製造業で働く人はどんな資格を取るのがよいのか、製造業でのキャリアアップに役立つ資格はあるのか、職種ごとに有利な資格があるのかなどの疑問を持っている人もいると思います。

製造業は専門性が求められる分野が多いですが、資格を持っていることでスキルや知識を客観的に証明することができます。また、資格を取得することで転職や昇進時の評価にもつながるケースが少なくありません。

この記事では、製造業で資格を持つメリットを紹介するとともに、製造業で有利な資格を網羅的に解説します。

製造業で資格を持っているメリット

製造業で働くときに資格を取得しておくことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

収入を高められる可能性がある

製造業においては、業務に関係する資格を取得しておくことで、収入を高められる可能性があります。

製造業の企業のなかには、専門性のある資格に対して資格手当を支給している会社がありますし、保有資格の内容によって基本給に上乗せされるケースなどがあります。特に、危険物取扱者や電気主任技術者などの国家資格は、法令上の配置義務があるため、保有者が重宝され、給与水準が高くなる傾向にあります。

また、資格を持っていることがスキルや知識の証明となり、人事評価で高く評価され、昇進・昇格のチャンスが広がる要因にもなるでしょう。管理職への登用要件として特定の資格取得を求める企業もあるため、資格がキャリアアップの前提条件になっていることも少なくありません。

製造業において資格を取得しておくことは、目先の手当だけでなく、長期的なキャリアと収入の両面でプラスになる可能性が高いといえるでしょう。

転職に有利になる

製造業においては、資格を持っていることが転職を有利に進めるための強力な武器になる可能性があります。

企業が中途採用を行う際、応募者が即戦力として活躍できるかどうかを重視する傾向があります。資格を保有していることは、業務に必要な知識・技術をすでに習得している証明として評価されやすく、選考過程で優位に立つことができます。また、資格取得の背景には自己研鑽や向上心があると捉えられ、企業からの信頼度や期待値も高まるでしょう。

さらに、未経験分野への転職であっても、関連する資格を持っていることでポテンシャル採用の可能性が広がるでしょう。このように製造業における資格の保有は、転職市場において自分の価値を高め、選考を有利に進める重要な要素となります。

信頼を得られる

製造業において資格を取得していることは、上司や同僚、取引先からの信頼を得る上で有効です。

資格は、その分野における専門知識や技能を持っていることの客観的な証明になります。製造現場では、作業の正確さや安全性が重視されるため、資格を持っている人材は安心して業務を任せられる存在として評価されやすい傾向にあります。加えて、資格取得のために努力した姿勢や、継続して学ぶ意欲も、仕事に対する真剣さや前向きな姿勢として信頼につながります。

こうした信頼は、現場での責任あるポジションを任されることにもつながりやすく、リーダーや管理職への登用にも有利に働くことがあります。信頼されることで、より重要な業務に関わる機会が増え、結果としてキャリアアップのチャンスも広がるでしょう。

製造業の全職種共通で持っていると有利な資格

製造業で働くうえで、どの職種でも共通して評価されやすい資格があります。ここでは、業務内容にかかわらず、幅広い現場で活かせる資格を厳選してご紹介します。資格選びに迷っている方は、まずこれらの資格から検討してみるのがおすすめです。

CAD利用技術者試験

製造業においては、「CAD利用技術者試験」を取得することで、職種を問わず評価されやすくなります。

CADは、設計や製図の現場で広く使われているツールであり、機械設計や電気設計など、多くの製造業分野で欠かせない存在です。CAD利用技術者試験では、基本的な操作スキルに加え、図面の読み取りや作図に関する知識も問われるため、実務に直結したスキルを証明できます。

この資格を取得しておくことで、設計職に限らず、生産技術や品質管理、保全などの職種でも図面理解力の高さをアピールでき、コミュニケーションの円滑化や作業の効率化につながります。2次元CADだけでなく、3次元CADに対応した上位資格もあるため、スキルに応じてステップアップしやすいのも魅力といえます。

技術士(機械部門)

「技術士(機械部門)」は、機械工学に関する高度な知識と実務経験を有することを証明する国家資格で、製造業における技術系資格の中でも最上位に位置づけられています。設計や開発、生産技術、設備保全など、あらゆる分野での技術的判断や指導が求められるポジションで活躍する際に、大きなアドバンテージとなります。

この資格を取得するには、一次試験と実務経験を経たうえで二次試験に合格する必要があり、難易度は高めですが、専門性と信頼性の証として企業からの評価も非常に高いです。特に、品質保証や生産プロセスの最適化、新製品開発のリーダーなど、責任あるポジションを目指す人にとっては、有力な武器となる資格です。

また、技術士は「技術コンサルタント」としての独立も可能な資格であり、将来的にフリーランスや技術顧問としての道も拓けます。製造業の中でも、より高い技術力とマネジメント能力を求められる場面で、その実力を発揮できるでしょう。

電気主任技術者

電気主任技術者は、工場やプラントなどの電気設備の保守・管理を行うために必要な国家資格で、製造業において評価を得られる資格のひとつです。工場では、高圧電力や大型機械の使用が日常的に行われており、電気に関する専門的な知識を持つ人材は、どの職種においても重宝されます。

この資格を取得していることで、電気系の設備トラブルに迅速に対応できるだけでなく、電気工事会社との打ち合わせや、エネルギー使用量の管理、安全対策の提案など、幅広い業務に携わることができます。

さらに、電気主任技術者は企業内において法定で選任が義務付けられているため、資格保有者の需要は安定しており、転職やキャリアアップにも有利です。保守・メンテナンス職に限らず、生産技術や工場管理など、電気に関わる部門では特に高く評価されるでしょう。

製造業の職種ごとに有利な資格

製造業には多様な職種が存在し、それぞれの業務内容に応じて評価されやすい資格も異なります。ここでは、各職種でキャリアアップや評価につながる資格を紹介します。自分の職種や将来の目標に合わせて、適切な資格取得を検討してみましょう。

研修開発職で有利な資格

知的財産管理技能士

「知的財産管理技能士」は、特許・実用新案・意匠・商標など、知的財産の管理や活用に関する専門知識とスキルを証明する国家資格です。製造業における研修開発部門では、新製品の開発や技術革新の過程で知的財産をいかに保護・活用するかが重要なテーマとなるため、この資格は有効です。

知的財産に対する社員の意識を高める研修を企画・実施するうえでも、資格取得によって得た知識が役立ちます。また、技術流出リスクへの対応策や特許情報の活用方法など、実務に即した内容を社内教育に反映させることができます。

さらに、法務・知財部門との連携を強化し、企業全体の知財リテラシー向上にも貢献可能です。特に研究・開発部門との連携が多い研修開発職にとって、知的財産に関する専門性は業務の幅を広げる武器となり評価向上にもつながるでしょう。

危険物取扱者

「危険物取扱者」は、ガソリンやシンナー、アルコールといった危険物を安全に取り扱うための国家資格で、製造業においては現場の安全管理に欠かせない資格のひとつです。化学薬品や可燃性物質を扱う製造現場では、常に事故リスクが伴うため、正しい知識と管理スキルが求められます。

研修開発の職種では、現場で働く従業員に向けた安全教育の実施や、リスク回避に関する研修プログラムの設計が重要な役割となります。この資格を取得しておくことで、法令遵守やリスクアセスメントの知識に基づいた、実践的かつ説得力のある教育が可能になります。

特に、乙種第4類は取り扱い物質の範囲が広く、多くの製造現場で求められる資格であるため、教育担当者が保有していれば現場からの信頼も厚くなります。危険物に関する知識を体系的に理解していることで、事故の未然防止や安全意識の浸透にも大きく貢献できるでしょう。

設計職で有利な資格

機械設計技術者

「機械設計技術者」は、設計図の作成や機械構造の企画・開発に必要な知識と実務能力を証明する民間資格です。特に、強度計算、材料力学、加工法などの実践的な知識が問われるため、製造業における設計職では即戦力を示す資格として評価されています。

設計部門では、製品の品質やコスト、製造性に関わる重要な判断を日常的に行うため、幅広い工学的知見と高精度な図面作成スキルが求められます。この資格を取得しておくことで、設計者としての基礎能力に加え、高度な専門性を備えていることを客観的に示すことができます。

また、この資格は2級・1級と段階的にレベルアップできるのが特徴で、将来的に設計チームのリーダーや管理職を目指す方にとっても有益です。構想設計から量産設計まで一貫して携わる場面において、設計の信頼性と精度を支える基礎力として、大きな強みとなるでしょう。

機械・プラント製図技能士

「機械・プラント製図技能士」は、機械や設備の製図に必要な技能と知識を証明する国家資格です。設計図面を正確に描く力はもちろん、JIS規格に基づいた図面表記や立体構造の理解力など、実務に直結するスキルが求められます。そのため、製図業務における実務能力の高さを客観的に示す資格といえます。

特に、製造現場と設計部門をつなぐ役割として、正確かつ分かりやすい図面を作成する能力は重要です。この資格を持っていることで、現場からの信頼性が高まり、円滑な設計・製造プロセスに貢献できる人材として重宝されるはずです。また、CADソフトを使った設計スキルとの相乗効果により、2次元・3次元いずれの設計業務でも強みを発揮できます。

資格は3級から1級まであり、経験やスキルに応じて段階的に取得が可能です。製図分野で専門性を高めたい方や、設計職としてキャリアアップを目指す方にとって、有力な資格といえるでしょう。

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購買職で有利な資格

CPP資格

「CPP(Certified Procurement Professional/購買プロフェッショナル認定資格)」は、日本能率協会が認定する、購買・調達業務に関する専門資格です。購買戦略の立案、コスト管理、サプライヤー選定、契約交渉など、購買業務に必要な実務知識とスキルを体系的に学ぶことができます。

購買職は、単に資材などを購入するだけでなく、コスト競争力や品質確保、納期管理など企業の収益に直結する重要な役割を担っています。そのため、専門的な知識を持つことは大きな強みになります。CPP資格は、購買・調達分野の知識を広く網羅しているため、業務の質を高め、組織内での信頼性や評価の向上につながります。

購買業務に携わるうえで、体系的な知識と戦略的思考力を証明できるCPP資格は、スキルアップだけでなくキャリアアップにも大きく役立つ資格といえるでしょう。

語学資格

製造業の購買職においては、語学力、とくに英語力が大きな強みとなります。海外のサプライヤーとのやり取りや、英文契約書の読解、国際的な展示会や商談への対応など、グローバルな業務に対応するためには語学スキルが不可欠です。

代表的な資格としては、「TOEIC」や「英検」が挙げられます。とくにTOEICはビジネス英語の運用能力を測る指標として広く用いられており、購買職では600点〜800点以上を取得していると実務での英語対応力があると判断されやすくなります。また、将来的に海外拠点との連携や海外仕入先の開拓を目指す場合にも、語学資格は高く評価されるポイントです。

語学資格を保有していることで、海外調達やグローバルサプライチェーンの業務に携わる機会が広がり、より専門性の高い業務へのチャレンジやキャリアアップにもつながるでしょう。

生産管理職で有利な資格

ビジネス・キャリア検定試験

「ビジネス・キャリア検定試験」は、職業能力開発協会が実施する公的資格で、生産管理をはじめとした各種ビジネス実務に必要な知識とスキルを体系的に評価するものです。生産管理分野においては、オペレーションやプランニングといった専門区分が設けられており、現場で求められる実践的な知識を習得できます。

生産管理職は、製造現場の効率化や納期管理、コスト削減など企業の競争力に直結する重要な役割を担っており、幅広い業務知識が必要とされます。ビジネス・キャリア検定を取得しておくことで、知識の裏付けとともに実務能力の証明ができ、現場からの信頼獲得やキャリアアップにもつながるでしょう。

この検定は3級から1級までのレベルに分かれており、基礎から応用・管理レベルまで段階的にスキルアップできる点が特徴です。3級では生産管理の基本的な知識、2級では在庫・工程・品質管理などの実務的な対応力、1級では生産体制の企画や部門全体のマネジメント力が問われます。

中小企業診断士

「中小企業診断士」は、経営全般に関する幅広い知識と実務能力を証明する国家資格であり、生産管理職にとっても大きな強みとなる資格です。中小企業診断士の学習範囲には、生産管理や運営管理の分野が含まれており、工場の工程改善、在庫管理、品質管理、設備投資の評価など、生産現場に直結するテーマも多く扱われています。

生産管理職は、現場の業務効率だけでなく、会社全体の経営方針や利益構造を理解しながら戦略的に動く力が求められます。中小企業診断士を取得することで、現場改善だけでなく、経営視点からの生産体制の見直しやコスト削減提案、他部門との連携強化といった上流工程にも関わることが可能になります。

また、経営者や管理職と対等に議論できる視点や知識が身につくため、将来的に工場長や経営企画部門へのキャリアパスを目指す人にも有効でしょう。

品質管理職で有利な資格

QC検定

「QC検定」は、品質管理に関する知識とその活用能力を評価する公的な検定試験で、品質管理職において最も広く認知されている資格のひとつです。正式名称は「品質管理検定」で、日本規格協会(JSA)が主催しています。

品質管理職では、製品の不良を未然に防ぐ仕組みづくりや、トラブル発生時の原因究明、再発防止策の立案など、論理的な思考とデータに基づく判断力が求められます。QC検定を取得することで、これらの知識とスキルを体系的に身につけていることを証明できるため、現場からの信頼獲得や社内評価の向上にもつながるでしょう。

QC検定は4級から1級までのレベルに分かれており、4級・3級では品質管理の基礎知識や用語、グラフ・統計の基本が問われ、実務未経験者でも受験しやすい内容となっています。2級・1級になると、工程管理・統計的手法・品質改善活動の推進など、実務に直結する高度な内容が出題されます。

品質マネジメントシステム審査員

「品質マネジメントシステム審査員(ISO審査員)」は、ISO9001をはじめとする国際的な品質マネジメント規格に基づき、組織の品質体制を評価・審査する専門資格です。品質管理職はこの資格を取得することで、単なる現場レベルの品質改善にとどまらず品質マネジメント全体を俯瞰した視点を持てるようになります。

製造業ではISO9001の認証取得が重要な信頼指標となっており、その運用・改善において中心的な役割を担う人材は重宝されます。品質マネジメントシステム審査員としての知識とスキルを持つことで、内部監査の実施、文書管理の整備、マネジメントレビューの支援など、企業全体の品質活動をリードすることが可能になるでしょう。

将来的に品質保証部門のマネジメント層や、経営に近い立場での活躍を目指す人にとって、大きな強みとなるでしょう。

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製造業において資格を取得することは、自身の専門性を客観的に示すだけでなく、キャリアアップや収入向上、転職時のアピールポイントにもつながる有効な手段です。特に、設計・品質管理・生産管理・購買などの各職種に適した資格を選ぶことで、業務への理解が深まり、現場での信頼や評価を得やすくなるでしょう。

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