電気電子工学科は就職に強い学科といわれていますが、実際のところどうなのでしょうか。電気電子工学科は専門性の高い分野ではあるものの、働く環境や収入面に不安を感じる学生もいるかもしれません。

そこで本記事では、電気電子工学科の就職事情やおすすめの業界・職種について分かりやすく解説します。就職後に後悔しないためのポイントや、就職・転職を成功に導くサポートサービスについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

電気電子工学科生は就職しやすい?

はじめに、電気電子工学科生が本当に就職しやすいのかを解説しておきます。

電気電子分野は人手不足

電気電子分野では人手不足が続いています。電子技術者への求人が活況であるという記事や、『「5年後、技術者が不足すると予想される分野」については、機械工学(12.4%)、電力(7.5%)』という記事もあります。

人手不足の背景にはベテラン技術者の引退が進んでいることに加え、若い世代の多くがAIやソフトウェア分野に関心を寄せ、ハードウェア系の職種を目指す学生が減少していることなどが考えられます。こうした構造的な変化が、技術者不足に拍車をかけているのでしょう。実際に企業では優秀な人材の確保に向けた動きが活発化しており、給与水準の見直しや福利厚生の強化などを進めている企業も見られます。

このように、技術者不足が続くなかで企業の採用競争が激化している現状を踏まえると、電気電子工学科の学生は今後も就職しやすい状況にあるといえるでしょう。

電気電子分野の市場は拡大している

電気電子分野は、今後さらなる市場拡大が期待されています。「電子情報産業の世界生産見通しのレポート」によれば、電子情報産業の世界生産額は2024年に3兆7,032億ドル(前年比9%増)に達し、2025年には3兆9,909億ドル(前年比8%増)まで成長する見通しです。

また、電子デバイス産業・半導体市場動向では、世界の電子デバイス関連産業の市場規模が2025年に約3兆ドルに拡大する見通しが示されています。

この成長を牽引しているのは、EV(電気自動車)や自動運転、医療機器、AIの活用といった先端分野における電気電子技術のニーズの高まりです。さらに、ソリューションサービスや半導体、ディスプレイデバイスの分野でも着実な成長が見込まれており、市場全体の拡大を後押ししています。

このように、電気電子分野の市場は拡大していますし、今後も成長が見込まれるので、電子工学科の学生の活躍の場は広がるといえるでしょう。

就職率がよい

電気電子工学科の学生は就職率がよいです。就職市場全体においても高い内定率を維持しており、理系分野の中でも安定した進路選択が可能な学科といえます。

「令和5年度大学等卒業者の就職状況調査」によると、理系学生の就職内定率は98.8%に達しており、調査開始以来、過去最高の水準を記録しています。電気電子工学科だけに限らず、理系全体で就職率がよいのです。

また、各大学の学科別就職実績を見ても電気電子工学科は就職率が高いです。製造業や情報・サービス業への就職率が安定しており、就職先の選択肢も豊富となっています。企業は理系人材を積極的に採用しており、専門性の高い電気電子人材への期待の高さがうかがえます。

電気電子工学科生の就職先の業界

電気電子工学科生の就職先にはどのような業界があるのでしょうか。「理系学⽣の就職先企業に関する調査」によると、機械・電気系の学生の就職先の業界と割合は次のような結果となっています。

業界 割合
自動車・輸送用機器 28.9%
電子・電機 15.8%
機械・プラントエンジニアリング 14.5%
情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト 5.3%
通信関連 5.3%
精密機器・医療用機器 5.3%
商社 3.9%

それぞれどのような仕事か解説します。

自動車・輸送用機器

自動車・輸送用機器の業界を志望する電気電子工学科生は多いと思われます。

自動車・輸送用機器業界には、電動パワートレインの設計、制御システムの開発、センサーや電装部品の回路設計など、電気電子の知識を活かせる仕事が数多く存在します。特にEV(電気自動車)や自動運転技術の進展により、ソフトウェア制御とハードウェア設計の融合スキルなど、電気・電子の専門知識を持った人材へのニーズが非常に高まっています。

メーカーだけでなく、部品を供給するサプライヤーや重工メーカーへの就職も選択肢として存在します。電気電子工学科生にとって、自動車・輸送用機器業界は専門性を活かして活躍できる業界といえます。

電子・電機

電気電子工学科の学生にとって、電子・電機業界は専門知識を活かせる代表的な就職先のひとつです。

電子・電機業界の仕事は、電気機器や設備の設計、製造・組立、回路設計や電子デバイス開発、組込みシステムの設計など、電気電子工学の知識を活かせるものも多いです。特にIoTや5G、次世代通信技術の進展により、電子・電機製品の高度化が進んでおり、それに伴って技術者の需要も年々高まっています。

テレビやスマートフォン、産業機器向けの電子部品に関する開発職なども多くありますし、半導体メーカーや精密機器メーカーなどにも活躍できるポジションがあるので、就職先の幅が広いのが特徴といえるでしょう。

機械・プラントエンジニアリング

電気電子工学科生にとって、機械・プラントエンジニアリング業界も有力な就職先のひとつです。

この業界では電気制御システムや配電設備など、電気電子工学の知識が数多くの分野で活用されています。特に、工場や発電所といった大規模施設では、電力の安定供給や自動化設備の制御が不可欠であり、電気電子系の専門性が求められるシーンが多いです。近年では、省エネ化・自動化を目的としたスマートファクトリーの導入なども進んでおり、センサー技術や通信制御に関する専門知識を活かせる仕事も増えています。

現場では設備設計や施工管理といった実務に直結する業務が多く、実践的な技術力を身につけることで即戦力として評価されやすくなるでしょう。

情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト

電気電子工学科生にとって、情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト業界も多くの人が志望する就職先のひとつです。この業界には、システム開発や組み込み系ソフトウエアの開発、通信機器・制御システムのプログラム設計、ネットワーク構築などの仕事があり、電気電子工学科生の専門性を活かせます。

近年では、ソフトウェア開発でも、ハードウェアと連携したシステム開発が増えており、電気回路や組み込みシステムに関する知識が重要視されており、就職先として有力なのです。特にIoTやAI、ロボット制御などの分野では、電気電子の基礎とプログラミングスキルの両方を備えた人材が強く求められています。

数学的な思考力とプログラミングスキルの両方を活かせるため、電気電子工学科生に人気の業界のひとつです。

通信関連

電気電子工学科生にとって、通信関連業界はその専門知識を活かせる就職先のひとつといえます。

通信業界では、ネットワークの構築や保守、通信インフラの設計・運用などの仕事があり、電気回路や信号処理、通信工学といった電気電子の知識が求められます。こういった仕事では、大学で学ぶ基礎理論が実務に直結しやすく、即戦力として活躍できる場が多いのです。さらに、5Gや次世代通信技術の発展に伴い、高度な技術力を持つ人材も求められています。

通信インフラやスマートデバイスなど日常を支える技術に関わりたい方にとって、通信関連は信号処理やネットワークの知識を活かして社会に役立つことができる分野といえるでしょう。

精密機器・医療用機器

電気電子工学科生にとって、精密機器・医療用機器業界も専門知識を活かせる就職先といえます。

精密機器や医療用機器業界の仕事は、正確な動作と高い信頼性が求められる製品の設計・開発に携わるものが多いです。たとえば、医療機器では心電計・MRI・人工呼吸器など、人体に直接関わる電子機器の設計や制御系の開発が挙げられます。

他にも、光学機器や分析機器に用いられるセンサー回路の開発、ノイズ対策を考慮した回路設計、安全規格に準拠した評価・試験など、精密な電子制御技術が求められる業務で大学で学んだ知識が活かせるでしょう。高精度・高品質が求められる業界だからこそ、電気電子工学科で培った知識がダイレクトに活かせるはずです。

商社

電気電子工学科の学生にとって、商社も有力な就職先のひとつとなります。

電機部品や計測機器、制御装置などを取り扱う技術系商社では、営業職にとどまらず、技術的な知識をもとに製品や設備の選定・提案・導入支援まで関わることがありますし、顧客への技術的な説明や導入支援を行う部門などもあります。こういった仕事で大学で学んだことが活かせるでしょう。

特に技術商社では、顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提供するため、製品の構造や機能を深く理解している人材が重宝されます。ものづくりの最前線に立つわけではありませんが、技術とビジネスの橋渡し役として価値ある仕事を担えるのが、商社で働く魅力といえるでしょう。

他にも、電気関係の業界や職種は以下の記事を参考にしてみてください。

電気関係のおすすめの仕事は?職種、資格、スキルもまとめました

電子電気工学科生の就職先の職種

ここからは、理系学⽣の就職先企業に関する調査をもとに、電子電気工学科生に多い就職先の職種を紹介します。

研究・開発・設計系

研究・開発・設計系の職種は、電気電子工学科生の就職先として多く選ばれている分野です。理系学⽣の就職先企業に関する調査でも、機械・電気系の学生のうち65.7%が「研究・開発・設計系」の職種に就職しています。

研究・開発・設計系の職種では、電気回路、電子制御、信号処理、通信技術など、電子電気工学科で学んだ知識や技術を直接的に活かすことができます。CADやシミュレーションツールを用いた回路設計や試作評価など、実践的なスキルも必要です。

アイデアを形にしたいと考えている電気電子工学科生にとって、研究・開発・設計系の職種は魅力のある分野といえるでしょう。

IT系

電子電気工学科生にとってIT系の職種も選択肢となります。電子電気工学科で学ぶプログラミングやアルゴリズムなどの基礎知識は、システムエンジニアやソフトウェア開発、インフラエンジニアといったIT系職種で役立ちます。

ネットワークやセキュリティ、組み込みソフトなど、専門性の高い分野におけるIT職なども就職先としてよいでしょう。特に近年では、IoTやAIなど、ハードウェアとソフトウェアが融合する分野が拡大しており、電気系のバックグラウンドを持つエンジニアは求められる傾向にあります。

生産・製造・品質管理系

電子電気工学科の学生は、生産・製造・品質管理系の職種を目指すことができます。

電子回路や電気制御、機械との連携に関する知識は、製品の製造現場における生産工程の設計・改善や、品質管理業務において役立ちます。ラインの自動化や生産設備の電気設計などが可能ですし、不良品の発生原因を電気的観点から分析することもできます。

特に製造業では、高度な技術を理解し、実務に活かせる人材が求められており、電子電気工学の基礎を学んだ人材は重宝されるでしょう。

電子電気工学科生が就職で後悔しないためのポイント

電気電子工学科の就職においてあとで後悔しないためには、就職先の選び方が重要です。

エージェントを利用する

就職活動で後悔しないためには、エージェントを活用するのもひとつの方法です。

エージェントは業界に精通した専門家であり、これまでに多くの電子電気工学科の就職をサポートしてきているので、就職における有益なアドバイスなどをもらえるでしょう。また、電子電気関連の企業の情報も豊富に持っているので、企業の雰囲気や働き方などの内部の情報を教えてもらうこともできるかもしれません。自分では見つけられない企業なども提案してもらえる可能性もあります。

エージェントは面接の指導や書類の添削などを行ってくれることもありますし、電子電気工学科生の就職において大きなメリットが得られるでしょう。

企業の情報を調べる

後悔のない就職を実現するためには、企業の情報をしっかりと調べることが大切です。

情報が足りないまま応募してしまうと、入社後に「思っていた仕事内容と違った」「働き方が合わなかった」といったミスマッチにつながるリスクもあります。設計を志望していたのに、実際は電気設計ではなく保守管理が中心で自分のスキルが活かせないということなども起こりえます。

給与や勤務地などの条件面だけでなく、企業理念や社風、働き方のスタイルなども含めて調べておきましょう。特に電子電気工学の分野では、扱う技術や分野が企業によって大きく異なるため、入社前の情報収集が非常に重要になります。

企業の公式サイトで事業内容や募集要項を確認するのはもちろん、口コミサイトやSNSなどを活用して、実際に働いている人の声を収集するのも有効です。

社員の様子を見る

電子電気工学科生が就職で後悔しないためには、社員の様子を事前に観察することも有効です。会社の経営方針や仕事に対する価値観、人間関係、社風などが合わないと、モチベーションの低下や人間関係の悪化によって早期退職につながってしまう可能性があります。

企業の雰囲気や働きやすさを見極める上では、実際に働く社員の様子を観察することが重要です。説明会やインターンシップ、OB・OG訪問の機会を通じて、社員の人柄や職場の空気感を感じ取ることで、自分に合う会社、職場かどうかを確認しましょう。

社員の様子を肌で感じることは、求人情報だけでは得られない貴重な判断材料です。積極的に現場の空気に触れ、後悔しない就職を実現させましょう。

電気電子工学科からの就職ならベスキャリ機電で

電気電子工学科生の就職率は高く、幅広い業界・職種で専門性を活かせる点が魅力です。自動車、電子機器、情報通信など成長性の高い分野での需要も強く、将来的なキャリアの幅も広いでしょう。とはいえ、職場の雰囲気や待遇など、情報が不十分なまま就職先を決めてしまうと後悔するケースもあります。だからこそ、エージェントを利用し、自分に合った就職先を丁寧に探すのがおすすめです。

「ベスキャリ機電」は機電分野に特化したエージェントです。15年以上の運営実績があり、未経験可の求人や非公開求人を含む多数の求人を取り扱っています。電気電子工学科出身者向けの求人も豊富で、専任アドバイザーが面接対策や履歴書添削、条件交渉まで幅広くサポートしてくれます。自分に合った就職先を探している電気電子工学科生は、ぜひベスキャリ機電にご登録ください。

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