フリーランスエンジニアの報酬の相場はどれくらいなのでしょうか。これからフリーランスエンジニアになろうかと考えている人は、十分な収入が得られるのか心配だと思います。

そこでこの記事では、アンケートデータなどをもとにフリーランスエンジニアの報酬の相場を紹介するとともに、職種や業界別の報酬の相場についても解説します。フリーランスエンジニアが収入を高める方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスエンジニアの職種全般については以下の記事で解説しています。
フリーランスエンジニアとは?職種やリスク、仕事獲得方法などを解説

フリーランスエンジニアの報酬の相場

フリーランスエンジニアの報酬の相場を、さまざまなデータをもとに解説します。

年収の相場

ITフリーランス約2400人のデータを分析した調査によると、以下のような結果となっています。

600万~800万円未満 52.1%
800万~1000万円未満 26.0%
400万~600万円未満 12.9%
1000万円以上 7.8%
400万円未満 1.3%

この調査を見ると、年収が600万~800万円未満が52.1%で最も多くなっています。そして、400万円未満は1.3%であることから、最低でも600万~800万円は得られると考えられます。800万~1000万円未満は26.0%、1,000万円以上は7.8%なので、大きな収入を得られる可能性も十分あるといえるでしょう。さらに、1人あたりの平均年収は2024年で765万1,771円となっています。

「2024年最新フリーランスエンジニア6職種の平均年収」のフリーランスエンジニアで年収2000万円稼げる?稼ぐ方法や必要なスキルも解説

月収の相場

フリーランスエンジニアの月収の相場はどれくらいなのでしょうか。上の765万1,771円を月数である12で割ると63.76万円となります。

実際、30万件を超えるデータをもとに出した「月額案件単価の推移に関する調査データ」を見ると、2023年9月でのフリーランスエンジニアの平均の月額案件単価は約64万円となっています。この金額は、2023年4月時点の平均は約61万円であり、フリーランスエンジニアの月収は上昇傾向にあることがわかります。

時給の相場

次に、フリーランスエンジニアの時給の相場を見ていきます。単純計算で、63.76万円を「20日×8時間」の160時間で割ると3985円となります。

また、フリーランス白書の職種別時間単価を見ると、「エンジニア・技術開発系」の時給は27.0%が4千~5千円未満であり、3千~4千円未満が24.6%、5千~6千円未満が22.2%となっています。このことから、フリーランスエンジニアの時給の相場は4千~5千円ほどになるといえるでしょう。

また、この調査では「コンサルティング系」以外の職業よりも時給の水準が高い傾向にあることがわかります。専門知識やスキルが必要である仕事は時給の水準が高くなる傾向もあるといえるでしょう。

【職種別】フリーランスエンジニアの相場

次に、フリーランスエンジニアは職種別で仕事内容や求められる知識、スキルのレベルが変わるので、それに応じて報酬も変わります。ここでは、先ほど紹介した「フリーランスエンジニア6職種の平均年収ランキング」の6つの職種ごとの年収を解説します。職種ごとの年収相場のデータは以下です。

機械学習エンジニア 1,115万円
データサイエンティスト 991万円
iOS/Androidエンジニア 943万円
インフラエンジニア 909万円
バックエンドエンジニア 891万円
フロントエンドエンジニア 870万円

機械学習エンジニア

フリーランスの機械学習エンジニアの年収はもっとも高く、1,115万円となっています。

機械学習エンジニアの相場が高いのは、AIの一般化やIoT、自動運転などの開発などによって機械学習のニーズが高まっているからです。それにも関わらず、機械学習を専門とする機械学習エンジニアは不足しており、競争が激しくなることで機械学習エンジニアの報酬の相場が高くなっているのです。

また、機械学習エンジニアには高度な知識とスキルが求められます。ディープラーニングやLLM、GPT、統計や分析など、幅広い知識が必要になります。職種に就くことのハードルが高いこともあり、相場が高くなっているともいえるでしょう。

データサイエンティスト

フリーランスのデータサイエンティストの平均年収は991万円となっています。

データサイエンティストの仕事は、プログラミングやデータ解析を行うことで膨大なデータからビジネスの課題解決を行います。そのため、数理統計学や数学、分析の知識が求められますし、解析のためのプログラミングスキルが必要になります。また、クライアントのヒアリングやデータの収集、レポーティングのスキルなども求められます。

データサイエンティストは高度なスキルと専門性が求められますし、経験とスキルを備えた専門家が少ないことから、報酬の相場が高くなっていると考えられます。

iOS/Androidエンジニア

フリーランスのiOS・Androidエンジニアの平均年収は943万円です。iOS・Androidエンジニアは、iOSやAndroidなどのスマートフォンのアプリの設計・開発・テスト・保守などを行う仕事です。

スマートフォンの普及やAIの一般化によってアプリのニーズが高まっていることで、iOS・Androidエンジニアが不足していることから、年収が高まっていると考えられます。アプリ市場は成長しており、2023年のアプリユーザー数を表すMAUは6%増加しているというデータがあります。

また、Androidアプリ開発で用いられるJavaは、iOSで用いられるSwiftよりも習得難易度が高いですし、Kotlinは習得しているエンジニアが少ない状況です。こういったこともあってAndroidエンジニアの年収相場は高まっていると考えられます。

インフラエンジニア

フリーランスのインフラエンジニアの平均年収は909万円です。インフラエンジニアは、企業や施設、WebサービスなどのIT基盤の設計・構築・運用・保守を行う仕事です。サーバーやネットワーク、回線、パソコンの設定などを行い、インターネットやシステムを利用できるように設計や構築を行います。

インフラエンジニアには、サーバーやネットワーク機器、OSやミドルウェア、セキュリティ、クラウドサーバーなどに関する深い知識が必要になります。そのため、報酬の相場が高まりますし、こういったスキルセットを持っている人材が不足していることからも相場が高くなっていることがわかります。

バックエンドエンジニア

フリーランスのバックエンドエンジニアの平均年収は891万円となっています。バックエンドエンジニアは、WebサービスやWebアプリケーションなどの裏側のシステムを開発・運用する仕事です。システムがどのような処理を行うかのプログラムを作成するとともに、サーバーやデータベースなどの構築を行います。

バックエンドエンジニアにはJavaやPHP、Rudyなどの複数のプログラミングスキルが求められますし、データベース管理の知識なども求められます。幅広いスキルセットが必要になるので、相場が高いのでしょう。フリーランスではマネジメントスキルを求められることもあり、その分相場が高まっている可能性もあります。

フロントエンドエンジニア

フリーランスのフロントエンドエンジニアの年収相場は、1位からは大きく下がりますが870万円です。

フロントエンドエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションのクライアントサイドの設計や開発、運用を行う仕事です。フロントエンドエンジニアは、ユーザーが見る画面における動きなどを作るため、JavaScriptやフレームワークなどの知識が求められます。複雑な動きを実現するためには、高度な設計や計算、プログラミングが必要になります。

フロントエンドエンジニアは相場が高い職種よりも人材が多いことからも、年収が低くなっている可能性があります。

【業界別】フリーランスエンジニアの相場

フリーランスエンジニアは、案件ごとの業界によって報酬の相場が変わってきます。「フリーランスエンジニア6職種の平均年収ランキング」の調査では、「フリーランスエンジニア案件数TOP5の業界と平均年収・時給」が紹介されているのでこちらをもとに解説していきます。

システムインテグレータ 966万円
AI(人工知能) 958万円
SaaS 943万円
人材サービス 904万円
Web制作 895万円

システムインテグレータ

システムインテグレータ業界のエンジニア案件は、最も平均年収が高く、966万円となっています。

システムインテグレータは、クライアントのシステム開発や運用などを請け負う仕事ですが、フリーランスとして関わるときには人材紹介会社や派遣会社などから紹介された仕事を行うことになります。

システムインテグレータはクライアントワークを行うため、専門性の高いスキルを身につけておかなくてはなりませんし、クライアントの課題解決を行うための広い視野や長年の経験が必要になります。そのハードルの高さから、報酬の相場が高くなっていると考えられます。

AI

AI(人工知能)に関するフリーランスエンジニアの年収は958万円となっており、第2位です。

AIは急速に拡大しており、エンジニアの需要も高まっています。AIに関するスキルや経験を備えたエンジニアは不足しており、人材獲得競争が激しくなっています。それによって、フリーランスエンジニアの年収相場が高くなっているのです。

また、AIエンジニアにはプログラミングや数学、ディープラーニング、データベースなど、幅広く高度なスキルと知識が必要となるので、その分相場が高くなっていると考えられます。AIの開発はまだ歴史が浅いことからも、他の業界のエンジニア職よりもキャリアの初期から高い年収が期待できるでしょう。

SaaS

SaaSのフリーランスエンジニアの平均年収は943万円となっています。SaaSはインターネットを介してソフトウェアを提供するサービスです。SaaSはソフトウェアの構築や運用が主なコストであり、設備投資などを小さく抑えられることから収益性が大きいです。それによって年収相場が高まっていると考えられます。

また、SaaSでは人材がサービスの質に大きく影響しますし、現在では多くのSaaSが生まれており、サービスを成長させる人材や顧客を増やすことのできる優秀な人材を得るため、企業は高い報酬を提示しているのでしょう。

人材サービス

人材サービスのフリーランスエンジニアの年収相場は904万円となっています。ちなみに、フリーランスエンジニアの案件数が最も多いのは人材サービスです。このことから、人材サービスではエンジニアが不足しており、それによって年収相場が高まっていることがわかります。人材サービスでは、データベースや大規模システムを扱うことも多く、相場が高いのです。

また、人材サービスは企業と求職者のマッチングを行うサービスなので設備投資が少なく、利益率が高いです。それによってエンジニアの年収相場も高くなっていると考えられます。

Web制作

Web制作業界のフリーンランスエンジニアの年収相場は895万円となっています。Web制作会社は、WebサービスやWebサイト、システムなどの制作のプロであり、高度なスキルが求められます。高いスキルを持ったエンジニアの獲得のために報酬の水準が高まっていると考えられます。

また、Web制作ではトレンドの変化が早いですし、新しい技術なども次々生み出されています。こういった最先端の情報を取り入れ、技術を身につけているエンジニアは年収が高くなるでしょう。

フリーランスエンジニアが収入を高める方法

フリーランスエンジニアの報酬の相場を見てきましたが、現在の収入を高める方法はあるのでしょうか。その方法を解説します。

ニーズの高いスキルを身につける

フリーランスエンジニアが収入を高めるためには、ニーズの高いスキルを身につける必要があります。

ニーズの高い言語のスキルやトレンドのスキル、需要が大きいけれども扱うエンジニアが少ない技術などを身につけることで、競合を差し置いて仕事を得ることができるでしょう。特定の分野の経験を積み、スペシャリストになるのもよいです。

また、複数のスキルを組み合わせることで、ほかのエンジニアにない魅力を訴求できますし対応できる案件も増えるので、親和性の高いスキルをいくつか身につけましょう。

フリーランスエンジニアにおいては、マネジメントなどができると上流の仕事を受けられるようにもなります。上流の仕事はより報酬が高くなるので身につけておくとよいでしょう。

フリーランスエンジニアに必要なスキル8選!職種ごとのスキルも紹介

資格を取得する

フリーランスエンジニアは資格を取得することで収入を高められる可能性があります。資格を取得することで、知識やスキルを証明することができ、信頼性が高まります。それによって、高単価の案件を獲得しやすくなるでしょう。

また、資格を持っていることで自身の価値を高めることができ、より高い報酬を交渉することなどもできるはずです。マネジメント関係の資格を取得することでも、上流の仕事を得ることができるかもしれません。

エージェントを利用する

エージェントを利用することでも、フリーランスエンジニアは収入を高めることができます。

フリーランス案件に特化したエージェントサービスでは、エージェントに給与交渉を行ってもらえます。自分で交渉するのは気が引ける、自分の希望の金額を獲得するのが難しいという人でも、経験豊富なエージェントが交渉をしてくれます。

また、エージェントは多くの案件情報を保有しているので、そのなかでも自身の適性に合った案件で、報酬が高いものを紹介してもらえる可能性があります。非公開求人を保有しているエージェントなどもあるので、自分で探すよりも高単価の案件を得られるでしょう。

フリーランスエンジニアの求人はベスキャリITで

フリーランスエンジニアの報酬の相場を、あらゆるデータから解説してきました。フリーランスエンジニアは職種や業界によって報酬の相場が変わってきますが、水準が高い傾向にあります。これからフリーランスエンジニアになろうかと検討している人は、ぜひ目指してください。

「ベスキャリIT」では、幅広い職種・業界のフリーランス案件を多く取り扱っています。15年以上の運営歴があることから、全国のさまざまな企業とネットワークを築いており、非公開求人も多く保有しています。

専任のアドバイザーがエンジニアをフォローするので、高単価案件の紹介だけでなく、面接などのアドバイス、商談への同行、アフターフォローなども行うので安心です。報酬の水準の高い案件なども紹介可能ですので、ぜひご登録ください。

ベスキャリITはこちら

シェアする