの平均年収はそもそも高いですが、スキルや経験を活かして、さらに高い年収を得ることも可能です。

他のエンジニア職との比較

他のエンジニア職と電気設計エンジニアを比較すると、どの程度の差があるのか気になる方もいるはずです。職業情報提供サイトによると、機電系の他のエンジニア職は以下のような年収となっています。

職種名 平均年収
機械設計技術者 612.4万円
半導体技術者 688.2万円
電子機器技術者 688.2万円

電気設計エンジニアの平均年収は、機械設計技術者より高く、半導体技術者や電子機器技術者の平均年収688.2万円と同じ水準となっています。電気設計エンジニアは、他のエンジニア職と比較しても、同程度の年収もしくは高い年収を得られる職種といえるでしょう。

年齢別の年収

電気設計エンジニアの年収は、年齢ごとにどのように変化するのでしょうか。

職業情報サイトの「年齢別の年収グラフ」を確認してみると、電気設計エンジニアの年収は19歳未満で286.35万円、20~24歳で356.5万円となっています。それ以降は年収が徐々に増加し、50~54歳で最も高くなり841.26万円となります。

そこから年収は減少していきますが、55~59歳で840.42万円、60~64歳で568.3万円、65~69歳で543.29万円、70歳以降でも438.89万円と日本の給与所得者の平均年収と比較しても高い水準です。

このことから電気設計エンジニアは、キャリアを重ねていくことで長期的に安定した給与が得られる職種だとわかります。

給与分布

次に、職業情報提供サイトの「所定内給与額別の人口割合」をもとにどれだけの給与をどれくらいの人が得ているかをみていきます。

電気設計エンジニアの給与分布をみると、月額の給与が最も多いのが40万円~44.9万円の層で13.1%となっています。60万円~69.9万円は6.7%、70万円~79.9万円も1.78%、80万円~89.9万円の人たちも0.82%存在しており、大きな金額を稼ぐことも可能であることがわかります。

このように電気設計エンジニアの給与は40万円台がボリュームゾーンですが、それ以上の高い月収も目指せる職業となっています。

将来の電気設計エンジニアの年収は?

電気設計エンジニアとして働くにあたり、長く安定した収入を得られるのか、将来も収入の水準が下がらないのかなど、将来性を気にする方は多いはずです。ここでは、電気設計エンジニアの将来性について解説します。

将来の電気設計市場

国土交通省による令和4年建設業実態調査の結果によると、設備工事業の国内売上高は3兆1,534億円となっています。

平成初期における設備工事業の売上高と比較すると減少傾向ですが、ここ数年は大きく変化しているわけではありません。売上高が横ばいの状態が長く続いていますし、電気を使用した設備や機器の需要が大きく減ることはないと思われるので、将来にわたって電気市場の規模は変わらないと考えられます。

電気設計エンジニアの将来の年収

では、電気設計エンジニアの将来の年収はどうなっていくのでしょうか。現在、電気設計の業界は人手不足の状況であり、職業情報提供サイトにおける電気設計エンジニアの有効求人倍率は2.69です。

また、経済産業省が企業を対象にして行ったアンケート調査の結果、人材が不足する分野は機械工学が12.4%で最多となっています。次いで、電力、アナログ・デジタル回路の分野が7.5%という結果です。

技術者が不足する理由として「団塊世代の退職や離職」を挙げる企業が多く、少子高齢化が続くことを考えると、電気設計の業界においても同様の理由による人手不足が続くと考えられます。将来的にも電気設計エンジニアの需要は大きいことが予測され、年収も高くなると考えられます。

電気設計エンジニアで高収入を得るために必要なスキル

電気設計エンジニアとして高収入を得るためには、どういったスキルが必要なのでしょうか。

電気工学への幅広い知識

電気設計エンジニアとして評価を得て高収入を得るためには、電気工学に関する幅広い知識が求められます。

電気機器や設備の電気回路の設計や配線を行うには、電荷や電圧、電流などの基礎理論、コンデンサや抵抗といった電子部品の特性、安全な電気の扱い方、発電や電力供給の仕組みなどを知っていなくてはなりません。電力工学・制御工学・信号処理といった分野の知識の理解も必要です。これらの知識があることで、効率的で安全な電気回路やシステムの設計が可能になるのです。

さらに、高度な電気設計を行うためには、各種規格や法規の理解、回路解析の手法、電気システムの最適化技術なども習得しておく必要があります。このように、電気設計エンジニアとして高収入を得るためには、電気工学に関する幅広い知識が重要です。

電気設計に必要な知識とは?就職・転職するためのポイントも紹介

ソフトウェア操作スキル

電気設計エンジニアとして年収を高めるには、ソフトウェアの操作に関するスキルも重要です。

電気設計における回路設計や電気システムの開発では、CADを操作するスキルが不可欠であり、その習熟度が設計の効率化や品質向上に直結します。回路のシミュレーションや解析を行うための専用ソフトウェアも活用されており、設計の精度や効率を高めるためにはこれらのツールを適切に使いこなすスキルが必要です。

現在では、AIを活用した設計支援ツールや自動最適化機能を備えたCADも登場しており、これらの最新技術に対応できるスキルも今後の電気設計エンジニアにとって重要になるでしょう。

このように、業務で必要なソフトウェアを使いこなしてより効率と生産性を高められる、電気設計エンジニアは評価され年収も高まるでしょう。

コミュニケーション力

コミュニケーション力も評価される電気設計エンジニアに必要なスキルです。

電気設計の現場では、チームでの作業が基本となり、円滑な情報共有や意見交換が求められます。設計の精度を高めるためにも、メンバー間での連携を強化し、効率的に業務を進めることが重要です。

また、電気設計エンジニアは、開発・製造・営業などの他部署と連携しながら業務を進めることが多くですし、クライアントや関係企業とのやり取りも発生します。専門知識を持たない相手に対しても分かりやすく説明する能力や、相手の意図を正確に理解する力が業務の円滑化や信頼関係の構築につながります。

このように、電気設計エンジニアにとっては、社内外を問わずコミュニケーション力を磨き、技術的な調整や交渉をスムーズに進めることが評価につながるでしょう。

マネジメントスキル

電気設計エンジニアとして高い年収を得るためには、マネジメントスキルも重要です。

企業でキャリアを積み管理職として活躍するためには、チームのメンバーを統率し、プロジェクトを円滑に進める能力が求められます。マネジメントを担う立場では、技術力だけでなく、計画立案や人材育成、組織の調整力も必要になります。

また、プロジェクトマネージャーとしての役割を果たすためには、スケジュール管理、予算管理、資材配分といった経営的な視点も不可欠です。専門職としてのキャリアを築く場合でも、効率的にプロジェクトを進めるためのマネジメントスキルは評価されるポイントとなるでしょう。

このように電気設計エンジニアが将来ステップアップしていき高収入を得ていくには、マネジメントスキルが必須といえるでしょう。

電気設計エンジニアの年収を上げる方法

最後に、電気設計エンジニアとして年収アップをするための方法を解説していきます。

リスキリングを行う

上でも高収入を得るのに必要なスキルを紹介しましたが、年収を上げるためにはリスキリングが有効です。リスキリングにより習得した知識やスキルが業務の幅を広げるだけでなく、企業からの評価にもつながります。新しい技術を学ぶことで、より高度な設計が可能になり、キャリアアップや昇給のチャンスが増えるでしょう。

経済産業省の調査結果によると、電気系業種に従事する社会人の多くが「機械工学(設計・エンジン・材料・流体等)」や「電力・アナログ・デジタル回路」、「ハード・ソフト(OS・アプリ)・プログラム系」の分野を学び直したいと考えています。

このような傾向を踏まえると、リスキリングすることで他のエンジニアとの差別化を図ることができるでしょう。企業が求める分野に合わせて学ぶことでより高い評価を得られる可能性が高まりますし、年収にも影響するでしょう。

資格を取得する

資格を取得することも、電気設計エンジニアの年収を上げる有効な方法のひとつです。資格を取得することで、自身のスキルや専門知識を証明できるだけでなく、企業によっては資格手当が支給され、収入の直接的な増加につながる可能性があります。

電気設計に関連する資格としては、電気工事に必要な「電気工事士」、建設業で電気工事の専任技術者や監理技術者として活躍できる「電気工事施工管理技士」、発電設備の管理・監督を行う「ボイラー・タービン主任技術者」などがあります。企業の業務内容やキャリアプランに応じて、適切な資格の取得を目指すことが重要です。

資格取得を評価する企業では、昇給や昇格のチャンスが増える可能性があるため、企業の評価制度を確認し、自身のキャリアアップにつながる資格取得を計画的に進めていくとよいでしょう。

役職に就く

役職に就くことでも年収を高めることができます。電気設計エンジニアとして経験を積み、技術力を高めると、プロジェクトリーダーや係長、課長、部長といった役職に就くことができ、それに伴い給与も上がるケースが一般的です。

役職に就くためには、設計業務だけでなく、チームマネジメントやプロジェクト管理など、企業の業務全般に習熟する必要があります。また、リーダーシップやマネジメント能力を磨き、組織の成果に貢献できる存在となることが求められます。

企業によっては、昇格のための評価基準が明確に定められている場合もあるため、基準を確認して必要なスキルや実績を着実に積み上げていきましょう。

転職する

電気設計エンジニアの場合、転職によって年収を高められる可能性もあります。より給与水準の高い企業へ移ることで、待遇の改善が期待できます。特に、大手企業や外資系企業では給与の水準が高いことが多いので、高収入を得られるチャンスがあります。

また、転職で年収を上げるためには、転職エージェントを活用するのが有効です。転職エージェントを利用することで、給与の高い企業を提案してもらえる可能性があります。さらに、年収交渉などもエージェントに行ってもらえるので、より高い金額で契約を行ってもらえるかもしれません。

実際に、転職エージェントを利用した人は、利用しなかった人に比べて年収アップの成功率が高いというデータもあります。転職エージェントを利用して、より良い条件の企業へ転職することを検討してみましょう。

電気設計エンジニアへの就職・転職ならベスキャリ機電で

電気設計エンジニアは平均年収が高く、将来も安定した給与が得られる仕事です。機電分野の経験がある人はぜひ目指してみてください。また、研修や教育を行ってイチから育成を行っている企業などもあるので、未経験者でも電気設計エンジニアはチャンスがある職業です。現在の仕事よりも高い年収を得たいという人は検討してみてください。

「ベスキャリ機電」は機電分野専門の転職エージェントです。15年以上の運営実績があり、非公開求人を含む豊富な求人を取り扱っており、電気設計エンジニアの求人も豊富に掲載しています。

専任アドバイザーがキャリアの相談や面接対策、履歴書のアドバイスといった求職者の転職サポートも実施しています。給与アップの実績も多数あり、電気設計エンジニアの年収を高められる可能性があります。職場見学の同行や入社後のフォローも充実しているため、安心して転職活動を進められるはずです。お気軽にご登録ください。

ベスキャリ機電の無料会員登録はこちら

シェアする