ITコンサルタントとして独立を目指す方のなかには、どれくらい稼げるのか、実際にやっていけるのかと不安を感じている方も多いのではないでしょうか。独立によって自由な働き方を実現できるかもしれませんが、それ以上のリスクが発生するかもしれません。
そこで本記事では、ITコンサルタントとして独立するメリットや年収、リスク、求められるスキルなどを詳しく解説します。独立を検討している方にとって有益な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
フリーランスのITコンサルタントの近況
フリーランスのITコンサルタントの近況はどのようなものでしょうか。「2024年職種別単価ランキング」の記事によれば、「2024年6月末時点でのITコンサルタントの正社員求人倍率は45.5倍」とされており、ITコンサルタントの需要の高さが伺えます。
また、コンサル業界の市況のデータ(4月~6月)を見ると、案件数は1,068件(-10%)であり、人材数は635件(+54%)となっています。つまり、ITコンサル案件は増加していますが、フリーランス人材が減少することで案件数に対して人材が不足している状況ということがわかります。そのため、フリーランスのITコンサルタントは案件を得やすい市場環境といえるでしょう。
このように市場における需給バランスを踏まえると、ITコンサルタントは安定的に仕事を受けられる可能性があります。将来的に独立や副業を検討している方にとっても、フリーランスのITコンサルタントは有望な働き方の選択肢といえるかもしれません。
ITコンサルタントとして独立するメリット
では、ITコンサルタントとして独立すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
収入が高まる可能性がある
ITコンサルタントとして独立することで収入が高まる可能性があります。フリーランスエンジニアに関する調査によると、独立後に年収が上がったと回答したITエンジニアは全体の54.5%となっています。
特に、DX推進が急速に進んだ2023年以降、非IT系の企業でもIT人材のニーズが高まっています。それに伴い、フリーランスのITコンサルタントが活躍できる領域も広がりつつあるといえます。
実際、「ITフリーランスエンジニアの平均月額単価ランキング」を見ると、フリーランスのITコンサルタントの平均月収は118.2万円で2位となっています。フリーランスのITコンサルの収入は、ほかの業種と比べても高い水準であることがわかります。ITコンサルは経験や実績に応じて単価アップも期待できますし、ITコンサルタントとして独立することで収入が大きく高まる可能性があるでしょう。
案件が取りやすい
ITコンサルタントとして独立した際には、案件を取りやすいというのもメリットといえます。上でも紹介したように、フリーランス人材数と比べて案件数のほうが多いことで競争率が低く案件が得やすい状況です。
この背景には、フリーランス人材を活用する動きが広がっていることがあります。日本国内では欧米のトレンドやコロナ禍などの影響で、IT分野でもフリーランスの活用が広がっています。特にコンサルティング案件では、フリーランス人材が応募可能な案件の比率が高い傾向があります。
このように、フリーランスのITコンサルタントとして独立しても案件をしっかりと獲得できる環境が整っているので、独立後の収入のリスクが少ないといえるでしょう。
自由な働き方ができる
フリーランスのITコンサルタントとして独立すれば、時間や場所に縛られない自由な働き方を実現できます。
フリーランスコンサルに関する調査によると、フリーランスのコンサル案件の94.4%はリモート可能となっています。そのため、通勤が必要ないですし、自宅以外でも好きな場所で自由に働くことができます。
「2023年最新フリーランスエンジニアの実態調査」の「実際にフリーランスになって感じたメリット」のアンケートでも、「働く場所に縛られない」「働く時間に縛られない」といった点に満足していると回答しています。柔軟な働き方を求めて独立を選ぶ人も多く、こうした環境がモチベーションや生産性の向上につながっているようです。
幅広い経験・スキルが得られる
ITコンサルタントとして独立することで、幅広い経験・スキルを得られるというメリットがあります。
正社員のITコンサルでは会社の請け負うクライアントの仕事を行うので、ある程度決まった分野や業務を行うことが多いです。しかし、フリーランスのITコンサルタントであれば正社員では関われない規模や分野の仕事に携わることが可能です。また、業務やプロジェクトを自ら選べるため、自分の関心のある仕事を経験することができるでしょう。
フリーランスではIT戦略の立案からシステム導入、運用・保守に至るまで携わることができます。それによって新しいスキルを身につけることもできるでしょう。このように、フリーランスのITコンサルタントは幅広い経験・スキルを得ることができ、より成長することができるはずです。
ITコンサルタントとして独立した場合の年収
ITコンサルタントとして独立した場合に気になることと言えば年収だと思います。フリーランスのITコンサルタントは、どのくらいの年収が得られるのでしょうか。
平均年収
フリーランスのITコンサルタントは、会社員よりも高い報酬を得ているケースが多く見られます。ITフリーランスエンジニア平均月額単価ランキングによると、フリーランスとして活動するITコンサルタントの月額報酬は約114万4,090円となっています。
さらに、「フリーランスコンサルタント年収実態調査(2025年最新版)」でも、正社員と比べてフリーランスの年収は約1.1倍〜1.6倍になると試算されています。
正社員では企業の給与水準があるので年収が高くなりづらいことや、フリーランスは即戦力のプロ人材として高い知識やスキルが求められるから年収が高くなる傾向があると考えられます。
将来の年収はどうなる?
フリーランスのITコンサルタントの将来の年収も気になるところだと思います。
フリーランスコンサルタント年収実態調査では、業種別に見ると「コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ」のカテゴリが最も高く、平均月額は98.9万円であり、前回調査から7.1万円上昇しています。コンサルなどの業種は収入が高まっている可能性があります。また、「ITエンジニア・クリエイターに関する調査」でも、フリーランス案件のなかで「コンサル領域」の伸びが際立っており、前年同月比728%という結果が出ています。
ITコンサルは豊富な知識や経験が求められることもあり人材不足が続くでしょうし、DX化やクラウドなどの影響から需要も高まるでしょう。フリーランスのITコンサルタントは将来的にも安定した収入を得ることができると考えられます。
ITコンサルとして独立するリスク
ITコンサルタントとして独立を目指す上で、リスクについてもあらかじめ把握しておくことが重要です。
年収が下がる可能性がある
ITコンサルタントとして独立した後には年収が下がるリスクがあります。フリーランスエンジニア白書のデータでは、独立後に「年収が下がった」と回答した人が8.88%いました。
年収が下がる場合というのは、実績やスキルが不足していることで単価が低い案件しか受注できなかったり、人脈や営業能力が不足していることで十分な数の案件を受注できなかったりする可能性があります。
年収が下がってしまうと、フリーランスになるメリットが得られないですし、フリーランスとして事業を続けていくことが難しくなってしまいます。独立を考える際には、当面の生活資金を確保しておくことや、安定して案件を受けられるように人脈や営業方法などを考えておくことが重要です。
社会的な信用が低い
ITコンサルタントとして独立することで、社会的な信用が低くなるリスクがあります。フリーランスエンジニア白書の「フリーランスエンジニアになって感じたデメリット・不満な点を教えてください」というアンケートでも、「社会的信用が低い」ということは最も高い結果となっています。
会社員として在籍していた頃は、所属する企業や部署、役職などの肩書きが信頼の証として機能していましたが、独立後はこのような後ろ盾がなくなります。
初めての取引先と交渉する際や銀行からお金を借りる場合や住宅を購入する際などには、社会的な信用が必要になります。フリーランスとして独立する場合には、こういった信用が会社員よりも下がるということを理解しておきましょう。銀行口座の開設、ローン契約、住宅の購入などはフリーランスになる前に行っておくのが良いかもしれません。
営業の負担が大きい
営業の負担が大きいことも、独立のリスクです。独立すると仕事は自分で取りに行かなければなりません。会社員時代のように営業部門から案件が自然に与えられるわけではなく、継続的な営業活動をしなくてはならないのです。
特に、営業に不慣れな人は案件を獲得するまでに時間がかかってしまったり、ストレスを感じてしまったりということが起こりえます。また、営業活動を行っている時間は作業ができないので、他の業務との両立に悩む場面も出てくるかもしれません。
フリーランス向けのエージェントを利用することなどで、営業活動の負担を減らすことができますが、クライアントとの面談など一定の営業能力が必要ということは覚えておきましょう。
将来の保障が少ない
フリーランスのITコンサルタントには将来の保障が少ないこともリスクといえます。会社員であれば、雇用保険や労災保険、厚生年金保険、失業保険、退職金制度、企業年金などの保障がありますが、フリーランスの場合には自ら整える必要があります。
フリーランスはこういった保障がないので、病気やケガで仕事ができなくなった場合には収入がゼロになるリスクを抱えることになります。また、国民年金だけでは老後の生活費をまかなうには不安が残るのが実情です。
こうしたリスクに備えるためにも、小規模企業共済などの共済や積立、民間保険などを活用して将来の保障の仕組みを構築しておくことが大切です。
ITコンサルとして独立するために必要な要素
ここからは、ITコンサルタントとして独立する際に大事なスキルや経験などを紹介します。
営業力
営業力は、ITコンサルタントとして独立する上で大事な要素のひとつです。フリーランスは会社員時代とは異なり、案件の獲得や条件交渉をすべて自分で担う必要があります。フリーランスは自分で営業先への連絡やプレゼン、交渉などを行わなくてはならないのです。
そのためには、見込み顧客を探しアプローチするスキルや、クライアントの要望を理解し自身の魅力をアピールする能力が必要になります。またITコンサルはITを使った戦略やシステム構想、システム導入を提案しますが、難しい概念をわかりやすく説明する能力も必要でしょう。
近年ではフリーランス向けの案件紹介サービスなども充実しており、クライアントを探す負担は減っていますが、自身を売り込む能力は依然必要でしょう。
論理的思考力
ITコンサルタントには論理的思考力も必要です。ITコンサルが取り組むクライアントの課題は複雑に絡み合っている場合が多いです。ITコンサルはこのクライアントの課題を分析して本質的な問題点を見つけ出し、順序立ててわかりやすく解決策を提示する必要があります。そのために論理的思考力が重要になるのです。
たとえば、業務プロセスの改善提案では、問題を複数の観点から分析し、仮説を立てながら論理的に紐解いていかなくてはなりません。そして、クライアントの立場に立って合理的に説明できなくてはなりません。
このように、分析をし筋道を立てて説明をし、クライアントに理解・納得をしてもらうために論理的思考力が必要なのです。
経験・実績
フリーランスのITコンサルタントにとって、経験と実績は大事な要素です。
企業がフリーランスのITコンサルタントの採用を検討をする際には、経験や成果、実績を確認することが多いです。ITコンサルのノウハウやスキル、知識によって成果が変わってくるからこそ、経験や実績が重視されるのです。
どんな業界や規模のクライアントで、どのような課題を解決してきたか、どれだけの成果が生まれたかを、具体的に説明できるようにしておきましょう。Webサイトやポートフォリオ、SNSなど、クライアントが確認しやすいツールを利用するのも有効でしょう。
ビジネススキル
ITコンサルタントには、ビジネスパーソンとして仕事をスムーズに進行していくためのビジネススキルが必要になります。このビジネススキルとしては、関係者と良い人間関係を築く能力やビジネスマナー、リーダーシップなどがあります。
フリーランスのITコンサルは多くの関係者と関わることになりますし、プロジェクトを率先して進める必要があります。だからこそ、多くの関係者と即座に信頼関係を築き、周りを巻き込んでいくスキルが必要なのです。
そして、成果を出して評価されたり、重要な交渉を行ったり、人を紹介してもらったりすることも必要になります。そのためにも、フリーランスとして独立する前に、会社の中で評価を得て課長や部長などの管理職を経験しておくのもよいでしょう。
事務能力
フリーランスのITコンサルタントとして活動するためには、事務能力も重要です。フリーランスになると、契約書の作成や確認、請求書の発行、税務処理などの事務作業を自分の手で行わなくてはならなくなります。
契約書や重要な書類などのミスや提出の遅れは、信用の失墜にもつながりかねませんし、確定申告や税務対応を怠ると法的なトラブルを招く可能性もあります。また、事務作業に忙殺されてしまうと、本業のITコンサルの業務に支障が出てしまうでしょう。
自分で調べながらでもスムーズに事務作業をできるように事務のスキルを身につけておくのがよいでしょう。また、クラウドソーシングなどを利用して事務作業を代行してもらうノウハウも得ておくのもおすすめです。
ITコンサルタントのフリーランス求人はベスキャリITで
フリーランスのITコンサルタントとして独立することで、収入アップや自由な働き方を実現できる可能性があります。一方で、独立後には自分で能動的に仕事を獲得していかなければなりませんし、交渉や契約なども自分で行わなくてはならない場合も多いです。
そこでおすすめなのがフリーランス向けのエージェントです。エージェントであれば、営業活動や交渉、契約などをすべて代行してもらうことができます。「ベスキャリIT」はIT分野専門のフリーランスエージェントです。ITコンサルタント向けのフリーランス案件も多数掲載しています。15年以上の運営実績があり、非公開案件や高単価なプロジェクトも豊富に保有しています。
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