「生産技術って具体的にどんな仕事なの?」「生産技術に求められるスキルやキャリアパスを知りたい」「生産技術に未経験からなることはできるのか」などと思っている人もいるのではないでしょうか。

生産技術は製造現場の効率化や品質向上、コスト削減などに直結する重要な分野でありながら、業務内容や必要な知識が曖昧に理解されがちです。しかし、その仕事内容やキャリアの実態を十分に理解しないまま就職してしまうと、思っていた業務と違ったということになり後悔してしまうかもしれません。

この記事では、生産技術の概要や人口などの現況から具体的な仕事内容、キャリアパス、求められるスキルを解説します。就職や転職がしやすいのか、就職や転職を成功させる方法についても説明しているので、生産技術への就業を考えている人はぜひ参考にしてください。

生産技術とは

生産技術とはどのような仕事なのでしょうか。概要を説明するとともに、現在の状況や需要をデータから解説します。

生産技術の概要

生産技術とは、製品を効率的かつ高品質に量産できるように生産プロセスを設計・改善する役割を担う仕事です。開発部門が設計した製品を、実際に工場で安定して作れるようにする橋渡し役ような位置づけです。

生産技術が必要とされる理由は、製造現場の生産性やコスト、品質が企業の競争力を大きく左右するからです。いくら優れた製品を開発しても、生産効率が悪ければコストが高くなり、市場で勝ち残ることができません。また、品質が不安定であれば顧客の信頼を失い、ブランド価値を下げてしまいます。

生産技術は開発と製造をつなぐ要として、企業の利益や顧客満足度を支える極めて重要な存在といえるのです。

生産技術の人口・割合

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、令和2年時点で「生産・品質管理技術者」に分類される人材は305,190人とされています。製造業全体の中でも一定の規模を占める人数ですが、実際に企業ごとの組織構成を見ると、生産技術部門は少数精鋭で運営されているケースが多いことがわかります。

日本能率協会コンサルティングの調査によれば、全社における生産技術部門の人数は「3%未満」であると回答した企業が最も多く、特に装置系の製造業では約半数がこの割合に該当しています。一方、加工・組立系の製造業では「3~5%」が最も多く、全体の約3割を占めるという結果でした。

このように、生産技術は企業全体の人数に占める割合は低いものの、製造業の競争力を左右する重要な部門であることに変わりはありません。少人数ながらも専門性の高い業務を担い、品質・コスト・生産効率といった企業の根幹に大きな影響を与えているのです。

生産技術の需要

日本の製造業において、生産技術の需要は非常に高まっています。上の日本能率協会コンサルティングの調査では、「企業の持続的成長にはイノベーションが不可欠であり、その中核を担うのが生産技術部門である」と指摘されています。

経済産業省の調査でも、企業が自社の競争力の源泉として挙げる項目の中で「生産技術・生産管理・品質管理」が最も多いという結果が出ています。

特に大企業では「生産技術・生産管理・品質管理」(31.6%)と「研究開発力」(29.6%)が拮抗しており、研究開発と並ぶ重要な強みと位置づけられています。中小企業においては「生産技術・生産管理・品質管理」が38.1%とさらに高い割合を占めており、経営資源の限られる中小企業ほど生産技術の果たす役割が大きいことがわかります。

このように、生産技術は企業規模を問わず競争力の中核を担う存在であり、今後も高い需要が続くことが見込まれます。特に製造業における人材不足や自動化の進展を背景に、より一層その役割は拡大していくと考えられるでしょう。

生産技術の仕事内容

ここからは、生産技術の仕事内容を詳しく解説していきます。

生産体制の設計・構築

生産技術においては、生産体制の設計・構築を行うことが重要な業務となります。

製品を安定して大量に生産するためには、工程設計やラインの構築を適切に行う必要があります。効率的な生産ラインを計画することで、作業のムダをなくし、品質を保ちながら納期を守ることが可能になります。さらに、生産体制をしっかり設計することはコスト削減や生産性向上にも直結し、企業の競争力を高めることにつながります。

工程設計が不十分であれば、ラインの一部に作業の偏りや滞りが発生し、結果的に生産効率が落ちてしまいます。そこで生産技術は設備配置や作業者の動線、ラインバランスを最適化することで、安定的かつ効率的な生産を可能にします。生産体制の設計・構築は、生産技術職の中心的な役割であり、効率と品質を両立させるために欠かせない業務なのです。

設備の導入・設置

生産技術では、設備の導入・設置を担当することが重要な役割のひとつです。

新しい製品を量産する際や、既存工程の改善を行う際には、適切な生産設備の導入が欠かせません。生産技術は、必要な性能やコストを考慮しながら設備を選定し、現場に設置・稼働させるまでを担います。これにより、生産ラインの自動化や効率化が進み、作業者の負担軽減や品質の安定化が実現できます。

設備導入には多額の投資が必要ですが、必ずしも全ての改善が費用対効果に優れるとは限りません。そのため、生産技術は現場の課題を正確に把握し、導入効果をシミュレーションした上で、最適な設備を選び設置することが求められます。

生産体制の分析・見直し

生産技術においては、生産体制の分析や見直しが欠かせません。どれほど綿密に設計された生産ラインであっても、実際の運用の中で非効率やムダが発生することがあります。そのため、生産技術者はデータや現場の状況をもとに生産体制を分析し、課題を抽出したうえで改善策を講じる必要があります。これにより、ボトルネックの解消やコスト削減、納期短縮が可能となります。

具体的な取り組みとしては、生産ラインの稼働率やタクトタイム、仕掛品の滞留状況を数値化し、遅れやムダの発生源を特定することが挙げられます。さらに、作業手順や人員配置を見直して負荷の偏りを均等化することで、生産効率を高めるなども行います。

このように、生産体制の分析・見直しは現場の課題解決につながり、効率的かつ安定した生産を維持するために不可欠な、生産技術の重要な役割といえるのです。

技術開発

生産技術の業務においては、新しい製品や生産方式に対応するための技術開発も重要な役割を担います。製品の高機能化や多様化が進むなかで、従来の生産方法では対応できないケースも多く、常に新しい技術を取り入れる姿勢が求められます。

例としては、新素材に対応した加工技術の研究や、短納期化・多品種少量生産に適した柔軟性の高い生産ラインの設計、自動化・省人化を目的としたロボット導入などが挙げられます。

このような技術開発は、単に効率化やコスト削減を実現するだけでなく、品質の安定化や新製品のスムーズな量産立ち上げにもつながります。結果として、市場の変化に柔軟に対応できる強い生産体制を築くことができ、企業の競争力強化に貢献できます。

生産技術の年収

生産技術職の年収はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、生産技術を含む生産・品質管理技術者の平均年収は令和6年のデータでは755.2万円とされています。

また、「大卒年収調査2023年版 職種別編」では、「機械・メカトロ・自動車」分野の生産技術は13位で平均年収780.5万円、「素材・化学・食品・バイオ」分野は28位で649.2万円となっており、全体的に高い水準であることがわかります。

さらに年代別で見ると、20代では比較的低めの水準ですが、30代になると大きく上昇し、30代の職種別年収ランキングでは9位に位置しています。その後も40代、50代にかけても順位は高く、50代でも17位となっており、経験を積むことで安定して年収が上がっていく傾向が見られます。

このように、生産技術は他の職種と比較しても高めの年収が期待できる職種であり、とくに機械・自動車分野では水準が高いことがわかります。若いうちは大きな差が出にくいものの、キャリアを重ねることで着実に年収が伸びていく点は、生産技術職ならではの強みといえるでしょう。

生産技術の年収とは?将来の年収、年収を上げる方法などを解説

生産技術のキャリアパス

生産技術のキャリアパスはどのようなものでしょうか。将来の昇進やスキル向上、転職や独立のためにも理解しておいたほうがよいでしょう。

キャリアパスとしては、まず現場での基礎知識を身につけるジュニアエンジニアから始まり、担当者クラス、リーダー・主任、係長・課長、部長・工場長クラス、そして専門特化型エンジニアや経営層・技術顧問などへと進むのが一般的です。

ポジション 主な仕事内容(概要)
ジュニアエンジニア 現場ルールや安全基準を学びながら、工程観察・作業標準の理解・簡易な治具調整やデータ収集を担当。先輩の指示のもとで改善活動に参加する。
生産技術エンジニア(担当者クラス) 工程設計・ライン立ち上げ・タクト/稼働率の分析・不良低減の施策立案と実行を担当。治具/設備仕様の作成、外部ベンダー折衝、作業標準書の作成を行う。
リーダー・主任エンジニア 小~中規模プロジェクトのリード、複数工程の最適化、メンバー育成、品質・コスト・納期(QCD)目標の達成管理。設計・品質・調達など他部門との連携を強化。
係長・課長(プロジェクトマネージャー) 新製品量産化や工場横断の改善プロジェクトを統括。投資計画、ROI試算、レイアウト変更、設備導入の意思決定、KPI管理、リスク/進捗/コストの全体マネジメント。
部長・工場長クラスのマネジメント職 事業戦略と連動した工場全体の生産戦略立案。人員計画・予算編成・複数拠点の操業最適化、サプライチェーンと連動した能力計画、全社のQCD指標の達成責任。
専門特化型エンジニア(設備開発・自動化・品質改善など) FA/ロボット・画像検査・デジタルツイン・AI/IoT解析など特定領域に深く特化。独自技術や標準プラットフォームを開発し、横展開で全社の生産性を底上げする。
経営層や技術顧問へのキャリア 生産戦略・投資判断・工場再編など企業レベルの意思決定に携わる。社外では顧問/コンサルとして工場の改革支援、標準化・人材育成・海外拠点立ち上げを支援。

生産技術は就・転職しやすい?

では、いざ生産技術を目指そうと考えたときに、生産技術への就職や転職はしやすいのでしょうか。

まず、生産技術の分野は現在、人手が不足しています。職業情報提供サイトによると、令和6年時点で生産技術関連の職種の有効求人倍率は4.15倍となっており、これは他の職種と比較しても高い水準です。このような状況から、生産技術への就職や転職は比較的しやすいと考えられます。

企業は経験者を優遇する傾向がありますが、生産技術においては自社で研修を行い育成をする企業も増えており、未経験者でも採用してもらえるチャンスがあります。特に、IoT、AI、デジタルツインなどの先端技術に関する知識や、CAD、PLC、PLCプログラミングなどの実務スキルを持っていると、他の候補者と差別化でき、採用のチャンスが広がるでしょう。

生産技術は製造業の基幹部門であるため、今後も需要が安定して続くと考えられ、就職や転職の成功率を高めやすい職種といえるでしょう。

生産技術からの転職は難しい?おすすめの職種、転職を成功させる方法も解説

生産技術の仕事に必要な知識・スキル

生産技術を目指すときには、どのような知識やスキルが必要とされるのでしょうか。

課題発見力

生産技術の仕事では、現場の課題をいち早く見つけ出す課題発見力が不可欠です。生産ラインでは微細な非効率や不良が積み重なることで、全体の生産性や品質に大きな影響を及ぼすことがあります。課題を早期に発見できる力があれば、問題が拡大する前に対策を打ち、効率的で安定した生産体制を維持することが可能になるでしょう。

ただ、単に数字だけを追うのでは原因を見誤ることもあるので、現場の作業者の意見や作業手順の観察を組み合わせて分析する能力が重要です。また、課題を定量的に把握し、データとして可視化できれば、経営層や他部門への説得材料にもなり、組織全体での生産性向上に貢献できます。

課題発見力は生産技術の現場で、効率化や品質向上を実現するための基盤となる重要なスキルです。

コミュニケーション力

コミュニケーション力は、生産技術の仕事において非常に重要なスキルです。生産技術は、現場の作業者や設計部門、品質管理、調達部門など、多くの関係者と連携しながら業務を進める必要があります。そのため、課題を的確にヒアリングし、改善策を正確かつ分かりやすく伝える能力が求められます。

さらに、コミュニケーション力を身につけることで、関係部門の協力を得やすくなり、改善プロジェクトなどもスムーズに進めることができるでしょう。コミュニケーション力は単なる情報伝達の手段ではなく、改善活動の効果を最大化し、チーム全体で効率的な生産を実現するために欠かせないスキルです。積極的に身につけておきましょう。

デジタルの知識・スキル

生産技術の仕事では、デジタルの知識やスキルも重要です。経済産業省の「ものづくり白書2018」では、特にデジタル人材を必要としている部門として「製造技術・生産管理」が最も多く、全体の約6割を占めてているという結果になりました。

具体的には、設計ツールや表計算ソフトの活用はもちろん、IoTやDXに関連する知識が必要でしょう。また、デジタルツールを用いたシミュレーションや自動化の導入も、生産性向上やトラブルの早期発見に直結するので重要です。

このように、生産技術ではデジタルスキルを活用することで、従来の経験や勘に頼った方法だけでなく、データに基づいた効率的な生産体制を構築できるので身につけておきましょう。

製造に関する知識と経験

生産技術の仕事では、製造現場や製造設備の設計、工程管理、品質管理など、多岐にわたる知識と経験が求められます。特に、設計や工程改善に関する技術部門での実務経験を積むことで、現場の状況を理解し、適切な改善策を立案できるようになります。

知識としては、製造工程の流れや設備の仕組み、材料特性、品質管理手法、工程改善の手法などを学ぶのがよいでしょう。これらの知識は、現場での実務経験を通じて学ぶのが最も効果的ですが、書籍や専門講座、オンライン研修、生産管理技士や品質管理検定などの資格取得でも体系的に習得できます。

また、未経験者はまず製造現場での作業を経験し、現場の課題や工程の特徴を体感することも重要です。その後、設計や改善活動に関わることで、実務知識と改善スキルを実践的に身につけることができるでしょう。

生産技術の就・転職を成功させる方法

生産技術への就職や転職を成功させたい場合には、以下のポイントを抑えておきましょう。

エージェントに相談する

生産技術の就・転職を成功させるには、就職・転職エージェントに相談するのがおすすめです。

エージェントを活用することで、自分の経験やスキルに合った求人情報を提案してもらえます。特に、機電分野に特化したサービスでは、生産技術職に精通したキャリアアドバイザーがサポートしてくれるため、希望条件にマッチした案件を紹介してもらいやすくなるでしょう。

また、転職エージェント利用者の42.9%が年収アップに成功したという調査もあり、エージェントを利用することで年収や待遇の向上につながりやすい傾向があります。加えて、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などのサポートを受けることで、選考通過率を高め、より有利な条件での転職を実現できるでしょう。

業績の良い企業を志望する

業績の良い企業を志望することは、生産技術への就職・転職を成功させるために有効な戦略です。業績の良い企業は、将来に向けた生産技術の開発や投資を積極的に推進しています。これにより生産技術職の採用にも積極的であり、安定した給与やキャリアの成長機会が期待できます。

実際、日本能率協会コンサルティングの調査によると、業績の良い企業は「社内的に生産技術部門の認知度が高い」ことに強い相関があり、将来に向けた生産技術の開発を推進していることがわかっています。これらの企業では、生産技術部門が戦略的な役割を果たし、競争力のある技術開発が行われています。さらに、これらの企業は給与水準が高く、将来のキャリアパスも明確であるため、長期的な安定性と成長が期待できます。

このように、業績の良い企業を志望することで生産技術職としてのキャリアを成功させる可能性が高まるはずです。

資格を取得しておく

生産技術職を目指す場合、関連資格を取得しておくことは就職・転職を有利に進めるために有効です。

資格は専門知識や技能を客観的に示す手段であり、企業側に自分の能力をアピールできます。特に生産技術では、機械・設備、品質管理、工程改善など幅広い知識が求められるため、資格を持っていることで一定の評価が得られるでしょう。

例としては、機械系の「技能士資格」や「生産管理主任者」、品質管理の「QC検定」、工程改善の「IE技能士」などの資格が有効だと考えられます。未経験でも基礎知識があることを示せるでしょう。

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生産技術は製造現場の効率化や品質向上、コスト削減に直結する重要な職種であり、今後も需要が高い分野です。ただし、生産技術では幅広い知識やスキルが求められますし、会社によって求められる経験や技術領域も異なります。だからこそ、生産技術への就職や転職を考えるときには、自分のスキルや希望にマッチした求人情報を効率的に収集し、専門的なサポートを受けることが重要です。

「ベスキャリ機電」は、機電分野に特化した転職エージェントです。運営歴が15年以上あるので全国の企業とネットワークがあり、非公開求人含む、常時1万件以上の案件を保有しています。研修を行っているような企業の求人など、未経験者でも採用してもらえる生産技術の求人も提案可能です。

また、生産技術職に精通したキャリアアドバイザーが1人ひとりにつき、希望条件に合った求人の紹介や履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、職場見学への同行まで手厚くサポートします。生産技術への転職を成功させたい方は、「ベスキャリ機電」をぜひご利用ください。

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