社内SEでも副業ができるのか知りたい、本業を続けながら副収入を得たいけど何から始めればいいか分からない、という人も多いと思います。
近年、政府の副業推進やリモートワークの普及により、社内SEとして働きながら副業を行う人が増えています。しかし、実際に副業を始めるには、就業規則の確認や案件の選び方、収入面、スキルの活かし方など、押さえておくべきポイントがあります。
そこでこの記事では、社内SEが副業で稼ぐことができるのかやどれくらい稼げるのか、副業を行うメリット、副業をするときに必要な知識・スキル、注意点などを紹介します。
目次
社内SEは副業で稼げる?
社内SEは副業で稼ぐことができるのでしょうか。まずは社内SEの副業事情について解説します。
社内SEは人手不足
社内SEの人手不足は、企業のIT活用を進めるうえで深刻な課題となっています。実際、「全国情シス実態調査 2024 集計レポート」によると、情シス部門の約6割が「人材(できる人)が足りない」「人員(人数)が足りない」と回答しており、スキル面・人数面の両方で不足している実態が浮き彫りになっています。
さらに、情シス業務の外部委託に関する実態調査でも、「勤め先の情シス担当者の人数は業務量に対して十分か」という問いに対し、「あまりそう思わない」(29.7%)、「全くそう思わない」(14.4%)という声が寄せられており、業務負担の偏りや対応力不足が常態化していることがうかがえます。
このように、社内SEは慢性的な人手不足に直面しており、現場の負担が大きい状況が続いています。ベテラン層の退職や人材採用の難航も重なり、今後さらに人材確保が課題となるでしょう。
出典:https://www.buffalo.jp/biz/
外部に依頼している企業が多い
社内SEが副業で稼げる理由のひとつは、情シス業務を外部に依頼する企業が増えているためです。
近年、企業のIT活用が進む一方で、情シス部門の人手不足が深刻化しており、社内リソースだけでは業務をカバーしきれない企業が増えています。その結果、情シス業務の一部または全部を外部に委託する動きが加速しており、外部人材へのニーズが高まっているのです。
たとえば上の実態調査でも、「情シス業務を外部委託している」と回答した企業は70%近くにのぼり、そのうち24.4%が「すべて外部委託している」、45.9%が「一部を外部委託している」と答えています。このように情シス業務を外部に依頼する企業が多いため、社内SEが副業で収入を得るチャンスは拡大しているのです。
コスト削減のニーズが高い
社内SE業務の外部委託が進む背景には、企業側のコスト削減ニーズも影響しています。正社員として社内SEを採用・維持するには、人件費や採用コスト、教育コストなど多くの固定費がかかります。特に専門スキルを持った社内SEを確保するには、報酬水準も高くなる傾向があるため、企業にとって大きな負担となります。
上の調査でも、「IT人材の採用コストを削減したいから」という理由で外部委託を選んでいる企業が42.3%にのぼっています。フリーランスや副業のエンジニアにスポットで依頼をすれば、必要なときだけ業務を任せることができ、継続的な人件費を抑えることが可能です。
このように、企業のコスト削減ニーズの高まりによって、社内SEが副業として情シス業務を受託する機会は増えており、柔軟かつ収益性の高い働き方が実現しやすくなっています。
副業の活用が進んでいる
社内SEが副業で稼ぎやすい理由のひとつに、社会全体で副業の活用が進んでいるという背景があります。近年、日本政府は「働き方改革」の一環として副業・兼業を後押ししており、企業に対しても副業容認の方針を促進しています。
実際に、企業のIT副業人材の活用実態調査によると、企業の40.4%がIT副業人材の活用していることがわかっています。また、「IT副業人材の活用に関する実態調査」によると、IT副業人材を活用している企業の約9割が「デジタル化・DX推進において有効だった」と回答しており、高い評価を得ていることがわかります。
このように、社会全体で副業への理解とニーズが高まるなかで、社内SEとしてのスキルや経験を活かして外部業務に関わることは、時代の流れに合った合理的な働き方だといえるでしょう。
社内SEの副業のメリット
社内SEが副業を行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
収入アップ
社内SEが副業を行う大きなメリットは、本業に加えて収入を増やせることです。
企業の正社員として働く社内SEの給与は安定している一方で、昇給幅が小さい、成果が反映されにくいなどの課題もあります。そのため、将来の資金計画や生活の余裕を考えると、副業による収入の上乗せは大きな意味を持ちます。
副業収入を生活費の補填に充てることはもちろん、貯金や投資、自己投資(資格取得・スキルアップ)に活かすことで、将来の選択肢を広げることにもつながります。副業によって得られる収入は金銭的な余裕だけでなく、精神的な安定やキャリア形成にも好影響を与えるでしょう。
スキルアップ
副業を通じて得られるメリットのひとつは、新しい経験やスキルの習得です。
エンジニアを対象とした副業に関する調査によると、副業をしてよかったことの第一位は「新しい経験やスキルの習得」であり、多くの人が副業を通して本業では得られない知識や技術を身につけていることがわかります。
たとえば、本業では関われない最新のツールやクラウドサービスなどの導入に携わることで、実務に直結するスキルが得られます。さらには、プロジェクト管理やクライアント対応など、対人スキルや問題解決能力が飛躍的に向上するケースも多いでしょう。
副業は収入だけでなく学びの場としても有効であり、社内SEにとってもキャリア形成に大いにメリットがある働き方だといえるでしょう。
キャリアの選択肢を増やせる
副業は、単なる収入アップの手段だけでなく、将来のキャリアパスを広げるための重要なきっかけになります。副業を通じて企業の業務に関わることで、その企業の風土やプロジェクト内容を実務ベースで把握でき、企業側や自分自身のミスマッチを減らす効果も期待できます。これにより、転職前に職場との相性を確かめる機会を得ることが可能になるでしょう。
実際、上の副業に関する調査では、「転職候補先企業に副業で参画することに関心があるエンジニア」が全体の71.3%に達しています。これは、副業が「転職の入り口」として認識されている証拠といえるでしょう。
本業の社内SEとしての経験に加え、副業で得た実績があれば、自分に合った企業・働き方を見極めやすくなり、将来的な転職や独立など、新しいキャリア形成にもプラスに働くでしょう。
社内SEの副業案件の報酬相場
社内SEの副業ではどれくらいの報酬が得られるのでしょうか。これは社内SE以外のエンジニアも含みますが、「副業に関する実態調査」によれば、IT人材の副業では月額報酬が「5万円~10万円未満」が最も多く25.7%、次いで「5万円未満」(19.6%)、「10万円以上15万円未満」(17.3%)という結果となっています。プロダクトマネージャーやインフラ構築などのポジションでは月30万円以上稼ぐ人も一定数存在し、高単価案件のチャンスがあることも示されています。
また、「エンジニア副業実態調査」では、時間単価の目安は4,000~5,000円程度とされています。開発系やインフラ構築など専門性が高い業務ほど単価は上がり、7,000円以上の案件も存在します。
業務内容やスキルレベルによっても単価は大きく変動します。運用・ヘルプデスク寄りのサポート業務は比較的低単価になりやすい一方、設計・マイグレーション支援、クラウド基盤構築、セキュリティ設計など高度領域では単価が跳ね上がる傾向があります。
社内SEが副業をするときに必要な知識・スキル
社内SEが副業をしようと考えた場合には、どのような知識やスキルが必要なのでしょうか。
システム開発スキル
副業で安定的に案件を獲得するには、システム開発に関する基本的なスキルが不可欠です。
中小企業やスタートアップの副業案件では、業務改善のための小規模なWebシステムや業務ツールの開発ニーズが多く、フロントエンド・バックエンドの両方の知識が求められることもあります。社内SEとしての実務経験があっても、開発自体をベンダー任せにしていた人は、コードを書く実務経験が不足している場合もあるため、基礎から見直すことが重要です。
システム開発スキルは、社内SEが副業を成功させるうえでの大きな武器となり、収入や案件の幅を広げるための基盤となります。
セキュリティの知識
副業を行う社内SEにとって、セキュリティに関する知識や設計スキルは、信頼される人材になるために欠かせない要素です。
社内SEの副業では、単なる運用対応にとどまらずセキュリティ設計や対策の提案といった上流工程まで任されるケースがあります。特に中小企業やスタートアップでは、専門のセキュリティ担当者がいないことも多く、副業エンジニアに包括的な対応が期待されることがあります。
たとえば、「安全なアカウント管理体制の設計」「ログの取得・監視方法の構築」「脆弱性診断に基づいた対応策の提案」など、ただ設定作業をするだけでなく、セキュリティ全体の方針設計や施策レベルでの関与が求められる場面も珍しくありません。こうした場面で、基本的な対策に加えて、方針や設計レベルの知識があると、他のエンジニアとの差別化につながるでしょう。
コミュニケーション力
副業を行う社内SEには、技術力だけでなくコミュニケーション力が求められます。
副業ではクライアントとのやりとりを自分自身で進める場面が多く、業務要件のヒアリングや成果の説明、スケジュール調整などを円滑に行う能力が必要になるからです。オンラインやチャットベースでやりとりする機会も多いため、対面よりも一層明確な伝達力が問われます。クライアントが非エンジニアの場合、専門用語をかみ砕いて説明できるか、業務の背景に寄り添って提案できるかどうかなども案件継続のカギとなります。
このように、社内SEが副業で成果を上げるためには、クライアントとの信頼関係を築けるコミュニケーション力が重要です。
社内SEが副業をするときの注意点
社内SEが副業をする際には、注意すべきポイントがいくつか存在します。
リモートの案件を選ぶ
副業をする社内SEは、できるだけリモートで対応できる案件を選ぶのが理想的です。
本業の勤務時間外に副業を行う場合、移動時間があったり、現地対応が必要な業務だと時間的なロスが発生しやすく、体力的な負担も大きくなります。特に社内ネットワークの構築や端末の整備といった作業では、現場に足を運ばなければならないことも多く、本業とのスケジュール調整が難しくなる原因にもなります。
チャットやビデオ会議、リモートアクセスなどで完結する業務であれば、時間の融通が利きやすく、生活リズムを崩さずに副業に取り組むことができます。このように、本業との両立をスムーズにするためにも、副業案件はなるべくリモートで完結できるものを選びましょう。
会社の規定を確認する
副業を始める前に、必ず勤務先の就業規則を確認することが必要です。
副業が会社の規定に反している場合、後々トラブルに発展したり、最悪の場合は懲戒処分の対象になる可能性があります。副業が一般化しつつあるとはいえ、会社によっては明確に禁止していたり、事前申請や許可が必要なケースもあります。
副業を安心して続けるためには、会社のルールを正しく理解し、必要であれば正式な手続きを踏んだうえで始めることが重要です。
トラブル対応の可能性
社内SEが副業をする際は、突発的なトラブル対応が発生する可能性も想定しておくことが大切です。
副業先でトラブルが発生した場合、対応が求められる時間帯によっては、本業との両立が難しくなる可能性があります。特に夜間や休日に急な呼び出しがあるような案件を請け負ってしまうと、本業の就業時間や生活リズムに影響が出ることもあります。
障害対応やシステム不具合の修正など、即時の対応を求められる業務においては、契約や働き方に時間的な融通が効くかどうかを確認しておきましょう。また、複数案件を並行して進めている場合は、納期や対応の優先順位が重なり、結果的に過重労働や精神的負担の原因になりかねませんので注意しましょう。
社内SEの副業案件を探す方法
社内SEが副業案件を始めようと案件を探す場合には、どのような方法を取ればよいでしょうか。ここでは、社内SEが副業案件を探す際に活用できる代表的な方法について解説していきます。
エージェントに依頼する
副業案件を効率よく探す方法として、フリーランス・副業エンジニア向けのエージェントを活用するのがおすすめです。エージェントは、企業と副業希望者のマッチングを行っており、希望のスキルや働き方に合った案件を紹介してくれます。
エージェントサービスでは、週1〜2日から稼働できる業務委託案件や、リモートワーク可能な案件、短期のスポット案件など、社内SEが本業と両立しやすい条件の案件を多く取り扱っています。スキルや経験をヒアリングしたうえでのマッチングを行ってくれるので、ミスマッチが起きにくく、自分に合った案件に出会える可能性が高まります。
自力での案件探しに不安がある方や、なるべく効率的に副業を始めたいと考えている方にとって有力な選択肢でしょう。
求人サイトで探す
副業案件を見つける方法として、求人サイトを活用するのも有効な手段のひとつです。
現在では、副業や業務委託を歓迎する求人を掲載しているサイトも多く、社内SE向けの案件も見つけやすくなっています。正社員向けの求人サイトに加え、副業・フリーランスに特化した求人サービスや、アルバイト・単発業務を紹介するサイトなどでも、「副業可」や「リモート可」といった条件で案件を検索できます。
このように、求人サイトをうまく活用すれば、自分のスキルや稼働条件に合った案件を効率よく見つけることができ、初めての副業にも安心してチャレンジしやすくなるでしょう。
知人にアプローチする
社内SEが副業案件を探すうえで、知人や元同僚など人脈を活用するのも効果的な方法です。
実際に、副業を行っているIT人材500名を対象にした調査によると、「副業人材の募集経路」としてもっとも多かったのは「知人からの紹介」であるという結果が出ています。これは、信頼できる人物からの紹介であれば、依頼する企業側も安心して仕事を任せやすいからでしょう。
前職の取引先や同僚、現在の業務で関わるパートナー企業などに声をかけておけば、人手を探している企業とつながるチャンスが生まれるかもしれません。SNSやビジネス系のコミュニティでも、自分のスキルや稼働可能な時間をアピールしておくことで、声がかかる可能性が広がるでしょう。
社内SEの副業・フリーランス案件ならベスキャリITで
社内SEとして働きながら副業を行うことは、今や特別なことではなくなりつつあります。人手不足や外部委託の増加、企業のコスト削減ニーズ、そして副業を後押しする社会的な流れによって、社内SEが副業で活躍できる環境は整いつつあります。
副業を通じて収入アップはもちろん、スキルの向上やキャリアの選択肢を広げることも可能になります。これから副業を始めたいと考えている社内SEの方は、信頼できるサポート体制があるサービスを活用するのがおすすめです。
「ベスキャリIT」では、業界経験豊富なキャリアアドバイザーが、スキルや希望の働き方に合った副業案件・フリーランス案件の紹介を行っています。案件の選定から面談へのアドバイス、稼働後のフォローまで丁寧にサポートするので安心です。常時10,000件以上の案件を保有しており、週1〜2日から働ける案件やリモート対応可能な業務など、副業として行える案件を多数取り扱っています。ぜひご登録ください。
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