フリーランスエンジニアの単価の決め方に悩む人も多いと思います。フリーランスエンジニアは、自分のスキルに見合った単価設定をしなくては仕事が得られないということになってしまいますし、相場よりも低い単価設定をすると損をしてしまうことになります。では、フリーランスエンジニアはどのように単価を決めるとよいのでしょうか。

この記事では、言語や職種、業界別のフリーランスエンジニアの単価のデータをもとに相場を解説するとともに、単価設定のポイントや単価をあげるための方法を紹介します。フリーランスエンジニアとしての単価の決め方を知りたい、単価を変更したいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

フリーランスエンジニアとは?職種やリスク、仕事獲得方法などを解説

フリーランスエンジニアの収入の動向

フリーランスになることでエンジニアの収入はどう変化するのでしょうか。フリーランスエンジニアの収入の動向を解説します。

フリーランスエンジニアになることで収入は上がる?

フリーランスエンジニアになることで収入は上がるのでしょうか。「フリーランスエンジニア働き方調査」によると、独立後に年収が400万円を超えた人のうち「収入が上がった」と回答した人は全体の73%でした。

また、別の調査でも、フリーランスエンジニアになって収入は上がったかという質問に対して、回答者の59.5%が「年収が上がった」と回答しています。つまり、多くのフリーランスエンジニアが会社員時代よりも高収入を得られていることがわかります。

これは、フリーランスでは保険や年金といった福利厚生が会社員と比べて自己負担になる分、クライアントからの報酬単価が高く設定されやすいことが背景にあります。加えて、自分のスキルや経験に応じて案件を自由に選べるため、高単価の仕事に集中することで効率よく収入を伸ばすことができるので収入が上がっているとも考えられます。

フリーランスエンジニアの収入

では、フリーランスエンジニアの収入はどの程度なのでしょうか。ITフリーランス約2400人のデータをもとにした調査では、ITフリーランスの年収は600万~800万円未満が52.1%で最も多く、800万円以上の年収を得ている人が33.8%という結果となりました。

この結果を見ると、フリーランスエンジニアは会社員と比較しても高収入を得やすい職種であることがわかります。特に年収600万円以上の割合が全体の85%近くを占めていることからも、一定のスキルや経験を持っていれば、安定した高収入を実現できる可能性が高いと考えられます。

フリーランスエンジニアの収入については以下で詳しく解説しています。
フリーランスエンジニアの報酬の相場とは?職種別、業界別の相場も紹介

フリーランスエンジニアの単価感

では、フリーランスエンジニアの単価はどれくらいなのでしょうか。業務委託契約では、月額だけでなく時給ベースで報酬を決定するケースも多いですので、ここでは時給での単価を紹介します。

エンジニア6職種への調査によると、フリーランスエンジニアの平均時給は4,457円となっています。

また、「フリーランス白書2023」の「自分が意識している時間単価」を見ると、業務委託で働くエンジニアのうち「時給4,000~5,000円未満」が最も多く27.0%となっており、「時給5,000~6,000円未満」も22.2%、「時給6,000~7,000円未満」も5.6%でした。他の職種と比較しても、フリーランスエンジニアの時間単価が高いことがわかります。

出典:SOKUDAN Magazine(https://magazine.sokudan.work

フリーランスエンジニアが単価を決めるときのポイント

フリーランスエンジニアが単価を決める際には、どのような点を考慮して決定すべきでしょうか。ここからは、フリーランスエンジニアが単価を決めるときのポイントを紹介します。

人日単価を決める

フリーランスエンジニアが単価を決める際は、人日単価(1日あたりの報酬)を決めるのがポイントです。

フリーランス案件の多くが月額報酬制で提示されるため、自分の希望月収や生活費、稼働可能日数をもとに人日単価を設定しておくことが重要です。例えば、月に20日稼働する予定であれば、「希望月収 ÷ 20日」で人日単価を算出できます。

この人日単価を基準にして案件を選ぶことで、収入の目標を明確に保ちつつ、無理のない働き方を実現することが可能です。また、案件によっては稼働日数が変動することもあるため、基準となる人日単価を決めておくことで、単価交渉の際にも柔軟に対応しやすくなります。

さらに、スキルや実績の向上に伴って人日単価を定期的に見直すことも大切です。自身の市場価値を理解し、過去の案件実績や顧客満足度を根拠として提示できるよう準備しておきましょう。

正社員よりも高い金額とする

フリーランスエンジニアが単価を決める際には、正社員よりも高い金額に設定することが基本です。なぜなら、フリーランスは会社員と違って社会保険や交通費、福利厚生などが支給されず、正社員のように有給休暇や賞与、退職金といった制度も存在しないためです。

さらに、案件が途切れた際に収入がなくなるリスクや、営業・経理といった実務以外の業務にかかるコストも考慮に入れる必要があります。

このように、フリーランスとして持続的に活動するためには、正社員よりも高い単価を設定し、すべてのコストとリスクをカバーできる報酬体系を構築することが重要なのです。

業界の水準に合わせる

フリーランスエンジニアが単価を設定する際には、自身のスキルや経験だけでなく、業界の相場を把握し、それに合わせて単価を調整することが重要です。業界水準から大きく外れた単価では、クライアントに不信感を与えたり、逆に自分が不利な条件で受注してしまうリスクがあります。

業界の水準を知るには、フリーランス向けの調査レポートや案件紹介サイトの相場情報を見ることで確認できます。こういった媒体では、平均時給や年収の中央値、スキル別の報酬傾向などを確認することができ、自分の市場価値を客観的に捉えることができます。

言語や職種、業界別のフリーランスエンジニアの単価は以下の章でまとめていますので、単価を決めるときの参考にしてください。

言語別のフリーランスエンジニアの単価

フリーランスエンジニアの単価の相場は言語別でも変わってきます。ここでは言語別のフリーランスエンジニアの単価を紹介します。2024年のフリーランスエンジニア6職種の平均年収ランキングを見ると、言語ごとの年収と時給は以下のようになっています。

言語 平均時給 平均年収
Go 6,755円 1,362万円
Kotin 6,489円 1,308万円
Python 6,197円 1,249万円
TypeScript 6,124円 1,235万円
Swift 6,121円 1,234万円
Ruby 5,624円 1,134万円
JavaScript 5,157円 1,040万円
Flutter 5,079円 1,024万円
Unity 4,894円 987万円
PHP 4,826円 973万円
Java 4,694円 946万円
C# 4,478円 903万円

このデータを見ると、Go言語を用いるエンジニアの単価が最も高くなっています。Goは並列処理やパフォーマンスに優れており、バックエンド開発やマイクロサービス構築などで多く採用されています。Go言語の需要が急速に高まっている一方で、対応できるエンジニアの供給がまだ限られているので、高単価で案件を獲得できる傾向にあります。

また、KotlinやSwiftといったモバイルアプリ開発向けの言語も高単価を維持しています。特にKotlinはAndroid開発における主流言語となっており、企業からのニーズが継続的に高い状況です。UnityやPHP、Java、C#の案件の時給は4,000円台となっていますが、それでも年収に換算すると900万円を超えます。

このように扱う言語によって単価に差が出るため、フリーランスエンジニアとして高収入を目指すには、市場で需要が高く単価も高い言語を習得することが大きなポイントとなります。自分の興味やキャリアプランと照らし合わせながら、戦略的に言語選びを行いましょう。

職種別のフリーランスエンジニアの単価

職種でも単価は変わってくるので、職種別のフリーランスエンジニアの単価をデータをもとに解説します。「ITフリーランスの平均月額単価ランキング」によると、職種別の平均月額単価は以下のようになっています。

職種 平均単価(月額)
ITコンサルタント 828,593円
プロジェクトマネージャー(PM) 774,697円
クラウドエンジニア 763,577円
AI・機械学習エンジニア 754,563円
モバイルアプリエンジニア 740,657円
フロントエンドエンジニア 709,397円
ネットワークエンジニア 681,664円
サーバーサイドエンジニア 672,237円
社内SE 643,699円

このデータを見ると、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャー(PM)といった上流工程に関わる職種の単価が最も高いことがわかります。ITコンサルタントは、企業のIT戦略の立案や業務改善提案など、経営視点に近い業務を担うため、高い専門性とビジネス理解が求められ、その分報酬も高額になります。

また、クラウドエンジニアやAI・機械学習エンジニアも比較的高単価を維持しており、技術トレンドに即した専門スキルが市場で高く評価されていることがうかがえます。AWSやGCPなどのクラウド技術に加え、AI・データ領域に強いエンジニアは、今後も引き続き高いニーズが見込まれるでしょう。サーバーサイドエンジニアや社内SEなどは平均単価が比較的低めですが、それでも月額60万円を超えています。

このように、職種選びによって単価も変わってくるため、自身のスキルセットやキャリアビジョンを踏まえて、どの方向に専門性を深めるかが重要になります。高単価を狙うなら、技術スキルに加えてマネジメント力や業界知識を磨くことがカギとなるでしょう。

業界別のフリーランスエンジニアの単価

フリーランスエンジニアの単価は業界によっても変わります。上の「フリーランスエンジニア6職種の平均年収ランキング」の「フリーランスエンジニア案件数TOP5の業界と平均年収・時給」を見ると年収が高い業界は以下となっています。

業界 割合 時給 年収
人材サービス 40.1% 4,433円 904万円
SaaS 8.1% 4,576円 943万円
Web制作 7.6% 4,368円 895万円
システムインテグレータ 5.4% 4,747円 966万円
AI(人工知能) 4.6% 4,671円 958万円

このデータを見ると、業界によってフリーランスエンジニアの単価や年収に大きな差があることがわかります。最も多くの案件が集中しているのは「人材サービス」業界で、全体の40.1%という非常に高い割合を占めています。時給は4,433円で、これは年収にすると904万円と十分に高単価な部類に入ります。人材サービス業界は、クライアント企業のシステム開発や業務改善支援など幅広い案件があるため、経験値の高いエンジニアが多く求められる傾向があります。

一方で、「SaaS」「AI」「システムインテグレータ」などの業界では、案件数の割合は少ないものの時給・年収が高いという特徴があります。システムインテグレータは時給4,747円、年収にして966万円と、全体の中でも最高水準です。

これらの業界では、特定の技術スタックやドメイン知識に精通しているエンジニアが特に重宝されるため、スキルに自信のあるフリーランスには非常に魅力的なフィールドといえます。このように、業界選びもフリーランスエンジニアの単価において重要な要素ですので、注意しましょう。

フリーランスエンジニアが単価を上げるための方法

単価を決める指標は理解いただけたと思いますが、フリーランスエンジニアが今後単価を上げていくためにはどのような方法があるのでしょうか。

エージェントに依頼する

フリーランスエンジニアが単価を上げるためには、エージェントへ依頼することがおすすめです。

エージェントは、スキルや希望条件に合った案件の紹介だけでなく、報酬交渉や条件面の調整もサポートしてくれるため、単価アップを図るうえでも有効です。また、非公開案件や大手企業のプロジェクトなど、個人では見つけられないような高単価案件を提案してもらえる可能性もあります。

転職エージェントの利用者は非利用者よりも年収が高まるという調査もあり、エージェントの活用が報酬面で有利に働くことが実証されています。

また、エージェントは業界の最新動向や需要の高いスキルの情報などを持っているため、自身のスキルセットをどう伸ばすべきかのアドバイスも受けられるでしょう。これにより、将来的な単価アップにもつながる戦略的なキャリア形成が可能になります。

言語を増やす

フリーランスエンジニアが単価を上げるためには、対応できるプログラミング言語を増やすことが有効です。扱える言語が多いほど、幅広い案件に対応できるため、受注の機会も広がります。

言語を選ぶときには、既存のスキルとの相性も考慮して学習言語を選ぶことが重要です。たとえば、JavaScriptを使っているエンジニアであれば、TypeScriptやNode.js、Reactなどを合わせて習得することで、より一貫したフルスタック対応が可能になります。サーバーサイドに強いエンジニアであれば、GoやRustなどの高性能言語を学ぶことで、バックエンド領域での専門性を深めることができるでしょう。また、時給や年収が高い言語を意識的に習得するのもよいです。

このように、フリーランスエンジニアは市場価値の高い言語を学び、自身の対応領域を広げることで単価アップを実現していくことが期待できます。

マネジメントを習得する

フリーランスエンジニアとして単価を上げていくには、マネジメントスキルを身につけることも効果的です。マネジメントスキルを身につけることで、PMやチームリーダーといった上流工程のポジションを担えるようになり、より高単価な案件を受注できる可能性が高まります。

単なる実装担当から、プロジェクト全体の成果に貢献できる人材として認識され、報酬のレンジも上がっていくでしょう。実際、職種別単価のデータでもPMはエンジニア職の中でも高水準の報酬を得ており、マネジメント経験のあるフリーランスは市場で非常に重宝されます。

このように、フリーランスエンジニアは、開発スキルに加えてマネジメント能力を磨くことで、より責任のある役割を担い、自身の市場価値を高めることができるでしょう。

経験を積む

経験を積むことも、フリーランスエンジニアとして単価を上げる方法のひとつです。経験を積むことで、技術力だけでなく実務上の課題解決能力やビジネス理解、クライアントとの信頼関係構築力など、総合的なスキルが磨かれます。これにより、単価交渉の際に自信を持って実績を提示できるようになり、結果的により高単価な案件を獲得しやすくなるでしょう。

フリーランスエンジニアの実態調査」によると、フリーランスエンジニアの年収が最も高いのは40代であることが分かっています。また、「エンジニア白書2022」でも、年収2,000万円以上を得ているエンジニアは40代に多く、年収と経験年数との相関が読み取れます。

このことからも分かるように、フリーランスエンジニアの単価設定において経験は重要な要素です。単なる技術習得だけでは到達できない、長年の実務を通じた応用力や信頼構築力は、企業が高報酬を支払う価値のある資産として評価されるでしょう。

資格を取得する

フリーランスエンジニアが単価を上げる方法のひとつとして、資格の取得も有効な手段です。資格はスキルや知識を客観的に証明する手段であり、特に初対面のクライアントに対して信頼性を示すうえでアピール材料になります。

実務経験が豊富であっても、それを外部から評価するのは難しい場合が多いため、資格は「即戦力であることの証明」として機能し、単価交渉において有利に働くでしょう。

特に近年は、クラウドやセキュリティ、マネジメント分野の資格に対する企業の評価が高まっており、これらの分野で資格を取得することで、より専門的かつ高単価な案件への参画につながるでしょう。

フリーランスエンジニアの単価交渉のポイントは以下で詳しく解説しています。
フリーランスエンジニアの単価交渉のコツとは?タイミングや手順も解説します

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フリーランスエンジニアの単価は、言語や職種、業界により変わってきますし、経験年数やスキル、参画するプロジェクトの規模によっても大きく異なります。そのため、自分に合った最適な案件を見つけることが、安定した収入とキャリアアップの鍵となります。

そして、案件を探す際にはエージェントを利用することがおすすめです。エージェントは、フリーランスエンジニアと企業との間に立ち、希望条件やスキルに合った案件を提案してくれますし単価交渉も行ってくれます。

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