AIの普及が進み、広く利用されるようになってきていますが、AIエンジニアはフリーランスとして働くことができるのでしょうか。AIエンジニアは歴史も浅くまだ情報が少ないので、フリーランスという働き方について知りたい人も多いと思います。
そこで本記事では、フリーランスのAIエンジニアの現状やフリーランスになるメリット、収入の目安などについて解説します。AIエンジニアがフリーランスになりやすい理由や成功のポイントなどについても解説するので、AIエンジニアとして独立をしたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
フリーランスのAIエンジニアの需要
はじめに、フリーランスのAIエンジニアの需要について解説します。
AI市場が拡大
AIエンジニアの需要はAI市場の規模によって変化してきますが、AI市場はどのような状況なのでしょうか。
AI市場に関する調査によると、2024年度の国内AI市場は前年度比29.1%増の1兆4,735億円に達する見通しとされています。
また、情報通信白書では、日本のAIシステム市場の規模が2028年には2兆5,433億6,200万円にまで拡大すると予想されています。
このように、AI市場は今後も大きく拡大することが予想されているのです。
AIエンジニアの需要は高い
AI市場の拡大に伴い、AIエンジニアの需要も高まっています。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には約12.4万人のAI人材が不足すると試算されています。2025年に不足するAI人材が8.8万人と試算されていることを考えると、AI人材の供給不足は年々広がると予測されます。
また、厚生労働省の職業情報提供サイトによると、AIエンジニアの有効求人倍率は1.95倍となっており、求人に対して応募が不足した状態であり、需要が大きいことがわかります。
さらに、「ITに関する意思決定者やデータアナリストなどを対象にした調査」では、半数以上の回答者が「あらゆる部門と連携する最高AI責任者(CAIO)の役職の新設が必須になると予測」しています。企業はAIエンジニアの確保に積極的であり、専門性の高いAIエンジニアに対する需要は今後も高まると考えられます。
フリーランスのAIエンジニアの需要も高い
フリーランスのAIエンジニアに対する需要も拡大しています。AIの導入が進む中、企業にとっては即戦力人材の確保が課題となっていますし、AI人材が不足しているという背景もあり、フリーランスへの依頼が増えると考えられるでしょう。
フリーランス案件の単価の推移を見ても、AIエンジニアの市場価値が高まっているといえるでしょう。フリーランスエンジニア「職種別・言語別の月額報酬ランキング」調査によると、『前回4位の「Python」がランク外となった一方、「Python」のフレームワークである「Django」が15位にランクインしている』ので、機械学習やデータ分析に関わるスキルの市場価値が高まっていることがわかります。
さらに、AIエンジニアの月額案件単価の変動に関する調査データでも、フリーランスのAIエンジニアの平均単価が上昇傾向にあることが報告されています。このように、フリーランスのAIエンジニアに対する需要は大きくなっており、今後もその状況が続くと考えられます。
AIエンジニアがフリーランスになるメリット
続いて、AIエンジニアがフリーランスになるメリットを解説します。
収入の増加が期待できる
フリーランスのAIエンジニアになることで収入の増加が期待できます。
フリーランスエンジニアの働き方調査によると、フリーランスになって「収入が増えた」と答えた人は73%でした。また、フリーランスエンジニアの約6割が、独立して収入の増加を実感したという記事もあります。
正社員では企業全体の給与水準がありますし、保険などもあるのでフリーランスよりも収入が少なくなる傾向にあります。フリーランスは働けば働くほど収入を増やすことができることもあり、フリーランスになることで収入の増加が期待できるのです。
自由な働き方ができる
フリーランスのAIエンジニアになることで、自由な働き方をすることが可能になります。フリーランスのAIエンジニアはリモートワークが可能なことも多いですし、自分で働く時間を決めることができるので、会社員のように特定の時間や場所にとらわれることなく自由に働けます。
「フリーランスエンジニアに関する実態調査」では、44.8%の回答者が「働く時間に縛られない」ことに、44.7%の回答者が「働く場所に縛られない」ことに魅力を感じています。
フリーランスエンジニアは週に働く日数や時間帯を柔軟に設定できるため、結婚や子育て、介護などのライフイベントに合わせて柔軟に働き方を変えることも可能です。このように働き方の自由度の高さは、フリーランスのAIエンジニアになるメリットの1つといえるでしょう。
スキルアップができる
フリーランスのAIエンジニアとして活動することで、スキルアップも期待できます。
フリーランスエンジニアは、さまざまな企業や分野の仕事に携わる機会が多く、幅広い分野の技術やツールに触れる機会が多いです。会社員では、特定の業務を繰り返したり、特定の分野の仕事だけをすることが多くことがありますが、フリーランスになることでAIエンジニアとして幅広い仕事をしてスキルを高めることができます。こういった機会を活かすことで、スキルアップのスピードを高められるでしょう。
また、クライアントから求められる技術レベルが高い案件に挑戦して、学習をして経験を積めばより実践的にスキルアップすることができるでしょう。AI領域は日々進化しているため、フリーランスとして最新の情報をインプットし続けることが、自身のスキルによい影響を与えるでしょう。
フリーランスエンジニについては以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。
『フリーランスエンジニアとは?職種やリスク、仕事獲得方法などを解説』
フリーランスのAIエンジニアの収入
フリーランスのAIエンジニアの収入はどれくらいなのでしょうか。エンジニア職種の平均年収などを調査したレポートを見ると、フリーランスの機械学習エンジニアの年収は1,115万円でもっとも高くなっています。
機械学習エンジニアはAIエンジニアとは異なる職種ですが、AI技術の中でも機械学習に特化して開発や実装などを行うエンジニアのことです。AIエンジニアのなかに含まれるので、AIエンジニアの平均年収もこれくらいであると考えられます。そして、この年収だと時給に換算すると5,351円となっています。
また、エンジニア職種の平均年収などを調査したレポートによると、AIを扱うフリーランスエンジニアの平均年収は958万円となっています。時給に換算すると4,671円です。
上の調査では一般的なエンジニアの平均年収が494万円とされていることから、フリーランスのAIエンジニアの収入は高い水準にあるといえるでしょう。
AIエンジニアがフリーランスになりやすい理由
AIエンジニアはフリーランスになりやすいと考えられますが、なぜなのでしょうか。
案件が得やすい
AIエンジニアがフリーランスになりやすい理由には、案件を得やすいというものがあります。
IT人材育成の状況等に関するデータによると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると試算されており、AIをはじめとする先端技術に対応できるIT人材の需要は今後さらに高まると予想されています。実際、フリーランス向けの求人サイトには、AIエンジニアの案件が増えてきており、新規案件が継続的に供給されていることがわかります。
このように案件を獲得しやすい環境が整っているため、AIエンジニアはフリーランスになりやすいといえるでしょう。
リモート案件が豊富
リモート案件が豊富なことも、フリーランスのAIエンジニアになりやすい理由です。
リモート案件であれば正社員のように通勤する必要がなく、全国各地の仕事を受けることができます。より時間を有意義に使うことができるので複数の仕事を受けることができますし、効率的に仕事をすることができるでしょう。
リモート案件が豊富であれば全国各地の案件をたくさん受けることができ、より収入を安定させやすいので、リスクを心配せずフリーランスエンジニアというキャリアを選択しやすいでしょう。
事業を軌道に乗せやすい
独立後に事業を軌道に乗せやすいので、AIエンジニアはフリーランスになりやすい職種といえます。
AIエンジニアの仕事では高性能なものが必要ではありますがパソコンとインターネット環境、クラウド環境などがあれば行うことができ、初期投資を抑えることができます。開業の際に店舗や設備、人材、仕入れなどの大きな投資が初めから必要となる仕事に比べて、AIエンジニアは初期コストが低く、開業後の資金繰りのリスクを抑えることができます。
また、フリーランスのAIエンジニアは報酬の水準が高いので、独立後に安定的な収入を得て事業を軌道に乗せやすいともいえます。このように事業を軌道に乗せやすいため、AIエンジニアはフリーランスになりやすい職種といえるのです。
AIエンジニアがフリーランスで成功するポイント
ここからは、AIエンジニアがフリーランスで成功するためのポイントを解説します。
複数案件を受注する
AIエンジニアがフリーランスで成功するには、複数の案件を同時に受注するのが効果的です。
複数案件の受注により収入を増やせるだけでなく、収入が1社に依存する状態を避けて事業の安定性を高められます。収入が1社に依存していると、その会社からの依頼がなくなった時点で収入が途絶える恐れがあります。フリーランスエンジニア白書によると、以下のようにフリーランスエンジニアの多くが1件以上の案件を並行して行っています。
受注案件数 | 割合 |
---|---|
1件 | 21.17% |
2件 | 29.32% |
3件 | 19.28% |
4件 | 4.97% |
5件以上 | 12.52% |
案件をさがしている | 12.72% |
また、フル稼働よりも報酬金額が下がるので、企業からの受注確度が上がるとも考えられます。このようにフリーランスのAIエンジニアとして成功するためには、複数案件を受注し1社に依存しない働き方を実現することがおすすめです。
情報を発信する
情報の発信も、AIエンジニアがフリーランスで成功するポイントのひとつです。情報を発信することで、見込み顧客に見てもらえる可能性がありますし、自身の知識やスキルを証明するとともにブランディングを行うことができます。
ブログやSNSでAIに関する技術解説や業界動向、自作ツールなどの情報を発信すれば、AIに関心のある人やAIに関する課題を抱えている人に対して自身の存在を知ってもらうことができます。Githubなどにコードを掲載することでも、自身の能力をアピールすることもできるでしょう。
情報発信は営業活動として機能するとともに、人脈形成につながることもあります。フリーランスのAIエンジニアとして成功するためには、積極的に情報の発信にも力を入れていきましょう。
コミュニティに参加する
フリーランスのAIエンジニアとして成功するためには、AI関連のコミュニティに参加することもひとつの手です。現在では、AIに興味のある人が意見交換をするコミュニティや、AIの勉強や研究を行うコミュニティなど、様々なコミュニティがあります。
フリーランスAIエンジニアはこういったコミュニティに参加することで、同じ分野の技術者やAIに関する仕事をしている人などと関わることができます。最新情報を得たり、課題を抱えたクライアントなどに出会えたりもできるでしょう。同じAIエンジニアと知り合うことで、人手不足の案件の紹介などが得られる可能性もあります。
スキルアップや人脈獲得、案件獲得などの視点から、フリーランスAIエンジニアはコミュニティに参加しましょう。
資格を取得する
AI分野に関連する資格の取得も、フリーランスのAIエンジニアとして成功するのにおすすめのポイントです。資格の取得により、見込み顧客や関係者などに自分の知識や技術力を伝えることができます。法人との取引では資格を保有していることで案件を受注しやすくなる可能性もあるでしょう。
AIエンジニアの資格としては、ディープラーニングを中心とした知識を問う「E資格」や、AIリテラシーを証明できる「G検定」などがあります。
資格取得のために学習をすることで、知識を深めるとともにスキルアップをすることもできるでしょう。フリーランスとして仕事を獲得しやすくするためにも、資格を取得することを検討してください。
フリーランスエージェントに相談する
フリーランスエージェントに相談するのも、フリーランスのAIエンジニアとして成功するためにおすすめの方法です。
エージェントはさまざまな案件の情報を豊富に保有しているので、それぞれのAIエンジニアに合った案件を提案してくれます。エージェントを利用すれば自分で営業活動をすることなく、優良な案件を得られる可能性があるのです。
また、契約や報酬交渉などのサポートも受けられるので、負担を減らしながらより高い報酬を得られる可能性があります。転職エージェント利用者は非利用者よりも年収が上がったというデータもあります。
さまざまなメリットが得られるので、エージェントを効果的に利用しましょう。
フリーランスエンジニアの求人はベスキャリITで
企業によるAI導入が進む中で、AIエンジニアは今後も高い需要が期待できる職種です。フリーランスのAIエンジニアになることで、収入の増加や自由な働き方の実現、スキルアップのメリットがあります。ぜひフリーランスのAIエンジニアを目指してください。
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