「SEってフリーランスになると年収はどれくらい?」「正社員より稼げるって聞くけど本当?」「独立して後悔しないために収入のリアルを知りたい」と考えている人も多いと思います。
フリーランスSEは、働き方やスキル次第で高年収を狙える一方、案件単価や収入の安定性に不安を感じる方も多い職種です。年収の実態や収入アップのコツを理解せずに独立してしまうと、思わぬギャップに直面して後悔してしまう可能性があります。
そこでこの記事では、フリーランスSEの平均年収や言語別の平均年収、案件単価の相場感、年収に関する注意点、年収を上げるための方法について詳しく解説します。
目次
フリーランスSEの年収はどのくらい?
フリーランスSEの年収はどれくらいなのでしょうか。正社員とフリーランスのSEの平均年収を解説します。
SEの平均年収
厚生労働省が提供する「職業情報提供サイト」の「システムエンジニア(受託開発)」「システムエンジニア(Webサービス開発)」のページを見ると、正社員として働くシステムエンジニア(SE)の令和6年の平均年収は約574.1万円とされています。これは、ボーナスや手当を含んだ一般的な給与水準を反映したものです。
「年齢別の年収」グラフを見ると、SEはキャリアを重ねるにつれて年収が上昇し、45~49歳でピークとなり、平均年収は737.98万円に達します。その後も高い水準を維持し、65~69歳でも607.68万円と、年齢を重ねても高年収を得られる職種であることが分かります。技術力やマネジメント経験が評価される職種であるため、年齢を重ねても安定した収入を得られる点は、SEの魅力のひとつといえるでしょう。
フリーランスSEの平均年収
フリーランスのSEの平均年収は、正社員と比べて高い傾向にあります。IT人材白書2016をもとにした調査では、フリーランスSEの平均年収は約852万円とされています。これは正社員SEの平均年収(約574万円)と比較して、約1.5倍に相当します。
また、こちらの調査結果によれば、フリーランスに転身したエンジニアのうち、6割以上が「年収が上がった」と回答しています。スキルや経験があれば高単価の案件を受注できるため、自身の実力次第で年収アップを実現できる点がフリーランスの大きな魅力といえるでしょう。
もっとも、年収はスキルセットや稼働日数、営業力などによって大きく変動するため、一概にすべてのフリーランスSEが高収入を得られるとは限りません。ただし、技術に自信があり、自立した働き方を望むエンジニアにとっては、フリーランスは魅力的な選択肢といえるでしょう。
SEがよく利用する言語別エンジニアの年収
フリーランスSEの年収は案件の言語によっても変わります。ここでは、SEがよく利用する言語別に平均年収を紹介します。SE以外の職種のデータも含まれる可能性がありますが、参考にしてください。
Java
Javaは企業向けの業務システムやWebアプリケーション、Androidアプリの開発など、幅広い分野で利用されている代表的なプログラミング言語です。堅牢で安定したシステム構築に向いていることから、大規模案件でも多く採用されており、エンジニアの需要も高い傾向にあります。
「Javaエンジニア案件の調査レポート」によると、フリーランスのJavaエンジニアの平均年収は約840万円とされています。これは上で紹介したフリーランスSEの平均である約852万円と同程度の年収です。
案件比率は8.2%で、案件数ランキングでは6位ということもあり、他の言語と比べても安定した需要があることが分かります。特にエンタープライズ領域や金融、官公庁系のシステムでは依然としてJavaが多く採用されており、長期的な案件に携わるチャンスも豊富です。
C#
C#は、マイクロソフトが開発したオブジェクト指向型のプログラミング言語で、Windowsアプリケーションやゲーム開発、業務系システムなど、さまざまな用途で利用されています。特に.NETフレームワークとの親和性が高く、企業内の基幹システムや業務支援ツールの構築に多く採用されています。
「C#エンジニアの調査レポート」によると、フリーランスのC#エンジニアの平均年収は約903万円とされています。これは、フリーランスSE全体の平均年収(約852万円)を上回っており、高単価な案件が比較的多いことがうかがえます。
案件比率は4.6%で、案件数ランキング8位となっており、Javaなどと比べると案件数はやや少なめですが、専門性の高い案件が多いため高単価を狙いやすい傾向があります。特に、金融・医療・製造業などの業務システムにおいてはC#が長年利用されており、継続性のあるプロジェクトに参画できる可能性も高いといえるでしょう。
Python
Pythonは、AIや機械学習、データ分析、Webアプリケーション開発など、先端技術分野を中心に幅広く利用されているプログラミング言語です。シンプルで読みやすい文法や豊富なライブラリ群により、開発効率の高さでも優れています。
「Pythonエンジニア案件の調査レポート」によると、Pythonエンジニアの平均年収は約896万円とされており、フリーランスSE全体の平均を上回る水準です。特にAI・機械学習・データサイエンスといった専門性の高い分野では、スキルがあるエンジニアに対して高単価案件が多数存在します。
案件比率は11.4%でランキング5位であり、多くの現場でニーズがあることがわかります。特に近年では、企業のDX推進に伴い、データ分析や自動化ニーズが高まっていることから、Pythonの需要は今後もさらに拡大すると考えられるでしょう。
JavaScript
JavaScriptは、WebサイトやWebアプリケーションのフロントエンド開発に欠かせない言語であり、現在ではNode.jsなどの登場によりバックエンド開発にも広く利用されています。動的でインタラクティブなUIの実装に強みがあり、モダンなWeb開発には欠かせない存在です。
「JavaScriptエンジニア案件の調査レポート」によると、JavaScriptエンジニアの平均年収は約825万円とされています。これは、フリーランスSE全体の平均年収(約852万円)に近い水準であり、一定の安定性と需要があることを示しています。
案件比率は13.3%でランキング4位と高く、フロントエンドを中心に多数の案件が存在するため、継続的に案件を獲得しやすい言語といえます。ReactやVue.jsなどのフレームワークと併用するスキルを持っていれば、さらに高単価案件を狙うことも可能です。Web系開発を主軸に活動するフリーランスSEにとって、JavaScriptは非常に実用性の高い選択肢といえるでしょう。
Ruby
Rubyは、日本人エンジニアによって開発されたオブジェクト指向型のプログラミング言語で、特にWebアプリケーション開発に強みを持ちます。代表的なフレームワーク「Ruby on Rails」との組み合わせにより、効率的で迅速な開発が可能となることから、スタートアップ企業を中心に幅広く採用されています。
「Rubyエンジニア案件の調査レポート」によると、Rubyエンジニアの平均年収は約900万円とされており、フリーランスSE全体の平均(約852万円)を大きく上回る水準です。
案件比率は5.6%ですが、Webサービスや自社開発企業からのニーズが根強く、実務経験や開発スピードに長けたエンジニアであれば、高単価案件を安定的に獲得できる可能性があります。特にスタートアップ支援やベンチャー企業との直契約を目指すフリーランスSEにとって、Rubyは魅力的な選択肢のひとつといえるでしょう。
PHP
PHPは、WebサイトやWebアプリケーションのサーバーサイド開発に広く使われているスクリプト言語です。WordPressやEC-CUBEなどのCMSやECサイトの構築にも利用されており、中小企業から大手企業まで幅広く導入されています。
「PHPエンジニア案件の調査レポート」によると、PHPエンジニアの平均年収は約823万円とされています。これはフリーランスSE全体の平均年収(約852万円)に近い水準であり、一定の需要と安定した案件供給があることがわかります。案件比率は14.1%でランキング3位となっており、多くの案件が流通しているからこそ単価が下がっているとも考えられます。
中小規模のWebシステム開発や保守運用の分野では継続案件が多く、安定した収入を得たいフリーランスSEにとっては、有力な選択肢のひとつです。習得のしやすさや案件の豊富さから、初めてフリーランスに挑戦するエンジニアにも適した言語といえるでしょう。
出典:SOKUDAN Magazine(https://magazine.sokudan.work)
フリーランスSEの案件単価の相場感
弊社が運営するフリーランスエンジニア向けのサイト「ベスキャリIT」のSE案件のデータをもとに、フリーランスSEの案件単価の相場観を紹介します。
これを見ると、フリーランスSE案件の単価の最低ラインとしては月額40〜50万円程度となっています。これらは主に保守・運用系の案件や、経験が浅くても対応できる補助的なポジションが中心です。一方で、一般的な開発案件では70〜100万円程度が相場となっており、一定の実務経験があり、要件定義や基本設計に関われるレベルであればこのレンジに入ることが多いです。
さらに、専門性の高い領域では単価は大きく上がります。たとえばSAPのFI/COやS/4HANAといった業務システムに関する設計・導入の経験があると、月額100万円を超える案件が豊富に見られ、なかには240万円近い報酬が提示されている案件も存在します。
また、PythonやSQLなどを活用したAI・機械学習関連のプロジェクトでは、統計知識やデータ分析力が求められる分、高単価になりやすく、月額120〜170万円といった募集もあります。そのほか、英語スキルが求められるグローバルプロジェクトや、PMOなど上流工程を担う役割の案件では、さらに高い単価が提示される傾向があることがわかります。
フリーランスSEの年収に関する注意点
フリーランスSEの年収について解説してきましたが、年収について知っておいたほうがよい注意点があります。
収入が不安定になる可能性がある
フリーランスSEとして働く場合、収入が不安定になる可能性がある点には注意が必要です。
フリーランスは会社員と異なり、毎月決まった給与が支払われるわけではなく、案件の獲得状況や契約条件によって収入が変動します。そして、プロジェクトが終了した後、次の案件がすぐに見つからない場合には無収入の期間が生じることもあります。また、短期案件やスポット業務が中心になると、安定的な収益を得るのが難しくなる可能性もあります。
特に未経験や独立直後の時期は営業力も不足していることが多く、安定して案件を獲得できないことがあるということに注意しましょう。
税金や保険料は自己管理が必要
フリーランスSEとして働くためには、税金や保険料を自分で管理する必要があります。
会社員と異なり、フリーランスは所得税や住民税、健康保険、年金といった税金や社会保険料をすべて自己負担・自己申告で行わなければなりません。年末調整がないため、確定申告によって正確に所得を計算し、納税の手続きを行う責任が発生します。さらに、保険料の金額も会社員時代より高くなるケースが多いため、想定外の支出につながる可能性もあります。
ただ、税理士に相談したり、青色申告を活用して控除を適切に受けることで、税負担を軽減することは可能です。また、フリーランス向けの保険や共済制度を活用することで、社会保障面の不安も一定程度カバーできるので検討しましょう。
確定申告が必要
フリーランスSEとして働くためには、毎年自分で確定申告を行う必要があります。
フリーランスは会社員と異なり、源泉徴収や年末調整といった仕組みがないため、収入や経費を自ら管理し、税額を計算して税務署に申告・納税を行わなければなりません。正確な確定申告を怠ると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが発生する可能性もあり、税務対応の重要性は高いといえます。
これらは専門知識が必要なうえ、日々の業務と並行して行うことになるため、時間的・精神的な負担は決して軽くありません。特に確定申告の時期は繁忙期と重なることも多く、申告準備が遅れると焦って誤った申告をしてしまうリスクもあります。そのため、会計ソフトを導入したり、税理士に相談するなどして、早めに準備する必要があることを覚えておきましょう。
ライフイベントによって働けない期間も想定する
フリーランスSEとして働く場合、ライフイベントによって一時的に働けなくなるリスクがあることを想定しておく必要があります。
フリーランスは会社員のような有給休暇や傷病手当などの保障制度がないため、病気やケガ、出産、介護といったライフイベントにより働けなくなると、その間の収入がゼロになってしまうリスクがあります。こうした状況に備えた収入設計や資金管理が求められます。
フリーランスのSEは、プロジェクト単位で仕事を請け負うことが多く、納期や成果物の提出が求められます。そのため、突然働けなくなると、クライアントとの信頼関係にも影響し、仕事を失うリスクがあります。加えて、一定期間働けないだけでも、生活に支障をきたす可能性があります。こうした事態に備えるためにも、収入が途絶えたときに困らないよう、生活費の数ヶ月分をあらかじめ貯金しておくことが大切です。
フリーランスのSEが年収を上げるための方法
フリーランスSEとして年収を高めていくためには、以下の方法などを検討しておくとよいでしょう。
フリーランスエージェントを利用
フリーランスエンジニアが年収を上げるためには、フリーランスエージェントの利用が効果的です。
フリーランスエージェントを活用することで、自分のスキルや希望条件に合った高単価案件に出会える可能性が高まります。エージェントは多数の企業とのネットワークを持っており、個人ではアクセスしにくい大手企業や優良案件を紹介してもらえるケースも少なくありません。
また、契約内容の交渉や請求書のやり取りといった煩雑な業務も代行してくれることもあり、営業や事務にかける時間を削減し、より本業に集中することが可能になるでしょう。
スキルアップと技術トレンドのキャッチアップ
フリーランスSEが年収を上げるためには、スキルアップと技術トレンドのキャッチアップが重要です。
IT業界は技術革新のスピードが早く、新しい言語やフレームワーク、ツールが次々と登場しています。そのため、時代遅れのスキルしか持っていないと、高単価の案件を獲得することが難しくなります。常に自分のスキルを更新し、最新技術に対応できることが、高収入のフリーランスSEであり続けるためには大事です。
AWSやPython、TypeScriptなど、近年ニーズが高まっているスキルを習得しておくことで、単価の高い新規案件にも挑戦しやすくなりますし、トレンド技術に詳しいことはクライアントからの信頼にもつながるでしょう。
マネジメントスキルを身につける
フリーランスのSEが年収を上げるためには、マネジメントスキルを身につけるのも有効な手段です。
フリーランスのSEにとって、単なる作業者ではなくプロジェクト全体を見渡せる存在になることが、単価アップや高収入案件の獲得につながります。特に上流工程に関わる仕事やクライアントとの折衝、チームの進行管理などに対応できるとクライアントからの信頼を得やすく、継続案件や高報酬の受注が可能になるでしょう。
現在のIT業界では技術とマネジメントの両輪が求められることが多く、マネジメントスキルがあることでフリーランスとしての競争力が高まります。
資格を取得
フリーランスのSEが年収を上げるためには、資格を取得するのもよいでしょう。
資格はスキルの客観的な証明となり、クライアントに対する信頼性を高めます。特にフリーランスの場合、職務経歴書やポートフォリオだけでは実力を判断しづらいこともありますが、国家資格やベンダー認定資格などがあることで、提案時の説得力が大きく向上します。また、特定の資格を持っていることで応募可能になる高単価案件も多く存在します。
例えば、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」などの国家資格、「AWS認定」や「Cisco CCNA」などのベンダー資格は、スキルを可視化できる資格です。自身の強みや今後目指したいキャリアパスに合った資格の取得を検討してみてください。
継続案件・長期契約を増やす
フリーランスのSEが年収を上げるためには、継続案件・長期契約を増やすことが重要です。
長期的に安定した収入を確保できることで、案件探しの手間や空白期間による収入の減少を防げます。また、短期案件を繰り返すと、契約終了ごとに新たな営業活動が必要となり、工数がかかるうえに単価交渉も都度発生します。一方、長期契約を確保していれば、収入の見通しが立ちやすく、単価アップや継続契約による信頼関係の構築にもつながります。
継続案件を得るには高い品質の納品や円滑なコミュニケーションが求められますが、それができれば営業活動の負担も減り、安定収入につながるでしょう。
ポートフォリオと実績を充実させる
フリーランスのSEが年収を上げるためには、ポートフォリオと実績を充実させることも大事です。
ポートフォリオや実績は、自身のスキルや成果を可視化するものであり、クライアントに対して信頼と安心感を与える要素になります。特にフリーランスは、初対面の相手に自分を売り込む必要があるため、実績ベースのポートフォリオがあるかどうかで、受注率や単価交渉力が変わる可能性があります。
案件実績が少ない場合でもポートフォリオに掲載することで、クライアントに与える印象を高めることが可能です。GitHubでの活動や技術ブログの執筆などを通じてアウトプットを蓄積しましょう。
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フリーランスSEは、スキルや働き方次第で正社員以上の高年収を目指せる魅力的な働き方です。ただし、収入の不安定さや案件の獲得、クライアントとの年収交渉などはフリーランスにとって大きな負担になりますし、こうした業務に慣れていないと営業に時間を取られてしまい、なかなか本業に集中できないかもしれません。
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また、各エンジニアに専任アドバイザーが付き、スキルやキャリアの希望に基づいたマッチングを丁寧に行います。希望に合わない案件を無理に勧められることもなく、満足度の高いマッチングが実現します。さらに、面談や商談の調整、契約内容の確認、トラブル発生時のサポートなども手厚く対応するので安心です。ぜひ一度ベスキャリITに相談してみてください。
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