「品質管理の仕事に転職したいけど、どんなスキルが必要?」「品質管理って未経験でもチャレンジできる?」「今より条件の良い職場に転職したいけど、どう進めたらいいか分からない」などの疑問を持っている人も多いと思います。
品質管理の仕事は製造業を中心に幅広い業界で求められていますが、専門性の高い分野だからこそ、経験やスキルによって転職成功の可否が大きく左右されます。品質管理への転職を志しているのであれば、業界のニーズや求められるスキルを正しく理解し、自分に合った職場を見極めることが重要です。
そこでこの記事では、品質管理職への転職を検討している方向けに、品質管理のニーズ、転職事情、年収、転職に有利な知識・スキル、成功のためのポイントについて詳しく解説します。
目次
品質管理のニーズは高い
近年、企業における品質管理の重要性はますます高まっています。その背景には、製品やサービスに対する消費者の目が一層厳しくなっていることや、品質不備による不祥事が企業全体の信頼を揺るがすケースが増加していることが挙げられます。
実際、「ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」によると、日本企業が競争力の源泉として最も多く挙げているのが「生産技術・生産管理・品質管理」となっています。これは「ニーズ対応力」や「設計・開発力」よりも上位に位置づけられており、品質管理が企業の成長戦略において極めて重要な位置を占めていることを示しています。
とくに、自動車・電機・機械といった製造業では、製品のグローバル展開が進む中で国際基準に準拠した品質が求められるようになっており、品質保証や品質改善に関わる高度なスキルを持つ人材へのニーズが高まっています。
このように、品質管理は企業活動を支える中核的な機能であり、その重要性とニーズは今後さらに拡大していくことが予想されます。転職を考えるうえでも、将来性と安定性のある職種といえるでしょう。
品質管理は転職しやすい?
品質管理の分野は、現在どのような転職市場・転職事情なのでしょうか。転職しやすいのでしょうか。業界全体の動向や傾向、企業のトレンドなどをデータをもとに解説していきます。
売り手市場である
品質管理の職種は、現在、売り手市場であるといえます。実際、厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、品質管理に該当する職種の有効求人倍率は4.24倍と、高い水準にあります。これは、求職者1人に対して4件以上の求人があるという状況を意味し、企業側の人材確保が困難であることを示しています。
また、別の調査でも、2022年4月から求人数は右肩上がりで増加しており、2023年1月時点で前年同月比約2割増となっています。このような傾向は、品質管理職のニーズが着実に拡大していることを裏付けています。
品質管理の仕事に就きたいと考えている人にとっては、今はまさにチャンスといえる転職環境といえるでしょう。
品質管理は年齢が高くても転職できる
品質管理の仕事は、年齢に関係なく転職が可能な職種のひとつです。転職者の年齢別データによると、「エンジニア(設計・生産技術・品質管理)」分野では、40代でも全体の10%以上の人が転職を成功させています。これは、品質管理職においては年齢以上に、これまでに培った実績やスキルが重視されていることを示しています。
品質管理は経験によって判断力や対応力が高まる傾向があるため、即戦力としての期待値も高く、ベテラン人材が求められる傾向にあるともいえます。製造業や医薬品業界など、品質を厳しく管理する分野では業務の専門性が高いため、実績のある中高年層の採用ニーズも継続的に存在しています。
そのため、年齢を理由に転職を諦める必要はなく、むしろ強みとして活かせるのが品質管理職の魅力といえるでしょう。
自社育成の傾向
品質管理の分野では、自社で人材を育成する傾向が強まっています。これは、専門的な知識や経験を持つベテラン層の定年退職が進み、即戦力となる若手人材の確保が難しくなっていることが背景にあります。人材不足が深刻化するなか、多くの企業が未経験者を積極的に採用し、自社内で育成していく方針へと転換しているのです。
日経新聞でも、シニア層の大量退職により、技術やノウハウの継承が大きな課題となっていると報じられています。その結果、これまで経験者を中心に行われていた採用活動は、ポテンシャルを重視した未経験者の採用へとシフトしつつあります。実際、多くの企業がOJTや社内研修制度を活用し、自社の品質管理体制に適応できる人材を長期的に育成しています。
このように、品質管理の現場では自社育成が増えており、未経験者にも転職のチャンスが広がっているのです。
品質管理の年収
品質管理の年収はどれくらいなのでしょうか。特徴とともに解説します。
年収の特徴
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、生産・品質管理技術者の平均年収は755.2万円となっており、全体的に高水準であることがわかります。「年齢別の年収」グラフを見ると、25〜29歳では521.55万円からスタートし、その後は年齢とともに着実に上昇。年収のピークは50〜54歳で、971.59万円と高い水準に達します。また、65〜69歳でも平均477.19万円と、定年後も比較的高い収入を維持できるのが特徴です。
このように、品質管理職は年齢を重ねるごとに収入が上がりやすく、かつ年収が下がりにくい職種です。特に50代前半という早い段階で収入のピークを迎える傾向があり、それまでの経験や実績が正当に評価されるため、長期的なキャリア形成がしやすいという点も大きな魅力といえるでしょう。
業種によって年収も異なる
品質管理職の年収は、従事する業種によって大きく異なる傾向があります。
業種ごとに求められる専門性や製品の付加価値、業界全体の収益性が異なるため、同じ品質管理職でも年収に差が生じるのです。一般的に、高度な技術や精密性が求められる業種では、品質管理に対する期待も高く、それが報酬水準に反映されやすくなります。
例えば、「大卒年収調査2023年版 職種別編」によると、機械・メカトロ・自動車などの工業系分野における品質管理職の平均年収は760.2万円と、他分野と比較して高水準です。一方で、素材・化学・食品・バイオといった分野では平均649.2万円とやや低いものの、それでも安定した収入が見込めます。
このように、分野ごとの専門性や業界の規模に応じて年収に差が生じることがあるので注意しましょう。
品質管理の転職に有利な知識・スキルとは
品質管理への転職を目指すときに有利な知識やスキルは何なのでしょうか。これらの知識やスキルを身につけてアピールするようにしましょう。
品質管理に関わる知識
品質管理に関わる知識を身につけておくと、転職で有利になる可能性があります。
品質管理の業務に携わるうえで基本となるのは、製品やサービスの品質を維持・向上させるための基礎知識です。具体的には、品質保証(QA)や品質管理(QC)の基本的な考え方、製造業における品質管理手法、特性要因図、パレート図などの不良品の発生要因の分析手法が含まれます。
特に、ISO9001のような国際的な品質マネジメントシステムの規格に関する理解は、多くの製造業で求められる知識であり、これを理解・運用できることは大きなアピールポイントとなります。また、製造工程の流れや原材料の管理方法、工程能力指数など、品質を数値で管理するための統計的手法に関する知識も有利に働くでしょう。
先端技術の知識・スキル
先端技術の知識やスキルというのも、品質管理が転職をするときに有利になるポイントです。
近年、品質管理の分野ではDXやIoT、AIといった先端技術の導入が加速しており、これらに関する知識やスキルを持っている人材のニーズが高まっています。これらの技術を活用することで、従来の目視や紙ベースでは難しかった品質のリアルタイム把握やトラブルの予兆検知が可能となり、企業にとって大きな競争力につながります。
実際、AI導入企業を対象とした調査では、AIの活用ユースケースとして最も多かったのが「品質管理」で、全体の34.4%を占めています。こうしたデータからも、品質管理におけるAI活用が広がっていることがうかがえます。一方で、品質管理担当者へのアンケートでは、「品質におけるDXやIoTの推進方法がわからない」といった声も多く挙がっており、技術導入のノウハウや人材不足といった課題が現場には残っていることも事実です。
だからこそ、こうした先端技術に関する知識と、現場に適切に導入できる実践力を備えた人材は、企業にとって非常に魅力的な存在となります。
コミュニケーション力
品質管理職への転職を成功させるためには、コミュニケーション力を高めることが重要です。
品質管理の業務では、製造現場の作業員から設計部門、営業部門、さらには取引先企業まで、さまざまな関係者と連携する機会が多くあります。こうした関係者と円滑に意思疎通を図れるかどうかは、品質向上の取り組みを成功させる上で大きなポイントになります。
さらに、社内の改善活動においても、他部署との調整やプレゼンテーションが求められる場面は少なくありません。いくら技術的に優れた提案であっても、相手に納得してもらえる伝え方ができなければ、改善案が採用されないこともあります。そのため、コミュニケーション力は品質管理職において欠かせないスキルなのです。
リスクマネジメントスキル
品質管理職への転職を成功させるためには、リスクマネジメントスキルを身につけておくことが強みになります。
品質管理の現場では、製品や製造工程に潜むリスクを事前に察知し、問題が深刻化する前に適切に対応する力が求められます。特に製造業では、わずかな不具合でも全体の生産効率や製品品質に影響を及ぼし、企業の信頼性を損なう可能性があるため、リスクを最小限に抑えるための予測力や判断力が重要視されます。
さらに、取引先とのトラブルや納期遅延など、外部要因によるリスクにも目を向ける必要があります。こうした場面では、社内外の関係者と連携しながら、迅速かつ適切に対応できるスキルが問われます。トラブルの回避や影響の最小化に貢献できる能力は、転職において有利に働くでしょう。
分析力
品質管理職への転職を成功させるためには、分析力を高めておくことが重要です。
品質管理の業務では、製品の不具合や工程の異常を数値やデータから正確に読み取り、原因を特定した上で適切な対策を講じる必要があります。このプロセスでは、問題の本質を見極めるための論理的な思考力や、データをもとに判断を下す力が欠かせません。
特に近年では、統計的品質管理(SQC)やQC七つ道具といった分析手法を活用し、より精度の高い品質改善に取り組む企業が増えています。こうした背景から、データ分析に長けた人材は即戦力として高く評価されるでしょう。
論理的思考力
品質管理職への転職を成功させるためには、論理的思考力を身につけることも大事です。
品質管理の仕事では、問題の原因を正確に分析し、効果的な対策を導き出すことが求められます。その際、感覚や経験だけに頼るのではなく、事実やデータを論理的に分解・整理し、根拠に基づいた解決策を示す能力が不可欠です。論理的思考力を持つことで、問題を的確に把握し、説得力のある改善提案ができるようになります。
「なぜミスが起きたのか」「どの工程で発生したのか」「再発防止には何が必要か」といった点を筋道立てて考察し、問題の本質に迫る論理的思考力を身につけることが大切です。
未経験からでも品質管理の転職を成功させるポイント
品質管理の分野は慢性的な人手不足のため、未経験者にも門戸が開かれています。とはいえ、転職を成功させるためにはいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。以下のような取り組みを行うことで、未経験からでも品質管理職への転職を有利に進めることができるでしょう。
エージェントを利用する
未経験から品質管理職への転職を目指す場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントを利用することで、自分に合った求人を紹介してもらえたり、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策などの手厚いサポートを受けたりすることができます。これにより、未経験でも採用される可能性が高まり、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。
また、「転職エージェントの利用有無と年収に関するアンケート調査」によると、エージェントを利用して転職した人は、利用しなかった人に比べて平均年収が高くなる傾向にあるという結果も得られています。
このように、未経験から品質管理職への転職を目指す際は、エージェントのサポートを受けることで、成功率や年収を高めることができるはずです。
準備を徹底する
品質管理職への転職を成功させるためには、事前の準備を徹底することが重要です。
品質管理の仕事は、製品やサービスの安全性・信頼性に直結するため、業務内容に対する理解や専門知識が求められます。未経験者であっても、事前に業界研究や職種理解、基本的な品質管理手法の学習などを行っておくことで、面接や書類選考で意欲と適性をアピールしやすくなります。また、準備を通じて自分に合った職場やキャリアの方向性も明確になります。
QC検定の基礎知識を身につけたり、品質管理に関連する業務経験を棚卸して志望動機に盛り込んだりすることで、未経験でも評価されやすくなるでしょう。
資格を取得する
未経験から品質管理の仕事に挑戦する際は、基礎的な知識やスキルを証明できる資格の取得も効果的です。特に品質管理の実務に直結する以下のような資格を取得することで、採用担当者からの信頼度を高めることができます。
資格名 | 概要 | 取得のメリット |
---|---|---|
品質管理検定(QC検定) | 品質管理の基本から応用までを体系的に学べる民間資格。1級~4級までレベル別に構成。 | 品質管理の基本知識を証明でき、製造業やサービス業での実務に役立つ。 |
統計検定 | 統計学の理解度を測る全国統一試験。1級~4級があり、ビジネス応用にも対応。 | 不良率分析や工程管理など、品質管理に不可欠な統計スキルの習得をアピールできる。 |
品質マネジメントシステム審査員 | ISO9001などの品質マネジメントシステムに関する審査や監査を行うための認定資格。 | 品質保証や監査業務への理解と実務能力を持つことを証明できる。 |
QCサークル指導士資格認定制度 | 職場の改善活動(QCサークル)を推進・指導するスキルを認定する制度。 | 現場改善やチーム運営のスキルを評価されやすくなり、指導的立場も目指しやすい。 |
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品質管理職は、製造業をはじめとする多くの業界で高いニーズがあり、将来性・安定性に優れた職種です。現在は人材の供給が追いついていないことから、企業側も即戦力だけでなく、未経験者やポテンシャル層の採用に積極的な傾向があります。
だからこそ、転職市場では品質管理職への間口が広がっており、まさに今がチャンスといえるでしょう。ただし、求人数が多い分、情報を見極める力や職場選びの視点も重要になります。だからこそ、業界に精通した転職支援サービスを活用することで、効率的に理想の職場を見つけやすくなるはずです。
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