「SAPのフリーランスって実際どうなの?」「会社員から独立してやっていけるのか不安」「SAPのフリーランスの案件や収入事情を知りたい」と思っている人も多いのではないでしょうか。
SAPのフリーランスとして働くには、スキルや経験に加えて、案件獲得の方法や単価相場、働き方の違いなど、事前に知っておいたほうがよいポイントがあります。これらを把握しておかないと、フリーランス転身後に後悔する可能性があるので注意が必要です。
そこでこの記事では、SAPフリーランスのメリット・デメリットから収入事情や単価相場、案件の探し方、必要なスキルまで詳しく解説していきます。
目次
SAPフリーランスとは?
まず、SAPのフリーランスの意味や背景について解説しておきます。
SAPフリーランスの基本概要
SAPとは、ドイツのSAP社が開発・提供するERP(基幹業務システム)で、財務会計や人事、在庫管理など、企業の業務を統合的に管理するためのソフトウェアです。多くの大手企業が導入しており、その専門知識を持つ人材は重宝されています。
SAPのフリーランスとは、企業に所属せず、個人でSAP関連のプロジェクトに参画する専門職のことを指します。具体的には、SAPの各モジュール(FI、CO、MM、SD、ABAPなど)に精通し、企業のシステム導入や運用・保守、カスタマイズ、トラブルシューティングなどをサポートする役割を担います。
企業側は、SAPの導入・運用にあたって即戦力となる人材を必要としており、豊富な経験とスキルを持つSAPフリーランスの需要は大きいといえます。
SAPフリーランスが求められる背景
SAPフリーランスが注目されているのは、なぜなのでしょうか。その背景には、日本国内におけるSAP製品の広範な導入と、今後の大規模なバージョンアップ需要が関係しています。
現在、SAPは多くの大企業でERPソリューションとして採用されていますが、既存のSAP ERPは2027年に標準サポートが終了する予定です。いわゆる「SAPの2027年問題」と呼ばれるこの状況により、多くの企業が次世代製品であるSAP S/4HANAへの移行を急ぐ必要があります。
こちらの記事でも指摘されているように、このような需要の高まりがあるにも関わらず、導入支援を担うSAPコンサルタントの人手不足が深刻化しており、即戦力として対応できるSAPフリーランスへの需要が急速に高まっているのです。
『フリーランスエンジニアとは?職種やリスク、仕事獲得方法などを解説』
SAPフリーランスのメリット・デメリット
では、SAPのフリーランスになることにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
自由な働き方ができる
SAPのフリーランスとして働くことで、自由な働き方を実現することができます。
フリーランスは会社に雇用されずに業務委託契約で働くため、働く場所や時間を自分で選ぶことが可能です。近年はクラウドベースのSAP S/4HANAの導入やテレワーク環境の整備が進んだことで、遠隔地からでも十分に業務が遂行できる案件が増えており、フルリモートや時短勤務といった柔軟なスタイルで働ける環境が整いつつあります。
このような働き方は、プライベートとの両立や育児・介護などのライフイベントとの調整がしやすいでしょう。
収入アップ
SAPフリーランスとして働くことで、収入アップを目指すことができます。
SAPエンジニアは専門性が高く、企業の基幹業務を支えるシステムに携わるため、報酬水準がもともと高い傾向にあります。特にフリーランスとして働く場合は、会社員と異なり自身のスキルや経験に応じて単価交渉ができるため、より高収入を得ることが可能です。また、複数の案件を掛け持ちすることで、収入をさらに増やすこともできるでしょう。
これはSAPのみに限ったデータではありませんが、フリーランスエンジニアになって収入が上がったかという質問に対して、59.5%の人が「上がった」と回答したという調査もあります。
SAPのフリーランスは高単価案件に参画しやすいため、会社員時代よりも収入アップを実現できる可能性が高いでしょう。
社会的信用や事務作業、将来の保障
SAPフリーランスのデメリットとしては、社会的信用の低下や事務作業の負担、将来の保障面での不安があります。
フリーランスは企業に属していないため、住宅ローンやクレジットカードの審査で不利になることがあり、社会的信用が会社員と比べて低く見られる傾向があります。また、確定申告や請求書発行などの事務作業を自分で行う必要があるうえ、健康保険や年金といった将来の生活保障も自己責任で準備する必要があります。
このように、SAPフリーランスは自由度が高い反面、社会的信用や事務処理、将来の保障といった面でのリスクをしっかりと理解しておくことが重要です。
SAPフリーランスの収入事情と単価相場
では、SAPのフリーランスはどれくらいの収入を稼ぐことができるのでしょうか。収入事情と単価相場を解説します。
SAPフリーランスエンジニアは、他のITエンジニアと比較しても高い単価で契約される傾向があります。2022年および2024年の調査によると、言語・フレームワーク別ランキングでSAPは平均月単価104万円とトップを記録しています。現在でもその水準を維持、もしくはそれ以上の高単価を実現しているケースも少なくありません。
また、案件の市況感の調査の「職種別平均単価(円/月)」でも、SAPエンジニアはもっとも高くなっており、140.8万円となっています。このように、SAPの2027年問題を背景に、S/4HANAへの移行需要が急増しており、それに対応できる人材へのニーズが高まっていることが伺えます。
このような市場背景を踏まえると、SAPフリーランスとしてのキャリアは魅力的な選択肢と言えるのではないでしょうか。
出典:テクフリ:https://freelance.techcareer.jp/
SAPフリーランスに求められるスキルと条件
では、SAPのフリーランスとして活躍し続けるために、SAPのフリーランスに求められるスキルや条件とは何なのでしょうか。
基本的なSAPのスキル、知識
SAPのフリーランスとして活躍するには、SAPシステムに関する幅広い知識と実務スキルが求められます。SAPは企業の業務全体を統合的に管理するERPシステムであり、業務プロセスの理解、設定やカスタマイズの経験、システム導入・運用に関する知見が必要です。ユーザーとの要件定義やテスト支援、マニュアル作成、教育対応など、多様な工程に対応できる力も重要です。
また、技術面ではSAP独自の開発言語「ABAP」の理解や、S/4HANAやSAP Fioriといった新しい技術要素への対応力が求められる場面も増えています。財務や調達、販売などの知識を持ち合わせていれば、より高い価値を提供することができるでしょう。
このように、SAPの構造的な理解と実務的な運用スキルを兼ね備えることで、継続的な案件の獲得や顧客からの信頼構築ができるでしょう。
モジュールごとの専門スキル
SAPフリーランスとして高い価値を提供するには、モジュールごとの専門スキルを身につけることが重要です。
SAPはモジュール単位で業務領域が分かれており、それぞれの分野に応じた業務知識とシステムスキルが求められます。例えば、財務領域では会計処理や税務、在庫管理では物流や購買プロセスなど、業務に即した知識がなければ適切な提案や設定はできません。FI(財務会計)モジュールを担当するコンサルタントであれば、貸借対照表や損益計算書の構造を理解し、企業の決算業務に対応できるスキルが必要です。
このように、モジュール単位での深い専門スキルを持つことは、クライアントの課題に対して的確かつ実務的な解決策を提示するための大きな強みとなります。
最新技術のノウハウ
SAPのフリーランスとして価値を高めるためには、最新技術に関するノウハウを身につけることも求められます。
企業のSAP導入・運用は、S/4HANAへの移行やクラウド化の進展によって大きく変化しています。加えて、AIの活用やデータ分析、自動テストといった新たな技術領域への対応力も今や不可欠となりつつあります。また、経営データの活用やAIとの連携を強化したい企業に対しては、SAP Analytics Cloudや機械学習を活用するスキルも必要になります。
こうした最新技術に精通したフリーランス人材は、単なる運用要員ではなく、業務の効率化や経営判断を支える“技術的パートナー”として、企業から高く評価されるでしょう。
経験と実績
SAPフリーランスとして高い評価を得るためには、豊富な経験と確かな実績が重要です。
企業がSAPフリーランスに求めるのは、即戦力としてプロジェクトを成功に導くスキルと信頼性です。そのため、過去にどのようなプロジェクトに関わってきたか、どのような成果を出したのかといった実績は、クライアントに安心感を与え、案件獲得において大きな武器となります。経験が豊富であれば、課題解決力や柔軟な対応力も評価されやすくなるでしょう。
反対に、知識はあっても実務経験が少ない場合、クライアントから「実際にプロジェクトで使えるのか」という不安を抱かれ、採用を見送られる可能性があります。しっかりと経験と実績を積み重ねてから、フリーランスとしての活動を始めるようにしましょう。
コミュニケーション能力
SAPフリーランスとして活躍するためには、技術力だけでなく高いコミュニケーション能力も求められます。
SAPの導入や運用プロジェクトでは、クライアントの業務部門や他の技術者、時には経営層とも円滑に連携を取る必要があります。クライアントの要望を正確に把握し、最適な提案や改善策を伝える力がなければ、プロジェクトの成果に大きく影響してしまいます。また、フリーランスは社内にサポート体制がない分、自ら主体的に関係構築を行うことが欠かせません。
双方向のコミュニケーションを意識して進めることで、信頼関係を築きやすくなり、継続的な案件受注にもつながりやすくなるでしょう。SAPフリーランスとして成功するためには、技術力だけでなく高いコミュニケーション能力を身につけるのが重要です。
マネジメント能力
SAPフリーランスとして活躍するには、マネジメント能力を磨くことも重要です。
SAPプロジェクトは、複数の部門や関係者が関わる大規模な業務であり、スケジュール管理、タスクの優先順位付け、関係者との調整など、マネジメントスキルが常に求められます。フリーランスであっても、プロジェクトリーダーやPMの補佐といった役割を任されることも多く、限られた期間の中で成果を最大化するためには、計画力と統率力が欠かせません。
的確なタスクの割り振りやチームメンバーへの働きかけができるマネジメント力があれば、プロジェクトの進行は円滑になり、クライアントからの評価も高まります。SAPフリーランスとして継続的に信頼を得るためにも、マネジメント能力の向上にしっかりと取り組んでいきましょう。
SAPフリーランスが案件を得る方法
SAPフリーランスは案件を得ていかなくてはなりませんが、どのような方法があるのでしょうか。
フリーランス向けエージェント
SAPフリーランスが案件を獲得するうえで、フリーランス向けエージェントを活用するのは有効な手段です。
エージェントは、企業とフリーランスの橋渡しを行い、スキルや希望条件に合った案件を紹介してくれるサービスです。コンサルタント経験者向けや特定モジュールの案件を多く保有しているケースもあります。エージェントを利用することで、個人ではなかなかアプローチできない大手企業のプロジェクトや、継続性のある案件に参画できる可能性が広がります。
また、契約交渉や単価設定、トラブル時のサポートなども代行してくれるため、営業や事務手続きに不安がある方にとっても安心です。SAPフリーランスとして安定的に案件を得ていくには、フリーランスエージェントの活用を積極的に検討するのがおすすめです。
クラウドソーシング・求人サイト
SAPフリーランスが案件を探す手段として、クラウドソーシングや求人サイトの活用も有効です。
クラウドソーシングサービスやIT系の求人サイトには、SAP関連の短期プロジェクトやスポット業務、リモート案件などが掲載されていることがあります。とくに副業案件や小規模な開発・保守作業など、比較的参入しやすい案件も多く、経験を積みたいフェーズのフリーランスにとっては実績作りの場としても活用できます。
ただし、クラウドソーシングや一般的な求人サイトでは、案件の単価が比較的低く設定されている傾向があります。また、SAP案件に精通していないクライアントとのやり取りで齟齬が生じることもあるため、契約前に業務範囲や報酬条件を明確にしておくことが重要です。
人脈や紹介
SAPフリーランスが案件を獲得するうえでは、人脈や紹介を活用するのもよいでしょう。
SAP案件は専門性が高く、信頼できる人材に依頼したいと考える企業が多いため、実績のあるフリーランスには自然と声がかかる傾向があります。過去に一緒に働いたクライアントや同僚、業界内の知り合いからの紹介を通じて、新たな案件に繋がるケースもあるでしょう。
人脈や紹介は単発ではなく継続的な案件獲得に繋がることも多く、安定的なフリーランス活動を支える大きな柱となります。信頼を得るためにも、日頃から丁寧な仕事を心がけ、良好な人間関係を築いていくことが大切です。
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SAPフリーランスは、2027年問題やDX推進に伴い、今後さらに需要が高まると予想されます。SAPフリーランスとして活躍するためには、専門的な技術力や業務知識はもちろん、クライアントとの円滑なコミュニケーション力、プロジェクトを円滑に進めるマネジメント力など、総合的なスキルが求められます。
SAPのフリーランスとして独立した後には、安定的に案件を獲得し、長期的なキャリアを築いていくための支援体制が重要です。フリーランスは営業や契約交渉、単価交渉なども自ら行う必要があるため、信頼できるエージェントの存在が大きな支えとなります。
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