「自動車エンジニアはどんな仕事をするの?」「自動車エンジニアになるにはどうすればいい?」「キャリアアップや年収は実際どうなの?」といった疑問を持つ人も多いと思います。
自動車業界はEV化や自動運転技術の進展により急速に変化しており、それに伴って自動車エンジニアの役割や求められるスキルも多様化しています。将来性が高い分野だからこそ、仕事内容や働き方、キャリアパスをしっかり理解することが重要です。
そこでこの記事では、自動車エンジニアの仕事内容や必要なスキル、年収、将来性、難易度について詳しく解説します。就職・転職を成功させるポイントも説明しているので参考にしてください。
目次
自動車エンジニアとは
自動車エンジニアは、自動車の設計・開発・製造・品質管理・保守など、車両に関わるさまざまな技術的業務を担う技術職です。エンジンやブレーキなどの機械系から、電子制御システム、AIやセンサーを活用した自動運転技術まで幅広い分野で活躍しています。
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、日本国内で働く自動車開発技術者の数は約137,470人にのぼり、自動車産業を支える重要な存在となっています。
現代の自動車エンジニアは単に車を作るだけでなく、電動化・自動運転・コネクテッドカーといった最先端技術の開発にも関わっており、エンジニアリング領域の進化と共にその役割も大きく広がっているのが特徴です。このように、自動車エンジニアは「走る」「止まる」「曲がる」といった基本性能を支えるだけでなく、未来のモビリティ社会を実現する鍵を握る職種として注目されているのです。
自動車エンジニアの仕事内容
自動車エンジニアの仕事内容にはさまざまなものがあります。それぞれの仕事内容は以下の通りです。
開発・設計
自動車エンジニアの中でも「開発・設計」は、車の性能・デザイン・安全性を実現するうえで中核を担う重要な業務です。まずはデザイナーと連携しながら、車のコンセプトやデザインイメージに基づいて設計方針を策定します。その後、CADを用いて3Dモデルを作成し、構造や寸法、素材などを具体的に設計していきます。
開発・設計には、ボディやシャシー、エンジン、足回り、インテリアなどの各パートごとに専門部署が設けられており、それぞれが連携しながら車全体を形にしていきます。また、走行性能・燃費・衝突安全性などを向上させる「性能開発」や、新素材の導入を図る「材料開発」なども含まれ、業務範囲は多岐にわたります。
さらに近年では、環境規制や脱炭素社会の流れを受け、電気自動車(EV)やハイブリッド車の設計、軽量素材の活用なども重視されるようになっています。
電子制御・ソフトウェア開発
自動車エンジニアの仕事には、車両に搭載される電子制御システムやソフトウェアの開発も含まれます。たとえば、ブレーキやステアリング、エンジン制御などを最適に動作させるECU(電子制御ユニット)や、衝突回避支援、車線維持、駐車支援といった先進運転支援システム(ADAS)のプログラム設計などがあります。
センサーやカメラのデータを分析し、正確な制御を実現するために、制御アルゴリズムの開発やシミュレーションも行われます。自動運転やEVの普及が進む中で、ソフトウェアの役割はますます拡大しており、プログラミング技術やAI、データ解析の知識が求められる分野です。
車が“動くコンピュータ”とも言われる今、電子制御とソフトウェア開発の重要性は年々高まっています。
テスト・評価
テストや評価は、自動車が安全かつ快適に走行できるかどうかを検証する工程であり、製品の信頼性を支える重要な役割を担っています。開発・設計された部品やシステム、完成車を実際に試験し、性能・耐久性・安全性などを確認します。
例としては、衝突安全試験や燃費測定、ブレーキ性能テスト、耐候性試験、さらには長期間の走行を想定した耐久テストなどがあります。こうした評価は、専用の試験施設やテストコース、シミュレーターなどを用いて実施され、厳格な基準に基づいてデータを取得・分析します。
また、EVや自動運転車の開発が進むなかで、ソフトウェアやセンサー類の評価も重要性を増しており、電子制御の動作検証や通信機能の安定性チェックなども含まれます。テスト・評価業務は最後の品質保証とも言えるプロセスであり、製品として世に出す前の最終確認として欠かせない工程です。
生産技術・製造支援
生産技術・製造支援は、設計された自動車を実際に効率よく量産するための仕組みや工程を整備・改善する業務です。自動車エンジニアは、開発段階から量産体制に至るまでの橋渡しを担い、製造現場で高品質な製品を安定して生産できるようにするための技術的なサポートを行います。
具体的には、製造プロセスの最適化、工場レイアウトの設計、生産設備や治具の導入・改良、コスト削減や作業効率向上のための改善活動などが挙げられます。また、組立ラインで発生するトラブルの原因分析や対応、品質不良の防止策立案なども重要な業務です。製造現場のオペレーターや作業者に対する技術指導や工程教育、作業マニュアルの整備といった支援も行う場合があります。
自動車エンジニアの将来性
自動車エンジニアの将来性は、今後どのように広がっていくのでしょうか。まず前提として、自動車という製品そのものの需要が消えることはありません。都市部だけでなく地方においても、生活や経済活動に欠かせないインフラであり続けるため、一定の需要は今後も維持されると見込まれます。
加えて、経済産業省の資料によると、国内の労働力人口は減少傾向にあり、自動車業界でも人手不足が深刻化しています。この影響により、エンジニアの待遇改善や賃金上昇の可能性が高まっていると考えられます。実際、ダイヤモンド・オンラインによると、トヨタでは2027年に平均年収が1,000万円を超えるという見通しも報じられています。
さらに、自動車工業会の情報によると、自動運転やコネクテッド技術、EVといった次世代分野の技術開発競争が激化しており、これらの領域に携わるエンジニアへの需要は今後さらに高まると予測されています。
このように、テクノロジーの進化と人材不足の両面から、自動車エンジニアの将来性は非常に高く、特に先進技術に対応できるスキルを持つ人材には高収入のチャンスが広がっているといえるでしょう。
自動車エンジニアの年収
自動車エンジニアの平均年収は、「職業情報提供サイト」の令和6年のデータによると700.6万円とされています。これは日本全体の平均年収と比べても高水準であり、技術職としての専門性の高さや自動車産業の規模の大きさを反映しています。
「年齢別の年収」グラフを見ると、もっとも年収が高くなるのは55~59歳であり、884.35万円となっています。65~69歳でも658.85万円という結果となっており、高齢になっても大きな年収が得られる仕事といえます。
また、勤める企業によっても大きく年収が異なります。自動車業界平均年収ランキングでは以下のような年収となっています。
このように、自動車エンジニアの年収は企業によって大きな差があることがわかります。特に大手メーカーでは800万円を超える企業も多く、安定した収入が期待できる職種といえるでしょう。
『自動車エンジニアの年収とは?将来の年収、年収を高める方法も解説』
出典:SalesNow DB(https://salesnow.jp/db)
自動車エンジニアに求められる知識・能力
では、自動車エンジニアへの就職や転職を目指すときに、必要とされる知識や能力とは何でしょうか。
工学の知識
自動車エンジニアには、機械工学・電気電子工学・材料工学など、幅広い工学分野の基礎知識が求められます。
自動車は精密で複雑な工業製品であり、構造設計や駆動系、電装系、安全装置に至るまで、あらゆる箇所に工学的な知見が活かされています。たとえば、エンジンの効率を高めるには熱力学や流体力学の理解が不可欠であり、制御システムの開発には電子回路や制御工学の知識が必要です。
また、近年は電動化・自動運転技術の進展に伴い、従来の機械系に加えてソフトウェアやAI、センサー技術に関する知識も重要性を増しています。基礎から応用まで工学の幅広い理解は、自動車エンジニアとして活躍するための土台といえるでしょう。
プログラミングスキル
自動車エンジニアには、近年ますますプログラミングスキルが求められるようになっています。自動車に搭載されるシステムの多くが電子制御化されており、エンジンやブレーキ、ステアリングなどの制御、さらにはインフォテインメントシステムや自動運転支援システムなども、ソフトウェアによって機能を実現・最適化しています。
これらのソフトウェア開発には、C言語やC++といった組み込み系言語をはじめ、JavaやPythonなどの汎用言語も活用されます。特にC言語やC++はリアルタイム性が求められる車載システムにおいて重要であり、処理の正確性や安定性を担保するために必要不可欠です。
自動車の高度化・デジタル化が進む現在、プログラミングスキルはハードとソフトの橋渡しを担う重要なスキルとされています。
CADスキル
自動車エンジニアにとって、CADスキルは設計業務を行ううえで欠かせない技術です。自動車の設計では、ミリ単位での正確な構造設計や部品同士の干渉チェック、形状確認などが求められますが、これを効率的かつ正確に行うためにCADが広く活用されています。
実際の現場では、3次元CADを使って自動車のボディ、シャシー、エンジン、内装部品などの3Dモデルを作成し、視覚的に構造や組み付けを確認しながら設計を進めます。また、CADデータは他部署との連携にも活用されるため、図面作成だけでなくデータの共有・活用方法や図面の読み取り・書き換えに関する知識も求められます。
自動車エンジニアを目指す上でCADは必須のスキルとなります。
ソフトウェア系の知識
自動車エンジニアには、センサー制御、通信技術、コネクテッドカーの通信システム、車載OS、クラウド連携、サイバーセキュリティ対策などのソフトウェアの知識が必要です。
現代の自動車は、高度な電子制御とネットワーク技術が搭載されており、車両の走行性能や快適性、安全性を支える多くの機能がソフトウェアによって実現されています。V2XやOTAといった技術は、インターネット接続を前提とした先進的な機能であり、開発にはシステム設計から実装・保守に至るまで幅広い知見が求められます。
今後は自動運転やAIによるデータ解析など、より高度なソフトウェア制御技術が必要になることから、ハードウェアだけでなくソフトウェア領域への対応力も重視されると考えられます。
コミュニケーション力
自動車エンジニアには、技術力だけでなく高いコミュニケーション力も求められます。これは、自動車の開発には多くの専門分野が関わっており、設計・電子制御・品質管理・製造などの各部門と密に連携しながら業務を進めていく必要があるからです。
たとえば、設計変更を行う際には製造現場との調整が不可欠ですし、新しい技術を導入する際には他の技術者やマネジメント層に対してメリットやリスクを説明し、理解を得ることが求められます。また、顧客のニーズを反映させるためには、営業やマーケティング担当との情報共有も重要です。
技術的な話をかみ砕いて説明する力や、相手の立場を理解して協力し合う姿勢は、自動車エンジニアとして長く活躍していくための重要なスキルといえるでしょう。
「CASE」に関する知識
自動車エンジニアには、「CASE」(Connected、Autonomous、Shared&Services、Electric)の分野に関する知識が欠かせません。これは、自動車産業の大きな変革を象徴するキーワードであり、今後の技術革新や事業展開に直結する領域です。
「Connected」では車両とインターネットを接続するための通信技術や、クラウド連携・OTAによるソフトウェア更新に関する知識が求められます。「Autonomous」では、カメラやLiDAR、ミリ波レーダーなどのセンサーデバイスの理解、加えてそれらを統合し判断を下すAIアルゴリズムや制御ソフトウェアの知識も重要です。
また、「Shared & Services」においてはカーシェアやモビリティサービスを支えるプラットフォームやユーザーインタフェースの設計に関する知識が必要とされます。「Electric」では、EVに関するバッテリー制御、インバーター技術など、電動化を支える電気工学的な理解が不可欠となるので身につけておくのがよいでしょう。
自動車エンジニアになるのは難しい?
ここまで説明したように、自動車エンジニアにはさまざまな知識やスキルが求められますが、自動車エンジニアに就職するのは難しいのでしょうか。
自動車エンジニアは競争率が高い
自動車エンジニアは日本を代表する製造業に関わる職種であり、人気の高い職業です。特にトヨタやホンダ、日産といった大手メーカーに就職すれば、最先端の技術開発に関わるチャンスがあるだけでなく、年収水準も高い傾向にあります。
そのため、希望者が多く就職の競争率も高くなりがちです。職業情報提供サイトによると、自動車エンジニアに関連する職種の有効求人倍率は1.95と、他の技術職と比較しても高水準となっています。これは、1つの求人に対して約2人の求職者が存在するということを意味し、狭き門であることがわかります。
自動車エンジニアになるためには、専門的な知識やスキルだけでなく、他の志望者との差別化を図るための実績や経験も重要となります。高い競争率を突破するには、早めの準備と戦略的なキャリア構築が大事でしょう。
自動車エンジニアは需要が高い
確かに自動車エンジニアは人気の高い職種であり、競争率も高くなっています。その有効求人倍率は1.95であり、求職者よりも求人の方が多い状態ではあるものの、専門性の高さや実務経験が求められるため、簡単に就ける職種ではありません。
しかし同時に、高いスキルや知識を持った人材に対するニーズは非常に大きく、今後も拡大していくと考えられます。日本自動車工業会のデータによると、自動車製造業は全製造業における製造品出荷額の17.4%を占めており、日本の産業を牽引する存在です。これだけ大きな市場を支えるには、多くの優秀なエンジニアの力が不可欠でしょう。
さらに、「電気・機械エンジニアの転職市場動向 2025下半期」によると、現在の自動車業界はEV化や「CASE」「MaaS」といった技術革新の波に直面しています。これに伴い、電子制御やソフトウェア、センサー技術、AI・IoTなどの分野に精通した人材へのニーズが急激に高まっているのです。
このように、自動車エンジニアは競争率が高い一方で、高度な専門知識やスキルを持つ人には大きなチャンスが広がっている職種です。技術革新の波に対応できる人材であれば、安定したキャリア形成が期待できるでしょう。
自動車エンジニアへの就職・転職を成功させるポイント
では、自動車エンジニアへの就職や転職を成功させるには、具体的にどのような行動を起こすのがよいでしょうか。ポイントを解説します。
自動車業界に強い転職エージェントを選ぶ
自動車エンジニアとしての就職・転職を成功させるには、機械やものづくり業界に特化したような、自動車業界に強い転職エージェントを選ぶのが重要です。
こうしたエージェントは、自動車メーカーや部品メーカーとのネットワークを持ち、業界特有の求人情報や非公開求人を多数保有しているケースが多くあります。また、専任のキャリアアドバイザーが在籍しているエージェントであれば、業界の動向や職種ごとのキャリアパス、求められるスキルなどについて、より深いアドバイスを受けることができます。
さらに、転職エージェントを利用した場合、年収が上がる傾向にあるという調査データもあります。これは、エージェントが企業との間に立って給与交渉や条件調整を行ってくれるため、個人での転職活動よりも好条件での転職を実現しやすいためでしょう。
転職活動に不安がある方や、良い条件で転職をしたい方は、まずは自動車業界に精通した転職エージェントに相談するのがおすすめです。
別職種で経験を積む
自動車開発エンジニアとしてのキャリアを目指すにあたって、最初から自動車メーカーでの開発職に就かず、別の職種を経験するという方法もあります。まずは関連性のある別職種で実務経験やスキルを積むというルートも有効です。
実際、業界メディアの取材でも紹介されているように、近年はIT業界や異分野から自動車業界へと転身するケースも増えており、製造業以外の業界で得た技術や経験が評価される風土が広がりつつあります。
また、エンジニア転職市場の調査によると、自動運転やAI関連のエンジニア職では「30代で年収700万~800万円」といった高収入の案件も多く、自動車開発エンジニアよりも高い年収レンジで募集されている傾向があります。
このように、自動車エンジニアとして就職してキャリアを積むだけでなく、一度別の職種で専門性を磨いてから転職するというルートも、現実的かつ効果的な選択肢かもしれません。
資格を取得する
自動車エンジニアとしての就職・転職を有利に進めるためには、関連する資格の取得も効果的です。資格はスキルや知識の証明になるだけでなく、企業側に対して「向上心がある」「専門性を高めようとしている」という姿勢を示すアピールポイントにもなります。
たとえば、機械系全般の基礎知識を証明できる「機械設計技術者資格」や、自動車の構造や整備に関する知識が問われる「自動車整備士(国家資格)」は、多くの自動車メーカーや関連企業で高く評価される資格です。ほかにも、「CATIA」や「AutoCAD」、「電気主任技術者」、「組込みソフトウェア技術者試験(ETEC)」なども有効でしょう。
転職やキャリアアップを見据えるなら、戦略的に資格取得を進めるのがよいでしょう。
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自動車エンジニアは、設計・開発から生産・評価・ソフトウェアまで、幅広い分野で活躍できる魅力的な職種です。年収や将来性も高く評価されている一方で、専門知識やスキルが求められるため、キャリア構築には計画的なアプローチが欠かせません。だからこそ、就職・転職の成功には、自動車業界に精通した転職エージェントの活用がおすすめです。
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