設備保全の仕事はどんなことをするのか、未経験からでも設備保全に転職できるのか、将来性やキャリアアップの可能性はあるのかなど、疑問に思っている人も多いと思います。

設備保全は、専門的な知識やスキルが求められる責任の大きな仕事です。そのため、業務内容や必要な能力などを十分に理解しないまま安易に就職・転職をしてしまうと、「思っていた仕事内容と違う」「自分には適性がなかった」と感じ、早期離職につながるリスクがあります。結果として、キャリアの停滞や後悔を招く恐れもあるでしょう。

そこでこの記事では、設備保全の現状や需要、仕事内容を詳しく解説するとともに、年収や求められる知識・能力、おすすめの資格を紹介します。就職・転職するためのポイントも解説しているので参考にしてください。

設備保全とは

まず、設備保全の概要や現状、さらに需要の高まりについて解説していきます。

設備保全の概要

設備保全とは、工場やプラントなどで稼働している機械設備を正常な状態に保ち、安定した生産を維持するために点検・整備・修理を行う仕事です。

生産設備は企業活動の基盤であり、故障やトラブルが発生すると生産ラインの停止や納期遅延、品質低下など、大きな損失につながる恐れがあります。そのため、設備保全の担当者は機械や電気に関する専門知識を活かし、日々設備の状態を確認しながらトラブルを防ぐ重要な役割を担います。

具体的な業務としては、日常的な点検や定期的なメンテナンスにより設備の長期的かつ安定した稼働を支えることに加え、故障した際には迅速に修理を行います。さらに、設備の状態や稼働データを分析し、故障の兆候を早期に察知して計画的に保全作業を実施することも求められます。

設備保全の需要

企業の設備保全に対する需要はどのような状態なのでしょうか。

設備保全は企業にとってますます重要な業務となっています。JIPMが公表している「MFFS 2023」によると、「保全の難しさの状況」については75.3%が「より難しくなっている」と回答しており、設備保全に対する専門性や対応力がますます求められていることがわかります。

この設備保全の重要性を踏まえ、全体の89%の企業が保全部門を設置しており、組織的に設備の管理に取り組んでいることがわかります。また、総保全費の予算対象設備の費用割合を見ると生産設備が最も高く、企業にとって生産ラインの安定稼働がいかに重要かがうかがえます。

設備保全の市場と将来性

工場・プラント・ビルなどにおける設備機器の保守メンテナンスサービスの国内市場の調査によると、産業用ロボットの保守・メンテナンスサービス市場は2021年度に285億円に達し、前年から45.4%増加しているとされています。これは、現在も多くの設備保全業務がマンパワーに依存していることを示しており、DX関連技術を活用した遠隔監視や業務効率化の浸透には時間を要するため、市場は今後も拡大すると予想されています。

上の「MFFS 2023」でも、設備保全の業務量は増加傾向にあり、特に高経年設備への対応が最も増えていることが報告されています。さらに、「メンテナンス実態調査」によると、故障の再発防止や高経年設備対応が課題という結果となっています。

今後はよりそういった対応が増えると考えられますし、自動化設備やロボット設備の専門保全、さらにはカーボンニュートラル対応なども今後の課題であるので、設備保全の役割と重要性はさらに高まると考えられます。

設備保全の仕事内容

設備保全の仕事内容とは具体的にどのようなものなのでしょうか。設備保全の仕事内容は「事後保全」「予防保全」「予知保全」の3種類に分けられるので、それぞれについて詳しく解説します。

予防保全

予防保全とは、設備が故障する前に定期的な点検や部品交換、清掃などを行い、トラブルを未然に防ぐことを目的とした保全作業です。これにより、急な設備停止や生産ラインの停止リスクを抑えることができます。

具体的には、モーターやベアリングの定期点検、潤滑油やフィルターの交換、温度や振動のチェックなどが行われます。こうした作業を継続的に行うことで、設備の寿命を延ばし、生産効率や製品の品質維持にもつながります。

予防保全は、故障した設備を修理する事後保全と比べて、突発的なトラブルを減らす効果が高く、企業の安定した生産活動を支えるために欠かせない業務です。

事後保全

事後保全とは、設備が故障した後に修理や復旧作業を行う保全手法です。

具体的な仕事内容としては、故障した機械や装置の部品を交換したり、修理作業を行ったりすることが中心となります。また、なぜ故障が発生したのか原因を調査・特定し、再発を防ぐための改善策を実施することも重要な業務です。修理が完了した後は、設備が正常に稼働するかを確認し、必要に応じて調整を行います。

事後保全では、設備停止による生産ラインへの影響を最小限に抑えることが求められるため、迅速かつ正確な対応が不可欠です。突発的なトラブルへの対応が中心となるため、幅広い設備知識と臨機応変な判断力が重要です。

予知保全

予知保全とは、設備の状態を常時監視したりデータを分析したりすることで、故障が起こる前にトラブルの兆候を検知し、計画的に保全作業を行う手法です。単なる定期点検にとどまらず、振動、温度、圧力、電流などのセンサー情報や稼働データを活用し、設備の異常兆候を事前に把握します。

具体的には、異常振動や温度の上昇を検知した際に部品の交換や調整を行ったり、将来的に故障する可能性のある箇所を先回りして保守計画に組み込んだりする作業が行われます。これにより、急な設備停止を防ぎつつ、不要な交換や点検を減らすことができるため、コスト効率も高まります。

予知保全は、予防保全や事後保全と比べて、データ分析やモニタリング技術を活用する点が特徴で、設備の稼働率向上や長寿命化に直結します。最新のIoT技術やセンサー技術と組み合わせることで高精度な故障予測も可能であり、今後ますます重要性が高まる分野です。

設備保全の年収

設備保全の年収事情にはどのような傾向があるのでしょうか。厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、令和6年時点で産業用ロボットの保守・メンテナンスの平均年収は約586.3万円となっています。設備保全は比較的高い年収が得られる仕事であることがわかります。

また、年齢別に見ると50~54歳で最も高く、717.55万円であり、経験やスキルを積むことで大きく年収が上がる傾向があることがわかります。65~69歳でも約412.2万円と高い水準を維持しており、設備保全は年齢を重ねても安定した収入が得やすい職種であることが分かります。

設備保全の年収については以下の記事で詳しく解説しています。
工場の設備保全の年収は?年収を上げる方法、将来求められる能力も紹介します

設備保全に求められる知識・能力

設備保全として働こうと考えたときに、求められる知識や能力とはどのようなものなのでしょうか。ここで紹介する能力は就職や転職の際にもアピールできるので、あらかじめ意識しておきましょう。

工学系の専門知識

設備保全において最も重要な能力のひとつが工学系の専門知識です。工場やプラントで使用される設備は機械・電気・制御など複数の分野にまたがって構成されており、根本的な知識がなければ正確な点検や修理ができません。

例えば、機械の動作原理や性能、構造を理解していれば、異常音や振動から故障の兆候を察知できますし、電気制御装置の基本回路に関する知識があれば、突発的なトラブル時に原因を迅速に切り分けることが可能でしょう。

このように、幅広い工学系の専門知識を備えることは、設備保全の現場で高い信頼を得るために不可欠です。就職や転職の際にも強みとしてアピールできるので、意識して学習・習得しておくのがよいでしょう。

QCDの知識

設備保全においては、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の視点を持つことも重要です。

設備保全の業務では、単に設備を直すだけでなく、「どのように品質を維持しつつ、コストを抑え、稼働を止めないか」というバランス感覚が求められます。QCDを理解していると、現場のニーズに即した最適な選択ができるため、設備の稼働率を高めつつ、コストや時間を無駄にせず、効率的な保全作業を行うことができるでしょう。

また、修理を最小限で済ませて一時的に稼働させるのか、それとも長期的な安定稼働を重視して徹底的に整備するのかといった判断も、QCDの観点から行う必要があります。設備保全に携わる人材にとって、QCDを意識した思考は欠かせないスキルといえるでしょう。

安全管理能力

設備保全の仕事では、安全管理能力が求められます。工場やプラントなどの現場では、大型機械や高電圧設備、化学物質などを扱うため、常に事故やトラブルのリスクが伴います。そのため、作業手順やマニュアルを遵守することはもちろん、危険を予測し未然に防ぐリスク管理の意識が欠かせないのです。

また、自分自身の安全確保にとどまらず、チーム全体の安全を守るための周囲への注意喚起や、異常が発生した際に迅速に報告・対応できる判断力も重要です。こうした安全管理能力は、企業が重視するポイントのひとつであり、設備保全として信頼されるための必須スキルといえるでしょう。

企業が実施する安全教育や研修に積極的に参加する、安全に関する資格を取得する、最新の法令や業界の安全基準を学ぶなどの方法で安全管理能力を身につけておくのがおすすめです。

コミュニケーションスキル

設備保全の仕事では、コミュニケーションスキルも非常に重要な能力のひとつです。保全担当者は現場のオペレーターや生産管理担当者、外部の業者やベンダーなど、さまざまな人と関わりながら業務を進めていくことになります。情報の伝達が不十分であればトラブルの再発や作業遅延につながるため、正確かつ円滑にコミュニケーションを取るための能力が重要です。

また、保全業務はひとりで完結するものではなく、チームで協力しながら進めることが多いため、協調性や相手の意見を尊重する姿勢も大切になります。さらに、現場で得た情報を関係者と共有し、改善提案へとつなげる発信力を備えていれば、より一層高い評価を得られるでしょう。

設備保全におすすめの資格

設備保全として働くときには、資格を取得することもキャリアに有効です。特に、機械や電気に関する資格が重要になるでしょう。

機械保全技能検定

機械保全技能検定は、設備保全に従事する人材にとって最も代表的な資格のひとつです。機械設備の点検・整備・修理などに必要な知識と技能を証明できる国家資格であり、現場での信頼性を高める効果があります。

試験区分は機械系と電気系に分かれており、それぞれの分野で必要なスキルを体系的に学べるのが特徴です。等級は1級から3級まで用意されており、実務経験に応じて段階的にスキルアップしていくことができます。特に1級を取得すると高度な知識と技能を有する専門家として評価され、大規模な工場や設備の保守を担うポジションへのキャリアアップにつながります。

さらに、この資格は製造業を中心に幅広い企業で評価されるため、その後のキャリアにおいても大きなアピールポイントとなるでしょう。

技能検定・機械保全

技能検定の機械保全は、厚生労働省が実施する国家検定制度のひとつで、機械設備の点検・修理・メンテナンスに必要な知識や技能を客観的に評価するものです。職業能力開発促進法に基づき実施されており、製造現場で働く設備保全担当者にとって実務的な資格といえます。

等級は「特級」「1級」「2級」「3級」に分かれており、3級は基礎的な知識や技能を問う内容、1級や特級では高度な保全技術や管理能力も問われます。特に特級では現場作業だけでなく、チームを率いた保全計画の立案や改善活動に関する知識が必要となるため、管理職やリーダー職を目指す人に適しています。

また、この資格はOJTでの経験だけでは学びにくい「体系的な知識」を身につける機会にもなるため、若手からベテランまで幅広い世代に有効です。

設備保全におすすめの資格6選!資格取得のメリット、注意点も紹介します

設備保全の就職・転職サービスの選び方

設備保全に就職・転職するためには、就職・転職支援サービスを利用することになりますが、どのような会社を選ぶのがよいでしょうか。ここでは、サービスを選ぶときのポイントを紹介します。

製造業に特化したサービスを選ぶ

設備保全への就職・転職を成功させるためには、製造業に特化したサービスを選ぶのがよいでしょう。

製造業に特化したサービスでは、工場やプラントの保全業務の求人が多く集まります。一般的な総合型の転職サービスでは設備保全向けの求人が限られている場合もありますが、製造業に特化していることで専門的な案件や条件の良い求人に出会える可能性が高まるはずです。

さらに、企業との強いつながりを持つサービスなどもあり、非公開求人を紹介してもらえる可能性もあります。業界の動向や企業ごとの特徴を熟知しているキャリアアドバイザーが在籍していることも多く、的確なアドバイスを受けられるでしょう。

専任のアドバイザーがつくサービスを選ぶ

設備保全の就職・転職活動を効率的に進めるためには、専任のアドバイザーがサポートしてくれるサービスを選ぶのがよいでしょう。

専任のアドバイザーがつくことで、自分の経歴やスキル、希望条件に沿った求人を紹介してもらいやすくなります。特に設備保全の仕事は、機械や電気の知識、資格、現場経験などが重視されるため、どのように強みをアピールすればよいかを具体的に教えてもらえるのが大きなメリットです。

また、応募先企業との条件交渉を代行してもらえるケースもあり、自分では伝えづらい給与や勤務条件についてもサポートを受けられるでしょう。専任アドバイザーがつくサービスを選ぶことで、転職活動をよりスムーズに進められ、希望に沿った就職・転職の実現につながるはずです。

運営歴が長いサービスを利用する

設備保全の就職・転職を考える際には、運営歴が長いサービスを利用するのもおすすめです。業界内での信頼性が高く、全国の企業との強いコネクションを持っている場合も多く、他社にはない情報なども紹介してもらえる可能性があります。

また、運営歴が長いサービスは、多くの求職者と企業をマッチングしてきた実績があるため、業界情報や企業ごとの特徴を把握しており、適性のある求人の提案をしてくれるでしょう。長年の運営によって蓄積されたデータやノウハウを活かし、設備保全に特化した求人紹介や面接対策など、質の高いサポートを受けられるはずです。

設備保全の分野でより多くの選択肢や安定したサポートを得たいのであれば、実績豊富で運営歴の長いサービスを利用するのがよいでしょう。

設備保全への就職・転職ならベスキャリ機電で

設備保全の仕事は、製造業を支えるうえで欠かせない重要な役割を担っています。安定した需要がありますし、これからもニーズは拡大するでしょう。

ただ、就職や転職に際しては、自分のスキルや希望条件に合った求人を見極めることが重要です。特に設備保全は、工場やプラントなど現場ごとに必要とされる知識や技術が異なるため、求人内容をしっかり確認する必要があります。就職や転職を行うときには、最適な転職支援サービスを利用するようにしましょう。

「ベスキャリ機電」は製造業に特化した転職支援サービスです。15年以上の運営歴があり、製造業界に強いネットワークを持っています。非公開求人を含む、全国の工場やプラントの設備保全求人を常時1万件以上取り扱っています。

さらに、業界に精通した専任のアドバイザーが個別にサポートしてくれるため、自分のスキルや希望条件に合った求人を紹介してもらえます。面接のアドバイスや履歴書の添削、キャリアプランの相談など、就・転職活動をトータルで支援してくれるのも大きな魅力です。ぜひご登録ください。

ベスキャリ機電の設備保全の求人は以下のページで紹介しているので参考にしてください。
https://www.bscareer-kiden.jp/project?q%5Bjob_type_id_in%5D%5B%5D=21200&q%5Bjob_type_id_in%5D%5B%5D=21300

シェアする