機械学習エンジニアの年収はどのくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。近年、AIの発展とともに機械学習エンジニアの需要は高まっています。さらに、機械学習エンジニアはプログラミングスキルやデータ分析、アルゴリズム、統計など幅広い知識やスキルが求められることもあり、高額な年収が得られると期待する人も多いかもしれません。

そこでこの記事では、機械学習エンジニアの年収を調査データに基づいて詳しく解説します。他のITエンジニア職との比較や求められるスキル、高収入を得るためのポイントについても解説するのでぜひ参考にしてください。

機械学習エンジニアとは

そもそも、機械学習エンジニアとはどのような職業なのでしょうか。機械学習エンジニアの仕事内容や求められる業種、需要について解説します。

仕事内容

機械学習エンジニアの仕事内容とは、AIが行う機械学習のシステムやアプリケーションの開発・実装を行うとともに、機械学習モデルを実行するための環境の構築、データの準備やAIへの学習、検証など運用における一連のプロセスを実行することです。

機械学習とはコンピュータにデータを学習させることで、データから特徴やパターン、傾向を見つけ出すことでコンピュータに分類や予測、意思決定を行わせる技術です。機械学習エンジニアは、機械学習を行うためのアルゴリズムを設計・開発するとともに、データを用意して機械に学習をさせ、モデルの精度向上のためのチューニングやテストも行います。

機械学習エンジニアが求められる業種

機械学習エンジニアはどのような業種で求められるのでしょうか。AIエンジニアの採用要件を可視化した調査の「AIエンジニアの募集職種」を見ると、AIエンジニアを最も求めている業種は「ソフトウェア・情報処理」となっており、全体の54.8%を占めています。次いで、「自動車・輸送」が28.6%、「機械・電気」が26.2%、「インターネット」が23.8%となっています。

ソフトウェア開発においては、生成AIなどの技術を用いたコードの生成、要件定義やレビュー、テストなどにおいて機械学習が用いられますし、ソフトウェアのなかにAI機能を用いているものも増えてきています。また、データサイエンティストやシステムエンジニアなどの情報処理分野の職種においても、ユーザー行動分析や業務効率化、意思決定支援などに機械学習が用いられています。

自動車・輸送、機械・電気、インターネットの業種などにおいても、自動運転技術、物流システム、製造ライン、広告の最適化での不良品検出や設備保全などに機械学習が用いられています。このように、機械学習エンジニアはさまざまな業界・業種で求められています。

需給状況

機械学習エンジニアは多くの業種において求められていることがわかりましたが、人材の需給状況はどのような状態なのでしょうか。人工知能に関わるエンジニア系の2023年の求人数は17年度に比べて4.7倍だったというデータがあります。

また、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、AI人材の需給ギャップの見通しは2030年において最大12.4 万人になると予測されています。

つまり、機械学習を含むAIを扱う人材は現在不足しており、将来も高い需要が続くということがわかります。

機械学習エンジニアの年収

機械学習エンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。需要が大きいことから、年収は高まっているのでしょうか。

平均年収

理系人材向けの求人情報を分析した結果によると、AIエンジニアの年収は495.6万円~914.3万円となっています。そのなかでも、「上限が900万円~2000万円の求人が全体の50%を超えている」ので、AIエンジニアは高い年収が求められる仕事だと考えられるでしょう。

また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、機械学習エンジニアの平均年収は558.3万円とされています。「年齢別の年収グラフ」を見ると、55~59歳でもっとも年収が高くなり、718.93万円に達するとされています。国税庁の発表によると、日本人の平均年収は460万円とされており、機械学習エンジニアの年収の水準が高いことがわかります。

このように、機械学習エンジニアは高収入を得やすい職種といえるでしょう。

一部では高収入の求人も

機械学習エンジニアの報酬の水準は高いですが、求人のなかには数千万円の報酬が得られるような求人があります。

国内では、例えばNTTデータはAIやIoTのトップ技術者に対して、年収2,000万〜3,000万円を提示する新たな人事制度を 導入しました。また、富士通では、若手でも優れた実績を持つ技術者に対し最大4,000万円の年収を支払う制度を発表しました

また、米国ではAIエンジニアの給与水準が非常に高く、大手企業ではシニアレベルの機械学習エンジニアが年俸50万〜150万ドル(約7,200万〜2億1,600万円)を受け取ることもあるという記事もあります。

このように、機械学習エンジニアはスキル次第で国内外問わず非常に高い年収を狙える職種といえるでしょう。

他のITエンジニア職との比較

機械学習エンジニアの年収は他のITエンジニア職と比較した場合には、どのような水準なのでしょうか。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、同じように開発系の職掌のエンジニア職の年収は以下のようになっています。

機械学習エンジニア 558.3万円
受託開発のシステムエンジニア 557.6万円
Webサービス開発 557.6万円
スマホアプリ開発 557.6万円

これを見ると、機械学習エンジニアの年収はほかのエンジニアとあまり変わらない年収といえるでしょう。

経済産業省の資料でも、「AIエンジニア」のオファー年収は他のエンジニア職よりも大きくないとされています。この資料ではITコンサルタントなどの方が高収入を得ていることがわかります。

将来の機械学習エンジニアの年収は?

では、将来的に機械学習エンジニアの年収はどのようになるのでしょうか。

2020年度のAI主要8市場全体の売上金額は513億3,000万円であり、前年度比19.9%増となったという調査があります。なかでも、機械学習プラットフォーム市場は前年比44%増と急成長しています。2025年度には市場規模は1,200億円に達するとの予測もあり、機械学習関連の市場は今後も大きくなることがわかります。

経済産業省の調査によると、2030年にはAI人材の需給ギャップは最大12.3万人になるとされています。このように、機械学習エンジニアの市場は拡大し続ける一方、人材不足が深刻化することで年収の上昇が期待できます。

機械学習エンジニアが高収入を得るために必要なスキル

機械学習エンジニアが高収入を得るためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。

プログラミングスキル

機械学習エンジニアが高収入を得るには、プログラミングスキルの習得が欠かせません。機械学習には、機械学習アルゴリズムの実装や大規模データの処理、データの分析、ニューラルネットワークの設計などが必要になります。こういった作業にプログラミングが必要なのです。

実際、AIエンジニアの採用要件を調査したデータでは、「AIエンジニアの技術・スキル」として、Pythonがもっとも重要なスキルとされています。その他にも、JAVAscript、Ruby、JAVAが必要とされています。Pythonは機械学習アルゴリズムの実装やデータ分析、モデル構築など、あらゆる業務で基盤となる言語ですし、Web関連の機械学習システムではJavaScriptやRubyが用いられます。

このように、機械学習エンジニアとして高収入を得るには、高度な設計業務を行うためのプログラミングスキルが必要になるのです。

対象分野の専門知識

機械学習エンジニアが高収入を得るには、機械学習に関係する専門知識を習得する必要があります。

機械学習エンジニアの業務では、開発や運用を行うシステムによってIoT、データサイエンス、データマイニング、画像認識・画像処理、RPA、自然言語処理・言語分析、音声認識・音声解析などさまざまな知識が必要になってきます。機械学習エンジニアとしてより高い評価を得るためには、担当する分野に関しての深い知識やスキルが必要になりますし、複数の分野の知識があれば対応できる仕事も増えます。

最新の研究や技術情報などをチェックするとともに、機械学習について実践をしながら学ぶことで、知識とスキルを高め年収を高めることができるでしょう。

マネジメント能力

機械学習エンジニアとして高収入を得るためには、マネジメント能力を身につけることも有効です。マネジメントのポジションは上流工程に関わる職種であり、実装を行うポジションなどよりも高い報酬が設定されることが多いです。

機械学習エンジニアは複数人のチームで協力しながら仕事を行うことが多いです。そのため、プロジェクトをスムーズに進行し、無事完了させるためにはマネジメントをする人員が必要になります。

機械学習プロジェクトでは要件のすり合わせや実装フェーズの工数管理、スケジュール管理、ステークホルダーとのコミュニケーションなども必要になるので、技術とマネジメントの両面に精通した人材は重宝されます。高収入を目指すなら、技術とマネジメントの両軸でスキルを磨くことが重要です。

データベースの知識

機械学習エンジニアが高収入を得るためには、データベースの知識も重要です。コンピュータに機械学習をさせるためには、必要な膨大なデータをデータベースに格納し、効率よく学習させることが必要になります。そのためには、不正な値や欠損値などを除去・修正するデータクレンジングをするとともに、データを整理するための操作スキルが必要になります。

具体的には、SQLを用いたデータ抽出や集計のスキル、分散データベースやクラウドストレージを活用しデータ基盤を設計・運用するスキルなどです。また、データベースを扱う際のセキュリティに関しても知識が求められます。

機械学習エンジニアとして高収入を得るには、データベースの知識を深めましょう。

ディープラーニングの知識

機械学習エンジニアが高収入を目指すには、ディープラーニングの知識も必要です。

ディープラーニングは、音声認識、画像処理、自動運転、自然言語処理など、最先端のAI分野における中核技術として活用されています。特に、膨大なデータからパターンを抽出して高精度な予測を行う能力が、ビジネスや研究開発の現場で求められています。

医療分野における画像診断、製造業の不良品の自動検出、テキスト生成AIシステムなどに使われています。こうした領域ではディープラーニングを扱えるエンジニアの需要が高まっているので、ディープラーニングの知識を身につけることで高い報酬が得られるでしょう。

フレームワークの知識

機械学習エンジニアが高収入を目指すには、フレームワークの知識、フレームワークを利用して開発を行うスキルが必要になります。機械学習プロジェクトの多くでは、AIモデルの設計・実装・チューニングにフレームワークが用いられており、これらを自在に扱えることが即戦力としての評価につながるからです。

フレームワークの例としては、ディープラーニングの分野で用いられるPyTorch、音声認識や言語翻訳、画像認識など多くの機能を持つTensorFlowなど、多くのフレームワークが開発されています。

フレームワークを活用することで、業務効率の向上やコスト削減につながります。幅広いフレームワークのノウハウを持つことで、対応できるプロジェクトが増えますし、年収を高めることができるでしょう。

クラウドプラットフォームの活用スキル

機械学習エンジニアが高収入を得るためには、クラウドプラットフォームの活用スキルを高めることが重要です。

現在、多くの企業が機械学習モデルの開発や運用においてAWS、GCP、Azureなどのクラウドプラットフォームを活用しています。これにより、大量のデータ処理やモデルのスケーラビリティ、運用効率の向上が可能になっており、クラウドに精通したエンジニアはそのニーズに応えられるため、高単価の案件や年収アップに直結しやすいのです。

オンプレミス環境のみの経験しかないエンジニアは、クラウド上でのインフラ設計やセキュリティ管理、MLOpsの構築といった業務に対応できない場合があります。クラウドプラットフォームの活用スキルを習得することで、機械学習エンジニアとしての市場価値を高め、高収入を実現することが可能なのです。

コミュニケーション能力

機械学習エンジニアが高収入を得るためには、技術力だけでなくコミュニケーション能力も重要なスキルです。

機械学習プロジェクトはデータサイエンティストやエンジニアだけでなく、ビジネス部門やクライアントと連携しながら進める必要があります。ですので、相手のニーズを正確に理解し、技術的な内容をわかりやすく伝えることが求められます。

優れたコミュニケーション能力を持つエンジニアは、技術の橋渡し役として信頼され、プロジェクトマネージャーやリードポジションに抜擢されることもあります。その結果、高年収を実現しやすくなるはずです。

機械学習エンジニアが年収を上げる方法

機械学習エンジニアとして活躍し、年収を上げていくにはどのようなことをすべきでしょうか。ここでは年収を上げる方法について解説します。

フリーランスになる

機械学習エンジニアとして年収を上げるには、フリーランスとして働くという選択肢もあります。

正社員は保険分が給与から引かれたり、年収の水準が決まっていたりします。フリーランスは保険がないですし、稼働した分が報酬となるので、正社員で働くよりも年収を高められる可能性があります。機械学習エンジニアの人材は不足していることからも、フリーランスの単価は高い傾向にもあるので、年収を上げることができるかもしれません。

フリーランス向けのエージェントなども多くあるので、営業に苦手意識があるという人でも案件を獲得することができるはずです。報酬の高い案件情報を多く持っているエージェントもあるので、年収を大きく高められる可能性があります。

スキルを高める

機械学習エンジニアが年収を上げるには、スキルの向上が欠かせません。

機械学習エンジニアは、アルゴリズムを設計・実装するためのプログラミングスキルやデータベースを操作するスキル以外にも、データを分析するスキル、アルゴリズムの知識、数学的な知識、統計分析能力など、幅広いスキルが必要になります。年収を高めるには、こういったスキルを増やしていくことが重要なのです。

さらに、AIの分野は研究が活発に行われていることから、新しい技術やフレームワークなどが次々に開発されています。そのため、最新技術の情報を常にチェックすることが重要ですし、必要なスキルや知識を取り入れていかなくてはなりません。

このように、機械学習エンジニアが年収を高めるためには、スキルを高めるとともに最新の技術などを学んでいくのがよいでしょう。

転職する

機械学習エンジニアは転職をすることでも年収を高められる可能性があります。

企業ごとに給与水準や評価制度が異なっており、自身のスキルや経験に見合った報酬が得られる職場へ移ることで、年収アップが見込めます。機械学習エンジニアは人材が少ない分野でもあるので、企業は優秀な人材を確保するために高い年収を提示する可能性があります。海外では機械学習エンジニアの報酬相場が高い傾向にあるので、海外に転職するというのもひとつの手といえるでしょう。

また、ITエンジニアは転職をするほどに年収が高まるというデータもあり、機械学習エンジニアも転職をすることで年収を上げられるということが期待できます。

転職することでさまざまな分野のプロジェクトを経験することができ、知識やスキルを高めることができるでしょう。キャリアを築き年収を高めるためにも、転職も視野に入れるのがおすすめです。

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機械学習エンジニアは需要の高まりとともに、年収が上がることが期待できる仕事です。将来に渡っても機械学習エンジニアとして年収を上げていくには、さまざまな分野で経験を積み、スキルや知識を高めていくことが重要です。すでに機械学習エンジニアとしての経験がある人は、フリーランスとして働くことでキャリアを高めるとともに年収を上げることができるでしょう。

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