フリーランスエンジニアはどんな働き方をしているのか、本当に自由な働き方ができるのかを知りたいと思っている人も多いと思います。実際にフリーランスとして活動している人たちは、どのような背景を持ち、どんなスタイルで仕事に取り組んでいるのでしょうか。

この記事では、フリーランスエンジニアになった人の背景と、働き方の実態を解説するとともに、フリーランスエンジニアの働き方のメリットを紹介します。働き方の課題についても触れているので、これからフリーランスエンジニアとして独立を検討している方や自分に合った働き方を模索している方はぜひ参考にしてみてください。

フリーランスエンジニアとは?職種やリスク、仕事獲得方法などを解説

フリーランスエンジニアはどんな人?

はじめに、フリーランスエンジニアはどのような属性や経験を持った人なのかを解説します。

属性

フリーランスエンジニアになった人は、どのような属性の人なのでしょうか。

フリーランス白書2023」によると、フリーランスエンジニアのうち82.5%が男性であり、性別に関しては男性が圧倒的多数を占めていることがわかります。

年齢層に目を向けると、「フリーランスITエンジニア動向調査」では、最も多いのが25〜29歳で、これに30~34歳が続いています。比較的若い世代がフリーランスとして活躍している実態がうかがえます。

また、フリーランスとして働いている人が専業か副業かのアンケートを見ると、専業で活動している割合は約63.9%であり、副業の約36.0%よりも多いことがわかります。

出典:https://relance.jp/blog/

前職の経験

フリーランスエンジニアとして働いている人は、前職ではどのような経験を積んでいるのでしょうか。「フリーランスの意識・就業実態調査2024年版」によると、独立前と同じ業務内容で現在も活動しているITエンジニア・開発系の割合は54.4%でした。

エンジニアの業務は多岐にわたりますが、フリーランスとして活躍している多くの人は、前職で培った専門スキルをベースに案件を選んでいるケースが多いことがわかります。これは、前職での実務経験が豊富であるほど、フリーランスとして高単価の案件を獲得しやすく、専門性の高いプロジェクトにも参加しやすいからでしょう。

フリーランスエンジニアとして働いていくためには、特定の分野や言語などでしっかりと経験を積むことが大事だといえます。

転職回数

フリーランスエンジニアになる前の転職回数はどれくらいなのでしょうか。「エンジニア白書2024」によれば、フリーランスエンジニアになるまでの転職回数は以下のようになっています。

転職回数 割合(%)
0回 17%
1~3回未満 51%
3~5回未満 19%
5~8回未満 8%
8回以上 約4%

転職回数が「1〜3回未満」と回答した人の割合がもっとも多く、全体の51%を占めており、次に多いのが「3~5回未満」となっています。複数の会社を経験してからフリーランスになる人が多いということがわかります。これは、エンジニアとしてのスキルや知識を多様な現場で磨き、自分に合った働き方や専門分野を見極めるために転職を重ねるケースが多いからでしょう。

また、1度も転職をせずに独立している人も17%おり、これは長期間同じ職場で専門性を高めた上で、安定したスキルや実績を持ってフリーランスに転身するパターンであると考えられます。

職種

フリーランスエンジニアはどのような職種で働いているのでしょうか。「フリーランスエンジニアの実態調査」では、「ご自身がかかわっているメインの業務・職種を教えてください(複数選択可)」という質問に対して以下のような結果となりました。

職種 割合
フロントエンドエンジニア 11.23%
バックエンドエンジニア 10.93%
フルスタックエンジニア 9.84%
iOSエンジニア 6.26%
Androidエンジニア 5.47%
その他エンジニア 4.87%
QAエンジニア 4.67%
データベースエンジニア 4.47%
データアナリスト 3.48%
データエンジニア 2.88%

フリーランスエンジニアの職種としては、WebサイトやアプリなどのWeb系エンジニアが多いことがわかります。また、データベースエンジニアやデータアナリスト、データエンジニアなどデータを扱う職種も多いようです。

また、使用言語に関しては、上の「フリーランスITエンジニア動向調査」によるとJavaがもっとも多く(約27%)、次いでPHP(約16.7%)、C#・.NET(約7.8%)の順となっています。

出典:Relance

フリーランスエンジニアの働き方

ここからは、フリーランスエンジニアの働き方を解説します。

労働日数・時間

フリーランスエンジニアの労働日数や稼働時間はどうなっているのでしょうか。「フリーランスエンジニアの実態調査」によると、週の平均業務日数と1日の平均作業時間は以下の通りとなっています。

週の平均業務日数 割合
5日 26.5%
3日 21.0%
4日 17.5%
2日 15.7%
1日 8.5%
6日 6.2%
7日 4.5%
1日の平均作業時間 割合
5〜10時間未満 34.9%
3〜5時間未満 33.0%
1〜3時間未満 25.4%
1時間未満 6.6%

これらを見ると、会社員と同じように週に5日働く人がもっとも多いですが、それに次いで週3日や週4日など、比較的短い稼働日数で働いている人も多く見られます。これは、フリーランスならではの働き方の自由度を象徴するデータといえるでしょう。

また、1日の平均作業時間に関しても、「5〜10時間未満」「3〜5時間未満」が中心で、比較的フルタイムに近い働き方をしている人が多い一方、「1〜3時間未満」や「1時間未満」といった短時間稼働の人も一定数存在することがわかります。

案件数

フリーランスエンジニアはどれくらいの案件数を抱えているのでしょうか。「フリーランスエンジニアの実態調査」を見ると、フリーランスエンジニアが1カ月あたりに受けている案件数の分布は次のとおりです。

受けている案件数(月あたり) 割合
2件 29.3%
1件 21.1%
3件 19.3%
5件以上 12.5%
4件 4.9%
案件を探している(未稼働) 12.7%

これを見ると、最も多いのは月に2件の案件を受けているフリーランスエンジニア(29.3%)で、次いで1件(21.1%)、3件(19.3%)という順になっています。多くのフリーランスエンジニアが1〜3件程度の案件を同時に担当していることがわかります。

これは、フルタイムに近い稼働が求められる大規模な案件に集中するケースや、複数の中小案件を並行して進めるスタイルが主流であることを示しています。特に2件を受けている人の割合が最も多いことから、1件にリスクを集中させず、かといって過剰に案件を抱えすぎない、バランス重視の働き方を選んでいる人が多いと考えられるでしょう。

リモート勤務

フリーランスエンジニアはどれくらいがリモート勤務をしているのでしょうか。「フリーランスエンジニアの実態調査」では、リモート勤務の割合は次の通りとなっています。

勤務スタイル 割合
クライアント企業に出社多め・一部リモート 30.72%
基本的にリモートワーク 29.52%
リモートでの業務多め・一部出社 21.07%
基本的にクライアント先に出社 18.69%

このデータを見ると、「クライアント企業に出社多め・一部リモート(30.7%)」と「基本的にリモートワーク(29.5%)」がほぼ同程度の割合を占めており、フリーランスエンジニアの勤務スタイルはリモートと出社のハイブリッド型が主流であることがわかります。

一方で、「基本的にクライアント先に出社(18.7%)」や「出社多め・一部リモート(30.7%)」という回答も一定数存在し、リモートに完全移行していない業務や企業もまだ多いことがうかがえます。

フリーランスエンジニアの働き方は一概にリモート一色ではなく、案件内容やクライアント企業の方針によって柔軟に変化するのが実情です。

働き方への満足度

では、実際にフリーランスエンジニアは、現在の働き方にどの程度満足しているのでしょうか。

フリーランスエンジニアへの転身に関する実態調査」によれば、会社員からITフリーランスに転向した人のうち、82.0%が現在の働き方に「満足している」と回答しています。内訳としては、「とても満足している」が31.0%、「やや満足している」が51.0%と、8割以上が現状を肯定的にとらえていることがうかがえます。

また、フリーランスエンジニアの実態調査の「今後のフリーランスエンジニアとしての働き方は?」という質問に対して、「専業フリーランスのまま働き続けたい」が32.7%、「副業フリーランスのまま働き続けたい」は16.4%、「副業フリーランスから専業フリーランスになることを検討している」は4.7%という回答であり、半数以上がフリーランスとしての働き方に満足を感じていることがわかります。

フリーランスエンジニアという働き方のメリット

フリーランスエンジニアの働き方に満足度が高いことがわかりましたが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、「フリーランスエンジニアの実態調査」「フリーランスエンジニアへの転身に関する実態調査」でメリットとされた項目を紹介します。

時間や場所に縛られない

フリーランスエンジニアの働き方のメリットは、時間や場所に縛られず、自分にとって最も働きやすいスタイルを選べることです。

フリーランスは、企業のような定時出社・退社のルールに縛られることなく、案件ごとに契約を交わして業務を進めます。そのため、1日のスケジュールや作業する場所を自分で決めることができ、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が実現できます。

例えば、子育てや介護などで日中の時間に制約がある人でも、早朝や夜間に仕事の時間を確保することで、家庭と両立しながら働くことが可能です。また、インターネット環境さえ整っていれば、自宅はもちろん、カフェやコワーキングスペース、さらには海外でも働くことができます。

このように、物理的な場所にとらわれない働き方ができるのは、フリーランスエンジニアの大きな魅力です。

仕事量や収入を自分で調整できる

フリーランスエンジニアのメリットのひとつは、仕事量や収入を自分で調整できる点です。会社員と異なり、フリーランスは受ける案件の数や規模、働く時間を自分で決めることができます。そのため、ライフスタイルや目標収入に応じて、無理のない仕事量、働き方を設計することが可能です。

例えば、年間の収入目標をあらかじめ設定しておけば、それを達成するために必要な月間稼働時間や案件単価を計算し、効率よく仕事を組み立てられます。実際に、繁忙期と閑散期を自分でコントロールし、家族との時間や自己研鑽にあてているフリーランスエンジニアも少なくありません。

自分にとって最適な働き方を実現できる柔軟性が、フリーランスを選ぶ理由でもあるでしょう。

人間関係のストレスが少ない

人間関係のストレスが少ないことも、フリーランスエンジニアのメリットとして挙げられます。

フリーランスは、会社員のように毎日同じオフィスで特定のメンバーと顔を合わせる必要がありません。業務は基本的にプロジェクト単位で進められますし、必要なコミュニケーションは業務に関わる範囲に限定されていることが多いため、人間関係によるストレスを抱えにくいといえます。さらに、会社員であれば避けられない職場の人間関係や上下関係、飲み会などの付き合いがないのもメリットといえます。

もちろん、プロジェクトによってはチーム作業が必要になる場合もありますが、その場合でも契約ベースの関係であるため、必要以上に人間関係に気を使わずに済むケースがほとんどです。

このように、フリーランスエンジニアは職場の人間関係に悩まされにくく、自分にとって快適でストレスの少ない働き方を実現できるのが大きな利点です。

時間の有効活用ができる

フリーランスエンジニアとして働くことで、時間をより有効に活用できるようになります。

会社員とは異なり、フリーランスエンジニアは通勤の必要がなく、業務時間や働く場所も自分で自由に設定できます。そのため、無駄な移動時間や会議などを最小限に抑え、自分の裁量で時間を配分できるのです。

子育てや介護と両立しているフリーランスエンジニアであれば、日中は家庭の時間を大切にし、子どもが寝たあとや早朝に作業時間を確保するなど、時間を最大限に活かしたスケジュールを組むことができます。自分の生活スタイルやライフイベントに合わせて、忙しい時期は仕事を減らし、時間に余裕のある時期に集中して案件をこなすといった働き方もできます。

時間の有効活用ができるという点は、自由度と柔軟性を重視する現代の働き方において、魅力的なポイントといえるでしょう。

フリーランスエンジニアの働き方の課題

メリットがある一方で、フリーランスエンジニアの働き方には課題もあります。

社会的信用

フリーランスエンジニアにとって、社会的信用の低さは大きな課題のひとつです。会社員と異なり、フリーランスは雇用契約が存在せず、収入も安定していないとみなされやすいため、社会的信用が得られにくい傾向があります。これにより、クレジットカードの審査、住宅ローンの申し込み、賃貸契約といった場面で不利になる可能性があります。

実際、「フリーランスエンジニアの実態調査」では、フリーランスになって感じたデメリットとして「社会的信用が低い」が最多の25.7%を占めています。

住宅購入や大きなローン契約の予定がある人は、フリーランスとして独立する前にクレジットカードの作成や住宅ローンの事前審査など、社会的信用が求められる手続きを済ませておくと安心です。また、確定申告書や納税証明書などの収入証明をしっかりと準備・保存しておくことで、信頼性を補強することも可能です。

事務作業の負担

事務作業の負担も、フリーランスエンジニアの課題のひとつです。会社員であれば経理や労務などの事務作業は専門の部署が担当してくれますが、フリーランスの場合は請求書の発行、経費精算、確定申告、契約書の作成・管理など、すべてを自分で対応しなければなりません。

これらの作業に時間や労力を取られることで、本来の業務である開発やスキルアップに充てる時間が減ってしまう可能性があります。また、事務作業に不慣れな場合、ミスや漏れが発生し、取引先との信頼関係に影響することもあります。

会計ソフトやタスク管理ツールを活用したり、税理士や士業に依頼するなどして、業務を効率化する工夫が求められます。

健康面の課題

フリーランスエンジニアには健康面の課題があります。フリーランスエンジニアは、自分の働き方を自由に決められる反面、健康管理が自己責任になります。

フリーランスは自宅で長時間パソコン作業をすることが多いため、運動不足や肩こり・腰痛といった身体的な不調を抱えやすくなります。生活リズムが乱れたり、食事や睡眠が不規則になったりすることも少なくありません。また、他人とのコミュニケーションが減り、孤独感やストレスを感じやすくなるという精神的な問題もあります。

こうしたリスクを防ぐためには、定期的な運動や休憩の時間を設ける、バランスのとれた食事を心がける、意識的に人と交流する機会をつくるといったセルフケアが欠かせません。また、年に一度は健康診断を受けるなど、自分の体の状態を定期的に確認することも大切です。

収入の不安定さ

フリーランスエンジニアにとって、収入の不安定さは大きな課題のひとつです。固定給が支給される会社員とは異なり、案件の受注状況によって収入に波が出る可能性があります。

特に、駆け出しの時期や営業活動がうまくいかない期間は、収入が大きく減少する可能性があります。また、クライアント都合で契約が突然終了となったり、報酬の支払いが遅れたりといったリスクもあります。

このような状況に備えるためには、複数の案件を同時に進める、継続契約のクライアントを確保する、収入があるときに貯蓄をしておく、スキルの幅を広げるなど、安定性を高める工夫をしましょう。

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フリーランスエンジニアの働き方にはさまざまなメリットがありますが、その一方で乗り越えるべき課題も多く存在します。エージェントを利用することで、こうした課題の一部を軽減することが可能です。フリーランスとして成功するためには、こうした外部サービスも上手に取り入れながら、自分の働き方に合ったスタイルを確立していきましょう。

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